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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「文化祭が嫌いな側」に寄り添う漫画、とは~「白山と三田さん」(大規模無料公開最終日)など

この前一応紹介済みですが、大規模な無料公開があって、その最終日です



過去にあらすじ紹介をしたことがあるので、それを丸々再掲載。

作品紹介を…1巻のAmazonに任せよう。

田舎に住む地味カップルの恋愛(?)喜劇!

高校生の白山辰彦は、上京したい。
趣味のラジオを聴きバイトする日々を送る中
なぜか同級生の三田民子と交際する流れに。
互いにクセは強いけれど波長は合う。
そんな2人のゆる~いお付き合いと
上京するまでを見守るラヴ・コメディー、はじまり。

もう少し箇条書きしましょう。

・ラブコメだが、意図的に「田舎」を強調した舞台。
・主人公二人は…漫画的表現で言っても、いわゆる美人とか美男ではない。
・さらに言うと、男子の方は典型的ないわゆる”陰キャ”。深夜ラジオを聴くのが趣味で、ニヤリとする顔が気持ち歩い、とか言われる。
・女子のほうは、「陰」というよりは、やや飄々として運動神経もいいのだが、趣味がゴルゴ13と言った感じの、いわゆる「女子らしい」趣味を持つタイプではない。
・とある偶然で、「外部的要因」で二人は交際し始める。
・だけど、その二人の個性がけっこうかみ合い、互いに尊重し敬愛している…ようである。


みたいな話だ。
まんがペディアにあらすじがあるか。(ウィキペディアには無いな…)
mangapedia.com


ちょっと補足しておくと、最近は
「取り柄が無い、平凡な主人公」として始まっておきながら、
「その取り柄が無いというのは、実はみんなに人当たりがいい、本当に優しい人柄だということだ」「だからみんなに好かれていた」みたいな人にジョブチェンジする作品があったよな、同じ雑誌に(笑)。


www.youtube.com


www.youtube.com

それもまた、一つの路線だろう。

だが、この作品は5巻ぐらいやってて、それでも主人公は基本的に陰キャのままだ(笑)。カール・ゴッチなみに妥協なき、ガチ陰キャ

(後略)


だが、その「陰キャ」にも味がある。その一つの象徴がここだ。上に書いたように主人公の男子、白山君は深夜ラジオが好きなのだが、そうなったきっかけを40話で語る。

白山と三田さん 文化祭
白山と三田さん 文化祭

ふーむ……と、思いました。
文化祭はなんだかんだと、漫画の書き手読み手が実生活上好んでいたかはともかく(笑)、作中のお話としてはそれで1~数話作れるから、そうそうは否定するような言葉が出てきたりはしない、というのが現実としてある。


しかし、変化球ラブコメである(ようでいて、WJプロレスリング並みにど真ん中だ、という説もある…途中の軌道はぐるぐると変化しながら、最後のホームベース前で真ん中に入る、とでもいうべきか)ことを利用して、ここまで堂々と「文化祭が好きでない側の論理(懐かしのホンカツ風)」を打ち出した、この場面は斬新でした。
あー、まだ公開してるから、「白山と三田さん」の文化祭をめぐるこの話を直接紹介しておこう

www.sunday-webry.com



そしてこの回の掲載当時、何か、そういうことを語る斬新な作品が目につくようになったな!と感じたのだよね。
これも過去記事から引用

少し前「最近は『文化祭に参加したくない生徒の側』を描くという、ちょっとニッチな新ジャンルへの試みがある気がする」
という話を思いついたんだけど、それはこの作品(※白山と三田さん)で、あろうことか主人公がそういう文化祭への違和感を表明してたからだった…

だが
この『文化祭に参加したくない生徒の側』を描くという、ちょっとニッチな新ジャンル…の別の作品名が何か?を描き忘れていた。読みきりで、女子2人が主人公で、はてブが最近三桁ぐらいついていた……と記憶してるんだが、こういう時、こんなヒントでは見つからないのがはてブでもある(笑)。
だれかご存じないでしょうか?それがあればピースが埋まるんだけど。


こっちは保存してた「ウィッチウォッチ」の一場面

m-dojo.hatenadiary.com

ウイッチウォッチ、空知英秋篠原健太の文化祭に関するトークの思い出ネタ

唐突な登場だが、「篠原健太は高校時代、文化祭で大いに頑張った」「空知英秋は高校時代、文化祭に距離を置き悪口を言っていた」がさもさもさもありなむ。

二人の関係性は
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の通りであるが、昨年秋に、もうひとつの有名な師弟コンビがすごい「プロレス」見せたので、
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負けじと今回、「俺たちもすごい技の掛け合いを見せるか!」となったのかもしれぬ。

ただ、広ーく言えば、この「文化祭を頑張らないような連中にもそれぞれの正義、それぞれのドラマがある」という話は、少しばかりエンタメ・サブカルで描かれつつあるような気もする。それは、マンガ的には文化祭というのは当然舞台にしやすいが、描き手と読者層には一定程度、それを距離を置くそうもいるからだ、であろうか(笑)

オハナシの中では、登場人物が作者の師匠のゴリラをDisって「こうならないために文化祭はがんばろうよ」となるわけだけど、もちろん上記の関係性を考えれば、単なる否定であるはずもなく。



そしてずっと遡るけどよしながふみの「フラワー・オブ・ライフ」でも、文化祭に徹底して否定的、非協力な登場人物がいて…一応それでもある程度活躍したのかな?だからクラス代表がおずおずと
「文化祭の打ち上げするんだけど…あなたも来ない」
その登場人物「いかない」
「(内心ホッ)」

みたいな微妙なやり取りがあって、面白いものでした。その打ち上げで堂々と高校生の飲酒が描かれるのも、一時代。



お笑い界でも、なんだったかな、「アメトーーク!」か「しくじり先生」かな?いまいち売れない芸人に売れっ子芸人がアドバイス、みたいな回があって。
ある「いまいち芸人(これからの芸人)」が、逆に高校時代クラスのリーダー、百点満点の学校の中心だった、というのが逆にいじりネタになり…「そいつ、芸人になってから、仲間が『おれはいつも学園祭が嫌いでサボってた』と言ったら『俺がその時代に同級生だったら、絶対に置いていかずに引っ張り出して一緒にやってたよ!』と迷いゼロでキラキラしながら語ってた」という話を誰かが振ったら
オードリーの若林(で間違いない筈)が、「そういうの迷惑だよ!俺も文化祭はサボってたけど、サボるのはサボる側の正義があって、確信的に俺たちは文化祭に参加しなかったんだ」という、そんなツッコミをしていた。それを偶然見ていた記憶がある。


というか、うえの「文化祭が嫌いな側の論理」を描くというのを一ジャンルとして意識し始めたのは、それがきっかけだったかもしれない。




なお、もとの「白山と三田さん」に戻ると、上で文化祭嫌いを肯定されて励まされたというラジオ番組は、こんな驚きのトークもしている。
m-dojo.hatenadiary.com



こういう話が描かれるのがこの作品であり、だからこの大量無料公開最終日に、一度は目を通しておけ、となる次第です。


※ほかに、ライトノベルなども含めて「文化祭が嫌いな側」を描く作品があったら教えてください。


一例採取