滅びたり滅びたり敵東洋艦隊は
マレー半島クワンタン沖に 今ぞ沈み行きぬ
勲(いさお)し赫(かく)たり
海の荒鷲よ
沈むレパルス 沈むプリンスオブウェールズ
1941年12月10日、マレー方面の日本軍にとって脅威であった戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスからなるイギリス海軍の東洋艦隊は、航空援護なしでマレー沖を航行中、日本海軍の陸上攻撃機隊に捕捉され、魚雷攻撃により2隻とも沈没した。これは戦闘行動中の戦艦が航空機のみによって沈められた史上最初の例であり、世界を震撼させるとともに、日本にとっては開戦劈頭のマレー半島上陸や真珠湾攻撃につぐ開戦3日目の大戦果であり、国中を興奮させるニュースであった。
この戦果の大本営発表は午後4時であったが、NHKは3時間後の午後7時のニュースでこれを告げる際に戦果を称える歌を添えることを企画した。作詞の高橋掬太郎と作曲の古関裕而は電話で連絡を取りながらこの歌を作り、歌唱の藤山一郎は編曲が出来るまでの間に歌を覚え、ほとんど初見でラジオの電波に乗せるという離れ業を行った。
特徴
短時間に作られた曲ではあるが、大戦果に沸き立つ興奮の伝わってくる、力のこもったリズミカルな佳曲である。「プリンス・オブ・ウェールズ」という長い艦名を英語式に3音節で歌っているのも特徴的。また、一番と二番の間奏に「軍艦行進曲」が流れる。
きのう、10日にこの記事を書けば一番座りが良かったんだけど、自分が「さすがに、完成したのは翌日の11日だろー」と思い込んでいたので、いまウィキペ記事みてギャッとなったよ(笑)
この光景が数作前の連続テレビ小説「エール!」で映像化されたんだっけね。
今朝の #エール で流れた「英国東洋艦隊潰滅」で、沈む〜、レパルス♪沈む〜プリンス・オブ・ウェールズ♪と歌われ、マレー沖海戦ではやられ役になっちゃったけど、どちらも艦影はとても美しいのです。左前方から撮ったのがプリンス・オブ・ウェールズ、左後方からのがレパルスです。 #朝ドラエール pic.twitter.com/6DqXwhIgh1
— ノリパー (@noripa_v3) September 28, 2020
国民はこの大戦果に欣喜雀躍しました。古関も、「我々は思わず拍手し昂奮、感激した。始まった以上、勝たねばならぬからである」(『鐘よ鳴り響け』)と振り返っています。
ところが、そこにたんに喜んでいるだけではない人がいました。先述したラジオ局の丸山鐵雄です。丸山は、これこそ「ニュース歌謡」の題材にふさわしいと即断。さっそく古関に作曲を依頼したのです。作詞者に選ばれたのは、「船頭可愛いや」の高橋掬太郎でした。
放送は、午後8時。たった3時間ほどしか猶予がありませんでした。普通、歌詞ができてから、作曲家は仕事にかかりますが、それではとうてい間に合いません。そこで、古関と高橋はお互い相談しながら、作詞・作曲を同時に進めました。歌手に選ばれた藤山一郎は、そんなことはつゆ知らず、放送局にやってきたところ、実情を知って、大いに驚くのです。
私は当然、その歌詞も曲もできているものと思っていた。ところが、局に行ってみて、びっくりした。なんと高橋さんは、まだ作詞の真っ最中だったのだ。
「どうもこう急かされると、いい文句が浮かんでこなくてねえ」
ま、しょせんは緒戦のあだ花(ダジャレ)に過ぎず、この後、航空機によって戦艦をえじきにするという光景を連合軍としては大和、武蔵で倍返ししたし、これによって日本の戦争が、アジア諸国民の抵抗もふくめ、大局的にどうこうなるってものではなかった。
ただリアルタイムでこの報が入ってきたときのわが国も世界も、その後の展開を事後諸葛亮で知ってる我らとはちがう。
特に、3日前に「日本をダシに、米国もついに対ヒトラーに参戦となったぜ!これで万事良好、日本?まあ片手間で十分…」と思ってたし、有色人種全般への偏見もたっぷりあったチャーチルは生涯有数の大ショック。
その後シンガポールも占領され、冷や汗三斗となった。
また中東や中央アジア、米国の黒人層など、直接わが皇軍のアレっぷりを知らない界隈には、「有色人種が白人の戦艦を沈没させた」というところだけ伝わって大興奮のニュースではあったとか。
「プリンス・オブ・ウェールズ」とは、例によって連合王国としてのイギリスは皇太子が、この称号を兼務するのだとか。別に「ヴィンランド・サガ」のアシュラッドではない
アシュラッドさんですか pic.twitter.com/QB7IQLB9NI
— 新一 / 岩瀬新司 (@Shini_chi) October 24, 2017