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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

本宮ひろ志は「宗教二世(創価)」の立場から、公明党に色々問いただしたりしてた。(「やぶれかぶれ」再紹介)




さて、たまたま蔵書から目に付いたので、この作品を再度紹介する。本宮ひろ志の「やぶれかぶれ」。漫画家と選挙、漫画家と政治という意味合いで、赤松健氏の出馬の時にも詳しく紹介したかな。
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そこに出てくるちょっとした脇役も、現実社会ではその後も色々活動したり…
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少年ジャンプで現実政治のルポ漫画、作者本人の出馬も視野に入れる、という実験極まりない作品だった。
本宮的にはこれをテストケースとして、さらに優れたノンフィクション漫画、江川卓の証言を描く「実録たかされ」に繋がったことでも重要だ。
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で、作品内では「出馬するしないはともかく、全政党の全党首に会いに行ってみよう!」ということになり、アポが取れたものから順番に会っていく。
新自由クラブ自民党(こちらは広報委員長)など……その流れで、当時の公明党、その委員長竹入義勝に会う予定が取れた。


そしたら、本宮ひろ志はいきなり実家に立ち寄る場面を描く。なんと、本宮ひろ志創価学会二世であったのだ!!ただ、母ちゃんは凄く熱心だが、本宮は一応は創価学会会員なものの、かなり信仰心は薄い……

本宮ひろ志「やぶれかぶれ」創価学会論(本宮氏も当時信者)


それでも、選挙の時は普通に公明党の候補者に入れている。というか、竹入委員長の選挙区だったからまさにその人に投票。そりゃあ、面会した委員長の側もにっこにこ(笑)
長時間仏壇の前にすわる勤行はつらい。自分はそれができないが竹入委員長はしているからすごい、なんて話題も……。

本宮ひろ志「やぶれかぶれ」創価学会論(本宮氏も当時信者)
本宮ひろ志 「やぶれかぶれ」創価学会公明党 本宮ひろ志も信者

しかし……案外と、インタビュー自体は斬りこんでいく!!当時メディアを騒がせた、池田大作名誉会長の女性スキャンダルについて「仮に嘘だとしても、あそこまで付け込まれた池田名誉会長の責任はあるのでは?」とか。
これを、信仰心薄いとはいえ、まがりなりにも創価学会の会員が、公明党委員長にぶつけたとしたら大変な質問だ。
スキャンダルだけじゃなくて「池田名誉会長は宗教的にどういう位置づけなのか?無謬のカリスマなのか、そうでないのか」みたいな問いも…

本宮ひろ志 「やぶれかぶれ」創価学会公明党 本宮ひろ志も信者


ただ、ここで竹入委員長は、スキャンダルは全くの誤解、としつつ、池田名誉会長の位置づけとしては「あの人は一貫して庶民。そう自称もしている。名誉会長自身も何様扱いは望んでいない。その上で一個人として尊敬している」といい、一般論として「人間は間違いをおかすものだ。」こういう形で語っている。

本宮ひろ志 創価学会 「やぶれかぶれ」
本宮ひろ志 創価学会 「やぶれかぶれ」

池田名誉会長は無謬のカリスマ、宗教的にも絶対だ…というのは日本社会で反発を受けやすい。
それに対して「池田名誉会長も一貫して庶民だし、ご本人も持ち上げられたくないのだ」…というのは、効果的な反論だと思う。


だが、歴史はその後「答え合わせ」をしている。
ぶっちゃけ、竹入義勝氏はその後公明党創価学会から「粛正」されたのだ。

1998年 - 8月から9月にかけて朝日新聞に掲載されたインタビュー記事がきっかけで反学会に転じ、公明党最高顧問を解任の上、除名される(詳細は後述)。創価学会も竹入を会員除名に付す。


1998年(平成10年)、公明党創価学会政教一致の関係にあったと主張し、朝日新聞に「55年体制回顧録」が掲載された[5]。同回顧録が精査された結果、学歴記述の矛盾などが見つかった。竹入はこれを逆恨みし反公明党・反創価学会の立場を鮮明にしていき、公明党は中央幹事会で政界引退済みの党の功労者だったにもかかわらず最高顧問職解任、党からの除名を決めた。直後に創価学会も中央審査会を開いて除名処分を決定、事実上の永久追放という形で両者は絶縁した[6]。

ja.wikipedia.org

本宮に語った、池田大作論と、この結果がどれぐらい関係しているのかはわからない。



そういえば個人的に言えば、そのころ自分は小学生で、「池田大作」も「政教分離」も「創価学会」もまったくわからなかった。「スキャンダル」は、言葉の意味すらわからぬ。こういう用語を親に尋ねて、曖昧なこたえしか返ってこなかった記憶があるな(爆笑)。

でも、何か漠然とストーリーを追えたし、興味も持った!それは俺SUGEEか、あるいは漫画SUGEE、本宮ひろ志SUGEE である。

ちょうど、日本国憲法の子供向け解説書を読んだし、
これと前後してるのかな、「久米宏のTVスクランブル」を見たりして、スポンジに水を吸収するように「政治」を知り始めた。その中に幸か不幸か「やぶれかぶれ」も大きな位置を占めている。

しかし、大人になって見直したら

「実家に戻ったら母が仏壇前で南無妙法蓮華経ざんまいだった」
とか
「竹入委員長に池田大作スキャンダルを問いただす」

とかを、少年ジャンプの中で漫画として描写する、ということの意味、重大さがわかった!!!わかったら「本宮ひろ志は、ちょっとおかしいぞ…!」と戦慄した(笑)





本宮ひろ志は…その後も信仰を保ち続けているのかはわからない。
米全く不明、教えてください。吉田豪あたり聞いていそうだが


ただ、ご両親は本宮プロの役員でもあったが、息子の政治活動にすらカネを出そうとしないで、先回りして土地を買って防衛するようなそれこそ庶民としての堅さがあった。
(これも事実かどうか、漫画内での誇張表現かもしれない)
だから、創価学会に財務で何百万円も差し出す、とかは無かったのではないか…いや、そういう他の方面にはガッチリしてても、喜んで宗教には献金する、というのもあり得るのが「宗教」だしな…ここは不明!



本宮はその後、三国志漢楚の戦いをいち早く漫画化するなど、節目節目で重要な作品を残しつつも、
打ち切ったり打ち切られたりの中途半端な作品も多かった。


世間の耳目を集めるような大ヒットでの復活劇は、やはり1994年の「サラリーマン金太郎」と位置付けていいだろう。
その後の盤石の地位は、いうまでもない。


そんな成功者の、今の信仰への思い、創価学会公明党への思いはどうだろうか…? (了)

現在、「やぶれかぶれ」は電子本でも読める。そしてまたもやだが、kindleアンリミにも収録してる(そっちの画像の方が鮮明だから、そっちから引用すべきだったな)