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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

戦国時代の「日本」を調査研究した明の記録/弥勒信仰のアジア諸国比較…「猫の泉」氏紹介書

上田信『戦国日本を見た中国人 海の物語『日本一鑑』を読む』


amazonにはまだ来ていないな

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から、目次の一部も引用しよう

序章 中世の日本を俯瞰する
1 ポスト・モンゴル時代の日本
2 『日本一鑑』と著者・鄭舜功
第一章 荒ぶる渡海者
1 寧波事件の衝撃
2 朝貢と密貿易
3 商人から海賊へ 
第二章 明の侠士、海を渡る
1 草茅、危言す 
2 観察する渡海者
3 日本での政治工作
4 慌ただしい帰国
第三章 凶暴なるも秩序あり
1 日本人のイメージ
2 刀と日本人
3 通過儀礼
4 礼儀作法と切腹
第四章 海商と海賊たちの海上ルート
1 大陸からの海上ルート
2 分岐圏を北へ
3 分岐圏を東へ
4 紀伊水道から大阪湾へ
終章 海に終わる戦国時代
1 中世から近世へ
2 その後の主役たち

思うこと。
・そりゃそうだな、明国にとっては、日本の戦国時代は織田信長桶狭間でも信玄謙信の川中島でもない。「大内氏細川氏が貿易をめぐって争い、わが港町「寧波」まで被害を受けて困るわ!」がリアルな戦国時代なのだ。なんかすいません…同じような感情をイギリスvsオランダの争いに長崎が巻き込まれた、江戸日本は持っただろうね。


・しかしその時に「まず日本で何が起きているか、その文化や制度や勢力図はどうなっているのか、お前調べてこい!」と、能力と意欲のある無位無官の人間に朝廷が命じて派遣されたなんて、明政府存外機能してるじゃん。こんな調査を秀吉が朝鮮、明、あるいはマカオにおいてやってたら、対外侵略の野望も達成できたかもだ。


・そして、識者の注目点は今やはり「日本からの銀の輸出と海外からの硝石・鉛の輸入を主軸とする「海の物語」」になってるのだなぁ、と。科学研究が進んで、戦極の古戦場から出てきた鉛の弾丸を成分分析して「これは輸入されたカンボジアの鉛」とかわかる時代なんだから(笑)
この前「戦国日本の軍事革命」を読んだので、この話にも興味を持てました。

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・そして、この執筆者の数奇な運命は…歴史にこんな形で名前を残せたのは、彼の本望だったのだろうか。
ja.wikipedia.org








宮田登弥勒



こちらも目次を。

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【目次】
はじめに
第一章 民間伝承としての弥勒
第二章 宗教運動と弥勒
第三章 比較宗教論における弥勒
第四章 日本仏教における弥勒
第五章 鹿島信仰と弥勒
第六章 朝鮮半島と沖縄の弥勒
第七章 世直しと弥勒
第八章 大本教の中の弥勒
まとめ

ミロク=ボサツ=スーパースター。
著者の宮田登氏はカタカナの「ミロク信仰の研究」が有名だ。呉智英浅羽通明も書評で紹介し得たりしたっけ。


ちょっと個人的に思い出すのは、世界史すべてを無理やり一冊の漫画本にした、ごく無名の高校世界史参考書があって…だから章ごとに作者もバランバランなんだけど、中国の元末期~明建国を描いた人が、思いっきり少女漫画(というか当時の「アニメ風」)の、まあ絵柄で、元末期の重税に苦しむ民衆が「なぜ弥勒は降臨されぬ…なぜ末法の世は終わらぬ…衆生は救われぬのか…」「ならば我らがまず弥勒を迎える準備をするのだ!」と、白蓮教徒の乱が起きた…というね。そこだけセリフやコマ割りが、学習漫画(以前の用語を列挙した参考書)なのに詩的だったことで覚えている。

とにかく、世界の終わりと、それによる一発逆転の救済という物語が、一神教の影響か何か知らないがアジアに巻き起こり、そしてそれを日本・中国・朝鮮で共通点や差異を比較する。面白いとおもいませんか。


ああ、そうそう、グインサーガにも「ミロク」という宗教が出てくるんでしょ?こちとらそこに到達しなかったけどさ(笑)。ガイドブックで読んだ記憶あり