バイデンが選挙戦から撤退し、カマラ・ハリスが民主党の後継として党大会で大統領候補になる流れだが……
・いまの「実情」から考えれば、そういう選択肢しかないだろう
・ただ、ちょっと気になる部分もある、それは「正統性」の問題だ
・党規約的には候補は辞退できるし、そういう時は選挙資金も含めてカマラ氏は引き継げるのだという。それは党内部の規約だから、文面的にはセーフのはず。
・だが、すでに予備選をやって、党員の一票一票によって、「バイデンを支持する」ことを本来は義務付けられた人々が過半数を獲得してたんよね。
・本人が辞退した、だから自由に投票できる、というのは規約上そうなのだろうが、本人が辞退した、だからチャラね、で済むのは本来よろしくない。
・それは日本の選挙で、比例代表が繰り上がることを利用して辞職して再出馬するとか、まだ任期があるのに、自分を政界に誘った元首相の引退と一緒に辞職した議員が「民意を無視している」と非難を浴びたことに似ているだろう。
・条文上は可能であっても「知名度のある俺が比例名簿に載れば、今度の選挙も議席がとれる。俺の今の議席は名簿の次点候補に引き継げるから純増だ、笑えるぜ」とか「もういいや、まだ任期に達してないけどやめて別の仕事しよ、人材派遣会社の社長とか」…というのは、「民意をないがしろにした」と言われてもしょうがない面があるのよ。
・そういう点で「バイデンはこれまでの予備選で党員の付託を受けた以上、勝手に撤退すべきではない。」というのも”正統性”の論としては十分成り立つだろう
・それじゃ負けるって?はいここで「銀河英雄伝説」から(またかよ!)ビュコック爺さんのことば。心の中で適当に固有名詞を変えて感じてください
わしは、帝国の非民主的な政治体制に対抗するという口実で、同盟の体制が非民主化することを容認する気はない。
同盟は独裁国となって存続するより、民主国家として滅びるべきだろう。
実際、建国の理念と市民の生命とが守られないなら、国家それ自体に生存すべき理由などありはせんのだよ。
アレクサンドル・ビュコック
・
・バイデンが討論会でやらかし、失言というかいいまつがいを連発して支持率が落ちる。
だから選挙戦から撤退し、勝てそうな候補に替わる。
これは内部で調整して代表を決める仕組みならいいけど、予備選、党員選挙があるとねぇ…。
・だって、たとえば岸田文雄氏が自民党の新総裁に選ばれたとき、選挙の票数では岸田文雄がトップだけど、国政選挙には勝てそうもないから岸田文雄に辞退させて、2位の候補(だれだったっけ?)が総裁になります、っておかしいじゃない。
・ただし!
それを覆す一手がある。
それは、今回の撤退、交代が「医学的」な理由だとすることだ。
・当事者の医学・健康問題によってすべてが引っ繰り返り、それを受けて臨時の、法律を飛び越えた事態収拾を行う…これは、民主主義国家に限らず独裁国家でもあることだ。
これは無敵。これなら文句をつけようがない。
・ただ、バイデンの声明が「私が(大統領選から)撤退し、残りの任期を大統領としての職務に専念することが、党と国にとって最善の利益」だったことが、ちょと「はて?」なんだよ
大統領を務められたことは、私の人生において最大の名誉です。そして、私は再選を目指す意向ではありましたが、私が(大統領選から)撤退し、残りの任期を大統領としての職務に専念することが、党と国にとって最善の利益であると信じています。
私の決断の詳細については、今週後半に国民にお話しします。
今は、私の再選のために尽力してくださった全ての方々に深く感謝を申し上げます。
・医学的な見解として、今後さらに4年間大統領を務めることも、再選を目指す選挙を戦うこともできない……みたいな強い外部からの制約、強制力がない限り、やっぱり「正統性に欠ける」気もする。
・つまり「民主党は予備選に投票した選挙民の重みをひっくり返して勝利するより、予備選の重みに従って負けるべきだろう」
というのも、それなりに正論とちゃうか?と。
・だから、「私はもうボロボロです」と宣言して、その医学的な理由によって、いわば「クーデター」を正当化、いや正統化するというね。
病気や急死によってなら、道理を曲げられる。
・だが…本当にそうなら、共和党もそんな声明を出したそうだが「年齢、病気、衰えで予備選から徹底するなら、今の現職大統領の執務からも撤退、即時に辞任すべきだろう」と。
まーそりゃねー。
・でも、それもこれも「じゃあトランプ返り咲きになっちゃっていいの?」という超ド級の問いの前には、沈黙したくもなるけど…