時間がある時に紹介しておこうと思ったことのお蔵出しシリーズ。
英雄の証明
英雄か、詐欺師か
ソーシャルメディアの光と闇。「賞賛」と「疑惑」が交錯し、運命は翻弄されてゆくー社会に潜む歪んだ正義と不条理を、観る者すべてに突きつける衝撃の問題作■2度のアカデミー賞受賞監督アスガー・ファルハディがソーシャルメディアの功罪を問う、全世代必見の問題作
ベルリン・カンヌ国際映画祭にて多くの賞に輝き、『別離』と『セールスマン』で米アカデミー賞外国語映画賞を、2度も制した巨匠ファルハディ。小さなひび割れのような出来事が、人生を根底から揺るがす事態に発展していく様を、サスペンスフルかつ情感豊かに描出する傑作で、世界中の観客たちを魅了してきた。本作では、人間の倫理観を問う普遍的なテーマを追求するにあたって、いまや絶大となったSNSやメディアの影響力に着目。主人公の振れ幅の大きな運命を通して、真実というものの曖昧さや、社会に潜む欲望とエゴを現代的な切り口であぶり出す。
●ストーリー
イランの古都シラーズ。ラヒムは借金の罪で投獄され服役している。そんな彼の婚約者が偶然にも大量の金貨を拾う。借金を返済すれば出所できる彼にとって、まさに神からの贈り物のように思えた。しかし、罪悪感に苛まれたラヒムは落とし主に返すことを決意。そのささやかな善行は、メディアで大々的に報じられ、正直者の囚人""と英雄に祭り上げられる。ところが、SNSを介して広まったある噂をきっかけに状況は一変。周囲の狂騒に翻弄され、父親を信じる無垢な吃音症の幼い息子をも残酷に巻き込んだ大事件へと発展していく。""■数々の映画賞を受賞!
【受賞】
第74回カンヌ国際映画祭 グランプリ、フランソワ・シャレ賞
第14回アジア太平洋映画賞 最優秀監督賞
第93回ナショナル・ボード・オブ・レビュー 脚本賞、外国語映画賞
第33回パームスプリングス国際映画祭 FIPRESCI賞 最優秀男優賞、最優秀脚本賞
第13回サンタフェ独立映画祭 観客賞 最優秀男優賞
第1回セントラル・フロリダ映画批評家協会賞 外国語映画賞
第21回ハーフェズ賞 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀男優賞
第21回クロトゥルーディス賞 最優秀脚本賞
イランには「ネット社会と噂」とかよりもっと重大な社会問題が多数あるだろ、とか思わないでもないが(笑)、なんだかんだと中東の一大国であり、パーレビの遺産というべき近代性もまだ消え切ってはいない。そして携帯が必須用具としてどんな発展途上国にも普及した今、どんな国や地域でも「ネット社会の問題」は発生しているのだ。
最初の流れは落語「三方一両損」や「井戸の茶碗」のような、そんな話になりそうなのだが、それがネット社会の噂の中で一変し、そして……となる。
この作品のアスガー・ファルハディ監督はアカデミー賞を2度も受賞しているそうだ。
以下の作品