こういう、本があった。
なぜ「もしもし」なのかというと、ご存じでしょうか、いわゆるアッコ先生の父ケンイチはNTTの社員さんであり、電話が常に生活の中心だったそうです。
そこで「電話」にまつわる話題を中心にしつつ、いろいろ小さい頃の思い出を書いた、というコンセプトだ。
NTTの業界雑誌に連載とかしてて、だからそんなテーマの縛りがあったのかな?と思ったら書きおろしだった。
うーん、別にしのしばりはあってもなくてもよかったんじゃないか…が正直なところの感想。
ただ、…そもそもこの本の前か後か…いやほぼ同時期なのかな、まさに東村アキコ先生の小学生時代の思い出をつづる「まるさんかくしかく(傑作!)」が始まった関係もあり、その元ネタ集的な感じにもなっている。
どこからが、思い出そのままで、どこからが誇張・デフォルメしたかもある程度推し量れる……まるさんかくしかくの、児童を自分の趣味の園芸に動員し「びきたろ!(馬鹿な孺子め、みたいな意味)」を連発する老先生、これはまあモデルが入るっぽいが、「東京生活を送った」ことを自慢げに話して、喋りも標準語風、そして都会の有名人とさも交流があったようにホラを吹く先生は、さすがに想像の産物だろーーーーと思ってたら、ね…ここは本を読んでもらおう。
そして勢いの赴くまま、「まるさんかくしかく」の2024年11月29日現在公開中の回にリンク
第30話 〝ねったくり〟大論争事件!
bigcomics.jp
第31話 隣りの柿は甘いか渋いか…事件!
bigcomics.jp
まるさんかくしかく
東村アキコ
火曜更新
東村アキコ待望の新作エッセイコメディー! 小4アキコの毎日は事件ばっかり!!Welcome to MIYAZAKI!!
東村アキコが美大受験生だった頃の自らを描き、第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞や、マンガ大賞2015を受賞した代表作『かくかくしかじか』(集英社刊)。そこから遡ること………更に8年!!
笑って泣いて、転んで膝すりむいて、毎日が大事件! 宮崎に暮らす昭和の小学4年生、“林アキコ”の怒濤の日々が、砂煙を立てながら始まるっ!! ……さ、アキコ選手、今日はなんしよっと!?
で、「電話縛り」にしていいこともあって…最終章は「こんなふうに携帯がなっていくなんてね…そしてそこで読むマンガとは」という話でした。
大幅に引用してもいいんだが、箇条書きにしておく。
・自分がNTT時代(電話案内をしていた)に携帯電話が始まり、会社には「売るぞ!MOVA! キックオフ!」というスローガンが張ってあった。イメージキャラはブルース・ウイリス、すごいな。
・その縁で早くから携帯を持ち、それで空港に向かう電車が遅れた時に航空会社と交渉したりした。
・そうしているうちに、携帯の液晶画面で漫画が見られるように。
・「こんな小さな画面で見られる訳ないだろ」→実際に見る「あれ?読めなくもないな…読めるな…漫画ってのは、読めりゃいいもんなんだな(綺麗な印刷とか大きなページとか関係ない)」
そして…
「あれ?もしかして、これ、とんでもない大革命が起きた瞬間なのでは?」
と思ったそうだ。
そこは電話屋の娘だけあるのかなぁ。
「いつしか携帯ですべての漫画が読めるようになったら、みんな本屋さんにいかなくなっちゃたりしたりして…はは、まさかね。」
・初期はまだそれでも「携帯で読んでいる漫画は、携帯向けの漫画だ」という感じだった。ケータイ小説、が普通の小説と別にあるような感じ。
・しかし、あれがやってきた…アイフォーンが。これが来た時に「ああ、これは完全にやばい」と思った。
・「出版社が、ここに漫画を卸せば、若い人はここで読む、マンガを」…「いやいや出版社がそんなことするわけないか。本屋さんとの長いお付き合いもあるしね」
・・・・・・・・・・・・・・・
そして画像に。
・その後、韓国に観光グルメ旅行をするようになったアキコは、知り合いの編集に「ついでに韓国の漫画の会社に見学にいきませんか?」と言われ、特に興味もなかったが行くことになった。
・そして、そこで東村先生もウェブトゥーンを!とオファーされ「韓国で漫画をかけば、好きな韓流アイドルが私の作品を読むかも?」というアホな理由で引き受ける(笑)
・しかし、結果的に日本発の韓国ウェブトゥーン連載漫画家となったという。
・さらに!そこから3年ほど経過すると、自分の子供たち、子どものクラスメートたちがウェブトゥーン作品を自然に話題にし始め「雑誌は読んでないがウェブトゥーンは読んでる」子も多くなった。
・ただ、この先も縦読みウェブトゥーンが流行るかわからない。なぜならスマホのスタイル自体が、形態が変化するかもしれない。見開き型の3画面携帯とか、ホログラフィーとか…あるいはアップルウォッチ的なものが主流になり、マンガを再び読めなくなるかもしれない…
みたいな話でした。
「電話の子」だからこそ実感するスマホ漫画との距離感なのだろうけど、一方でそうやって読むとき
「私は紙の本を、そして本屋を切り捨てた!」ということも自覚しているんだって。
そんな中で、どうなっていくのでしょう。ノスタルジーと未来への恍惚と不安が、そこに_______(了)