先程録画したメーテレの番組を見ました。名前からジュールクニチから全部パクリでした。パクリでなければ「沖縄の怖い話」(TOブックス)のそのまんま朗読でした。「超ムーの世界R」シーズン222のサイキック芸人キック氏の話。私は許諾もなにもしておりません。週明けに弁護士と協議の上→
— 小原猛@琉球奇譚・沖縄怪談👻 (@damdambooks) September 3, 2022
正式に訴えることにしました。2018年の放送らしいですが、それにしても丸っとパクっています。もう一度言いますが、私は許諾も出しておりません。主人公の名前から何からそのままでいい逃れなど出来ません。あまりにもひどすぎるので、この場を借りてサイキック芸人キック氏には正式に抗議します。
— 小原猛@琉球奇譚・沖縄怪談👻 (@damdambooks) 2022年9月3日
ムー編集部です。「超ムーの世界R」の収録・放送回のご指摘の内容について、番組制作側からキックさんへ事情を確認するよう、編集部からも伝えました。番組側から正式にお返事いたしますので、お待ちください。よろしくお願いいたします。
— 月刊ムー (@mu_gekkan) 2022年9月5日
今回、作家さんから「私の話」を承諾なくしたのだから著作権侵害にあたるとのご指摘を受けております。
私としては著作権侵害にあたるのであれば、直ちに謝罪し、誠実に対応する必要があると考えております。
……ただ、弁護士さんが言うには、著作権は話を創作した人に発生するとのことなのですが、今回の件で私がお話した話は、作家さん自身も人から聞いた話とのことであり、どの部分に作家さんの著作権があるか私には分からず、しかも、作家さんからも著作権侵害との指摘はあるものの、どの部分に作家さんの著作権があるかを明確にしていただけておりません
(略)
例えば伝承のように古くからあるお話には当然に著作権はなくなっていたり、事実を単に述べたようなものには著作権が発生しないなど、専門家でないと判断が難しい点も多々ある……
9/21(水)18:20-生配信-渦中の男、サイキック芸人キックが騒動後初登場!!-何を語るのか-【DFC ベストセレクション】 https://t.co/dNnBHo0J1b #dfs897 #interfm897
— The Dave Fromm Show (@DFS897) September 21, 2022
ぶはははは。
司馬遼太郎が、「その沖田総司は、ぼくが考えたんだよ!」と別の人の創作に切れたっていう実話があるらしいが。
この方知らないけど、なんか「タブー中のタブーにふれやがった…」な気がします。
科学史の世界でも・・・・・・・・なんだっけかな、ある中世か近世の錬金術の本が、様々な新発見が記述されていて、本来ならその作者は科学史に特筆大書されるべきなんだが、作者がおそらく箔をつけるために「これは高名な大錬金術師ナントカカントカの教えにある通り…」という描き方をしたため、名前が残らなくなったという(笑)
ただ、怪談だと対岸の火事のように思うけど…プロレスラーやお笑い芸人、政治家や軍人などなどの「ちょっといい逸話集」だと…ど真ん中やん…
m-dojo.hatenadiary.com
そこに書いてあった「文章」をそのままマネして酷似していたら当然アウト
しかし、それを十分に咀嚼し、自分の言葉に置き換え、なんなら「〇〇さんのXXという本に書かれていた、沖縄のある地方で起きた『実話』だそうだが」と断ったうえで、お話の中核自体は同じことを書いたら、喋ったら?
それに関連して、こういう弁護士事務所のページがあり、面白かった
インタビューされたのですが、私は著作権者になりますか?インタビュー記事の著作権について
(略)
「SMAP大研究事件」と呼ばれる先例があります。この事件で裁判所は、インタビューされた人は、記事の編集作業に関与しなければ、記事の素材を提供したに過ぎないといえ、著作者に該当しないと判断しています。…(略)…
…東京地裁は、原告らが執筆したインタビュー記事が著作物であることを認定した上で、インタビューされた者の著作者性について、「口述した言葉を逐語的にそのまま文書化した場合や、口述内容に基づいて作成された原稿を口述者が閲読し表現を加除訂正して文書を完成させた場合など、文書としての表現の作成に口述者が創作的に関与したといえる場合には、口述者が単独又は文書執筆者と共同で当該文書の著作者になるものと解すべきである」と判示…(略)…
続いて、著作者にならない場合として、「あらかじめ用意された質問に口述者が回答した内容が執筆者側の企画、方針等に応じて取捨選択され、執筆者により更に表現上の加除訂正等が加えられて文書が作成され、その過程において口述者が手を加えていない場合には、口述者は、文書表現の作成に創作的に関与したということはできず、単に文書作成のための素材を提供したにとどまるものであるから、文書の著作者とはならないと解すべき」だと(後略)
これ、逆に「いかにインタビューで自分が著作権者になるか」を念頭において、インタビューを受ける約束をしたほうがいいんじゃないかね。そんなことも念頭に
「弁護士のくず」裁判、と構造が類似?(あれも「元ネタは実話」だった)
怪談をめぐるパクリ騒動。私は原書籍も番組も見てませんのでコメントできませんが、著作権の考え方はハッキリしています。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) September 22, 2022
人から聞いた話は採録者の創作ではないので権利主張はできません。そこに場所や名前を変えた程度ではなく創意ある表現を付け加え、かつその部分まで無断借用されたら侵害です。
出典や商業性を問題にする発言を見ましたが、マナーでなく著作権を問うならば、まずこの「何を借りたか」のハードルをクリアしてからの話になりますね。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) 2022年9月22日
ですから芸人側が、どの部分に著作権を主張するのか作家側に確認しようとされたのであれば、侵害の成否はともかく、初動としては正しいでしょう。
日本でも似た争点で戦われた裁判は多いですが、自分が代理人として関わったものだと『弁護士のくず』事件ですね。
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) 2022年9月22日
人気漫画がノンフィクションの作者の方から侵害クレームを受け、裁判所は「たとえ参考にしても、共通部分は実在の事件など非・創作的な表現だけである」として、侵害を否定。
こちらは漫画家側の代理人で幸い最高裁まで3度勝訴できましたが、「弁護士のくず側の弁護士です」っていうのも複雑だなあ、と当時思っていましたw
— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) 2022年9月22日
という話と裁判の紹介は、以前ここで書きましたね。ふざけたイラストと共に。ご興味あれば。https://t.co/X6jLjR4H39
この裁判もだいぶ前だったが、面白い内容だったので過去に記事を書いてた。