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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

江沢民の「説教」と上村幸治

「歴史問題、永遠に言い続けよ」江沢民氏、会議で指示
 【北京=藤野彰】中国の江沢民・前国家主席(前共産党総書記)が在任中の1998年8月、在外大使ら外交当局者を一堂に集めた会議の席上、「日本に対しては歴史問題を永遠に言い続けなければならない」と指示し、事実上、歴史問題を対日外交圧力の重要カードと位置付けていたことが、中国で10日発売された「江沢民文選」の記述で明らかになった。・・・

なんだカンダと言ってるうちに、明日が8/15.
お参りするやら、しないやらで終戦記念日より注目をあびちゃってますな。
ところで、上に紹介した記事で、ふたたび「江沢民」の名前が出てきましたが、いいタイミングで上村幸治が諸君・サンデー毎日(連載「インサイド中国」)にて江沢民のことを取り上げている。これが面白い。
諸君は、普段読めないボリュームで縦横に論じているし、
サンデー毎日は、その短さを逆手にとって皮肉な連続ジャブを放っている。


まずサン毎から話すと、要はなんで江沢民が歴史問題を言いたがるかを分析。
実は若いころ、日本語を学ぶなどリーペンタイズ(日本鬼子)に協力的だったので、それを隠すために突っ張るのだ、というような噂も紹介した上で、真の理由を話す。
江沢民は、説教好きなのだ


な、なんだってー!!(MMR調)


上村氏は、説教をされるのは日本だけじゃなかった、という例をいろいろあげる。
一番笑ったのは、カンボジア代表団が江沢民と話しているとき、ポルポトへの中国の支持をつい口の端に上らせた代表団に江沢民がおっしゃった説教。

「過去のことを言い続けるのではなく、もっと未来志向にならねばいけない」


わははは!!
この話、どっかで聞いたこともあるはずだが、あらためて聞くと笑えるわ。
クロマティ高校の山口ノボルなら
「日本を前フリにして、カンボジアで落とす・・・・・・やるな江沢民、このお笑いのセンスはあなどれねぇぜ」
と、笑いのライバルとみなすかもしれん。

そして、現在胡錦濤江沢民の権力闘争は続く。
胡錦濤が優位に立ったのが、SARSの時江沢民はビビって逃げちゃったのに胡錦濤は陣頭指揮を執ったからだ、という噂も、聞いてたけどあらためて笑える。


あと、小泉プレスリーが顰蹙だ、好感度UPだと議論されたが「ご当地ソングを現地語で歌う」の元祖は江沢民。あんまり話題にならなかっただけで(笑)。
むかし中国は格式ばかり重視して、カジュアルが持つ強さを理解していない。留学帰りが政権中枢にいかないと変わらないかな・・・という意見を書いたことがあったが、うーん。
キャラに合わなかっただけか?ヨコスカで、骨の髄まで明るい(軽薄)なコイズミだから違う印象なのかもな。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=78833&servcode=100§code=120

当時上海幇のボスは江沢民主席、北京外交家から彼は「三多」先生と呼ばれた。おしゃべりで、歌をたくさん歌い、踊りをたくさん踊るという意味であった。「一緒にダンスをしましょうか」。江主席は2002年、中国を訪れたメガワティ・インドネシア大統領に「ダンス外交」を広げた。江主席の歌の実力は金大中(キム・デジュン、DJ)前大統領も認めた。98年、中国を訪問したDJは「ほかのことはわからないが、歌は江主席に負けたようだ」と笑った。DJ歓迎夕食会で江主席は中国民謡を格好よく選んだ。

江主席の多弁と関連したユーモアも多い。そのうちの1つ。江主席は外賓のうち2つの国の客は必ず自分が会わなくてはならないと我を通した。米国と日本だ。米国代表団は江主席本人が英語がうまいから、日本人は歴史を知らないから自分が教える必要があるというものだった。日本に対する中国の立場は今も「歴史を鏡にして未来に向かおう(以史為鑑面向未来)」だ。


ついでに大したものなのは、このへんのことをすでにWikiが抑えているところだ。


ただ、上村氏はここで日本外交の限界も見据える。(諸君のほうの論文)
「この胡錦濤江沢民対立で、日本が靖国問題胡錦濤に何らかの譲歩を与えたら、この矛盾はさらに拡大していたはずだ。」
というのだ。それが言い悪いはいろいろあるだろうが、一つの見方として考えるべき視点だろう。

「あんたが強硬だと、あんたと親しいこっちが、国内で窮地に追い込まれるんです」といって譲歩を引き出すやり方、というのもあり、日本では吉田茂が多様。80年代の靖国問題では結局、この手法で中国は果実を中曽根政権から勝ち取った。


この上村の主要論文を読んであらためて思うけど、つい外交では「日本はやられっぱなし、相手はうまく立ち回ってしたたかに得点しているのに」と世論は思ってしまうのだが、どの国もいろんな形で外交では誤謬や失敗を繰り返しているものだ、という点だ。「相手に外交でやられている」という批判的視点を政府に向けるのは結構なことだけど、それは「本来こっちのうけるべき利益を、掠め取られている」という議論にたやすくひっくり返る。