INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

NHKで深夜、宇宙開発に携わった女性研究者描く映画「ドリーム」が放送。邦題変更が話題になったアレ

『ドリーム』3/12(土)NHK総合にて放送!

2022年3月8日




NASAを支えた知られざるヒロインたち。
実話に基づく感動のサクセス・ストーリー。

放送日:3月12日(土)午後11:55~放送
放送局:NHK総合

【ストーリー】
1961年、アメリカはソ連との熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない“計算”を行う優秀な黒人女性たちのグループがあった。そのひとり、天才的な数学者キャサリンは宇宙特別研究本部のメンバーに配属されるが、そこは白人男性ばかりの職場で劣悪な環境だった。仲の良い同僚で、管理職への昇進を願うドロシー、エンジニアを目指すメアリーも、理不尽な障害にキャリアアップを阻まれていた。それでも仕事と家庭を両立させ夢を追い続けた3人は、国家的な一大プロジェクトに貢献するため自らの手で新たな扉を開いていくのだった…。
www.20thcenturystudios.jp

www.youtube.com



この映画を、自分が知ったきっかけは…
…当初わかりやすくするために、ってんで「私たちのアポロ計画」って邦題がついたものの「彼女らがやったのは『マーキュリー計画』だろ!」ってツッコミが入り邦題が変わった…って一件が話題だったから。
www.buzzfeed.com

togetter.com

togetter.com



さらに言うと「マーキュリー計画」に絡んで、同じくその計画を映画化したライトスタッフ」のことがネットで話題になり…→「ライトスタッフといえばパトレイバー漫画版で、最初と最後のサブタイトルになったよね」→「あれは良かった!」とかが盛り上がり、その結果として

togetter.com

という、非常に資料的価値の高いまとめが作られたからだ(俺によって。つまり自画自賛(笑))


まあ、そんな縁で知った映画であって,実際の作品は自分も未見なんだけど、さらにいえば

「周囲の無理解など、非常に逆風な環境の中で、それでも知を求め、追求する」という”ジャンル”が個人的にも好き(話題作「チ。ー地球の運動について」などなど)で……、その一環のなかで、さらにいえばそれをかつての(今もなおの)女性を取り巻く環境に焦点を当て、「知を追う女性もの」というべきジャンルが、今後も増えたり続いたりしてほしいと思うのです(個人的に広がってほしいジャンルを、あとでまとめて書こうと思ってます)。


たとえば、「ダンピアのおいしい冒険」のトマトスープ氏が連載中な、これとか。

『天幕のジャードゥーガル』

トマトスープ
『天幕のジャードゥーガル』トマトスープ後宮では、賢さこそが美しさ。13世紀、地上最強の大帝国「モンゴル帝国」の捕虜となり、後宮に仕えることになった女・ファーティマは、当時世界最高レベルの医療技術や科学知識を誇るイランの出身。その知識と知恵を持ち、自分の才能を発揮できる世界を求めていたファーティマは、現皇帝・オゴタイの第6夫人でモンゴル帝国に複雑な思いを抱く女・ドレゲネと出会う──。歴史マンガの麒麟児・トマトスープが紡ぐ、大帝国を揺るがす女ふたりのモンゴル後宮譚!
souffle.life

f:id:gryphon:20220312030530j:plain
トマトスープ 天幕のジャガートゥール、太陽と方角と時間


女性、数学ということでこれもリンクしておこう
togetter.com



余談。実は日本でも、女学生の計算力を動員する国家事業があり……

m-dojo.hatenadiary.com
毎日新聞2013年7月13日 保阪正康の連載コラム「昭和史のかたち」。
・自分は16年、「昭和史講座」をカルチャーセンターで行っている。
・受講者は延べで20000人を超える。
・多くは戦争体験者で、自分は教わることが多かった。なぜこんな若造の講義を、実際に生きた先輩が聞くのですか?と尋ねたら「なぜあんなおろかな戦争を始めたか理解して死にたい」「昭和天皇の責任について自分なりの考えをまとめたい」などの切実な思いが帰ってきた。

という話を紹介したあと、印象的な3人の受講者の証言を紹介する。うちひとりを抜粋し紹介。

Aさんは、ある老舗の企業グループ総帥だった経営者の夫人。毎回一番前の席に座り、私の話に耳を傾けた。ある時、私に近づいてきて「戦時下、私は東京女子高等師範学校の数学科の学生でした。勤労動員というのは大本営の一室に詰めることでした…」といい、その体験談を話した。
参謀が持ってくる情報に基づいて、とにかく計算を繰り返す日々だったという。はじめはそれが何かわからなかった。
やがてそれは本土に侵入してくる米軍の戦略爆撃機B29を迎撃する高射砲舞台の角度を計算していることだとわかった。
次第に数式の角度が鋭角になり、B29が低空で侵入してくるのが分かりました。先生、この計算部隊の複雑な心情をぜひ書いてください。私たちの計算はどんな役割を果たしたのか、知りたいのです」と、Aさんは繰り返していた。墓前で、その約束を果たすことを誓ったが、今も果たしていない。