昔、
— 翅田大介@ヤクザ令嬢1・2巻好評発売中! (@DaisukeHaneta) February 1, 2021
「アニメ化したいならアニメ化しそうな作品書かせてあげてもいいけど、魂売ってもらうよ? 売れる? 魂? 魂を売るにも才能が要るよ? 君は魂を売る才能ないから、魂売らずに作品つくった方がいいよ」
と言われたことがある。魂を売るにも才能が要る。これはなかなかに含蓄のある言葉だと思う
まとめ
んで、このツイートをリツイートしたあと、自分の思い出話…。
こういう二択を編集者から提示された、ということを回想した人がいる。
それが田丸浩史氏だった、って。というか田丸漫画が柱の雑誌ってどんなだよ。鬼殺隊だったら何柱だ。
昔編集者から「柱になるようなものを描きたいか、好き勝手描きたいか」と訊かれた事があるけど、そういう事だったんだな。ノータイムで「好き勝手で」って答えてしもうたけど
— 田丸浩史 (@tamaruhiroshi) February 2, 2021
ちなみに、スマホアプリと電子書籍化で「どの雑誌に載っているか」とか「ひとつの雑誌の中での”柱”や”好き勝手”枠」という形状が、どれだけ続くかは非常に心もとない。これは2013年のツイートだよ。
マンガ雑誌の意味ってのは売れてる作家と売れてない作家、新人作家をパッケージングして「抱き合わせ」することに意味があるわけで、これが崩壊すると売れてない作家がどう生計たてるかという問題が浮上してくる。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) April 2, 2013
そして、このまとめと繋がって連想した。
『グローバルスタンダードとは「誰も傷つけてはならないので、できるだけ全人類に向けるために自分のコンテンツを去勢する」って事だ。』
『中国の検閲機関の人達も含めて皆を喜ばせるつもりなら』
「魂を売る」ということをかなり戯画化というか誇張して描いた話が、漫画「編集王」で何度か登場している。
ひとつは、右も左もわからない新人漫画家が編集部主導の企画で描いて大人気になったが、自分の意に添わぬ作品に「もう勘弁してくろ…」と号泣する。
セーラームーンよりブルセラムーンのその後がどうなったのか気になる…この作者どうなったんだっけ?w pic.twitter.com/iRrrDhGsS9
— パス〒ノレ (@pasuterurururu) 2020年4月21日
あと、新人がつぶれる回もあったな…
後期には、編集者に希望や情熱を持たず、締め切り厳守で打ち合わせなどもやる気なかった編集者がふと思い立って、やはり編集主導で自由にコントロールできるような作品をイチから作ろう、という話が…
だが、その「楽な作品を作ろうとする行為」にめちゃ手間ひまかかっていたのは、物語の作り手の計算した逆説だったのか、計算ちがいなのか…。
編集王 文庫版 コミック 全10巻完結セット (小学館文庫)
- 作者:土田 世紀
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 文庫
編集王の、一種のアップデートという面もあった(同じスピリッツ系から出たのだもの)「重版出来!」も、あれですワ、同じく「編集者が作者に『魂』を売らせようとして、作者が(一度は)潰れていく」という話を描いてました。
そして、締めにこんな話。
m-dojo.hatenadiary.com
- 作者:実相寺 昭雄
- メディア: 文庫
・・・じつウルトラの初期シリーズには、あまり和風の部屋というものが出てこない。それには理由があって、プロデューサー側から、禁じられていたのである。なぜ禁止だったかといえば、海外への輸出を考えているから、なるたけ、和風のものはさけよう、ということだったのだ。
べつだん、禁止事項ではなかったかもしれないが、関係者のあいだで、そのほかにも暗黙の了解というのはあったようである。
「おまえが全部ぶちこわしたんだ!!」
と、苦笑いされながら指摘されたこともあった。
(略)
具体的にいわれていたのは、畳の部屋は避けるというもので、なにがなんでも、ということではなかったのだ。(略)でも、わたしはなんとか、和風というか、畳の部屋を出したかったのだ。
そこで「ウルトラセブン」の際に、ダンと宇宙人の対決を、畳の部屋にしたのである。中へはいって廊下までは溝口あたりのアパートでやり、室内をセットで処理したのだ。畳の間を使ったおきて破りに、さんざん関係者からは文句をいわれたが、じつは局のプロデューサーが交替したばかりだったので、そのドサクサにまぎれてやったのである。
(後略)