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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

江戸時代から醤油がロンドンで人気? 「大豆と人間の歴史」雑学読書メモ

この前の記事では、本全体を紹介しようと思ったら、プロローグ的なことを紹介するだけに留まってしまった。
図書館に返さなればいけないのでメモ的に箇条書き。
m-dojo.hatenadiary.com

人類が初めて手にした戦略作物・大豆。
その始まりは、日本が支配した満州大豆帝国だった。

サラダ油から工業用インク、肥料・飼料、食品・産業素材として広く使われ、
南北アメリカからアフリカまで、世界中で膨大な量が栽培・取引される大豆。

大豆が人間社会に投げかける光と影、
グローバル・ビジネスと社会・環境被害の実態をあますところなく描く。


大豆からは重量比で15から20%の油を取り出すことができる


日露戦争満州を獲得した日本はここで生産した大豆から植物油を輸出した。当初は工業用だったがその後マーガリンなどの需要が増えた。同時に大豆はタンパク源としても有効である。


大豆のタンパク質の豊富さは家畜の資料としても最適で、ひろく使われるようになった、油を絞った後の大豆が鶏などの餌として200億羽以上に供給されている。


大豆生産の貿易とその量は急速に拡大したためにシンデレラ作物とも言われる。


大豆は根粒菌と呼ばれるバクテリアによって空中の窒素を固定し 取り込むことができるので土壌を豊かにする、特にトウモロコシと輪作することができるため、 非常に好ましい影響を与えているのである。


大豆にはレシチンが含まれこれは油を小さい分子にして内臓中で油脂の吸収を助ける 。



1970年代に南米で大量の魚粉飼料として使われていたカタクチイワシが不良になり漁獲高が激減したためその代替品としての大豆生産が進んだ。この時大豆需要の逼迫による輸入 現象に苦しんだ日本は、ブラジルなどで品種改良や直接の栽培など技術面での支援も行った。40年間でブラジルの生産は15倍になった。


大豆はアジアでは古くから食べられていたとはいえ料理しにくく消化に悪いともみなされていた。また小麦粉のように粉をひくと大豆は油が豊富なのでぼそぼそとした塊になって粉にはしにくい。


この解決法の一つとして大豆を発酵食品として使うほうが進む。そして有名な醤油屋豆腐が誕生した


豆腐が誕生した時期については特定が難しいが 唐の時代には存在していただろう。
インドネシアにはフビライハンが結果的に豆腐を伝えたという伝承がある。
これはカルタネガラと言う王様とその義理の息子、彼らがインドネシアをモンゴルの制服から守ったと言う話に関係しているらしく興味深いが後で調べる。
とりあえずインドネシアにはその結果テンペと呼ばれる大豆発酵食品が今に伝わっている 。


その他アジア中に様々な形の大豆発酵食品がある。また発酵させていないものでも枝豆もやしきなこなど様々な工夫がある。


醤油や味噌は大航海時代の頃にも西洋から興味を持たれていたという。イタリアにはフランチェスコ・カルレッティという 、世界を旅して日本にも来航した商人がいたが、彼が味噌について記述している。
その後出島に訪れたケンペルの記述によって大豆に対する知識がさらに深まったのは1712年。


1670年にイギリスで醤油が使われていた。これはジョン・ロックの記述があるし、バイロンが作った子にも日本の醤油の記述がされている 。

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「大豆と人間の歴史」より。江戸時代には既に欧州で醤油が好まれていた


フランスで19世紀半ばに大豆研究が盛んになり 、オーストリア王立農業学院の学長だったフリードリヒハーベルラントが万国博覧会で19品種の大豆の種を手に入れて研究し1878年「大豆」を出版した。


フランスで教育を受けた中国人生物科学者「リ・ユイン」は大豆チーズや大豆ハムなどを開発したが、あまりに時代に先駆けすぎ成功はしなかった。


アメリカで大豆が広まるのは中国が日本の移民が入るようになってから。
空中窒素固定する大豆を、連作障害を防ぐ目的で当初から広く栽培していたらアメリカ子は変わっていたかもしれない。


20世紀になって、中国人女性金雅梅やウィリアムモース、 バルモン・ドーセットなどが大豆の普及を目指し活動した 。ハリー・ミラー博士は栄養失調の改善のために豆乳を使う方法を模索、豆乳の強い豆の臭いを解消するため高温蒸気による加熱を「神の声を聞いて」開発したという。今世界各国で豆乳が飲まれているのはアジアの伝統とかというよりそのハリー・ミラーさんの功績の方が大きい。


フォードの創業者ヘンリー・フォードも大豆に興味を持った一人。彼はユートピア志向未来志向のある人間で、1934年のシカゴ万博で、大豆によってたんぱく質や機械を動かす燃料などを賄う「工業化農家」のモデルハウスを出品、大豆チーズ屋ココア入り豆乳を振る舞った。
最終的にこのフォードの試みは様々な新企業に売却され、新産業が始まっていった。



第二次世界大戦時には食料として、 あるいは油の供給源として大豆はアメリカやイギリスで広まっていった。だが大体食品として使用されたこともあり戦後は急速に人気を失って行く



発展途上国、例えばエジプトなどにとってもやはり大豆そのまま食べればいいと言われても人々は鶏肉などを求めた。大豆が飼料用として使われるようになるのもある程度はやむを得ないことであろう。



南米の大豆畠開発による環境破壊、遺伝子組み換えによる大豆栽培の是非などなについても後半では書かれているが特に興味がないので略す 。



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築地書館のwebページで更に詳しい内容(訳者あとがき)をお読みいただけます*

www.tsukiji-shokan.co.jp

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序章 隠された宝
大豆と戦争
大豆たんぱく質が家畜を太らせる
巨大化する大豆貿易
大豆と根粒菌の共生関係
マーガリンを作る
南米と大豆
さまざまな工業製品への利用

第1章 アジアのルーツ
大豆栽培の始まり
食用に加工され始める
豆腐の誕生
フビライ・ハンがインドネシアに豆腐製造を伝える
大豆を発酵させるアジア人
創意にあふれるアジアの大豆食品

第2章 ヨーロッパの探検家と実験
大航海時代にヨーロッパにもたらされる
ヨーロッパで花開く大豆研究
高まる大豆への関心
第一次世界大戦後に広まった新しい利用方法

第3章 生まれたばかりの国と古代の豆
新大陸と大豆栽培
いかにしてアメリカに大豆食品を根づかせるか
栄養失調の子どもたちに豆乳を
産業・医療への利用──大豆に価値を見出す
フォード社と大豆

第4章 大豆と戦争
兵士の食べ物
ナチスは大豆の重要性に気づいていた
満州に目をつけた日本
捕虜の栄養源となる
食料難のソビエトで渇望された大豆食品
戦時下のイギリスで健康改善に貢献した大豆
戦争に勝つためにはもっと大豆を
戦後のアメリカでは、食用から飼料へ変身する
醤油と豆腐の製造方法が変わった戦後の日本
戦争と結びつけられた大豆

第5章 家畜を肥やす飼料となって
エジプトから始まった鳥インフルエンザ
鶏の血のソーセージ
飼料大豆の普及
骨つき鶏肉が日本にやってきた
スペインでのオリーブオイルvs大豆油
世界征服をねらうアメリカ産大豆
大豆で大量生産される鶏肉
劣悪な環境で飼育される豚たち
安い肉が引き起こす問題
消費者の健康と大量生産された肉
森林を破壊する飼料大豆
大量の排泄物が引き起こす問題

第6章 大豆、南米を席巻する
二つの生き方──ブラジル先住民と大農場主
カタクチイワシ不漁に始まる日本のブラジル進出
二人の大豆王
劣悪な環境に置かれた労働者
アマゾンの森林とブラジル農業
アルゼンチンでの闘い
アルゼンチンが大豆かす輸出第一位へ躍りでる
抗議運動
パラグアイでの大豆栽培をめぐる緊張
「大豆連合共和国」

第7章 大豆が作る世界の景色
法的に疑わしいカーギル社の穀物ターミナル
輸出港へのジャングルを貫く道路建設
なぜ南米にばかり環境保護を押しつけるのか
単一栽培が農業を危機にさらす
雑草対策のためのグリホサート耐性をもつ遺伝子組み換え大豆
遺伝子組み換え作物に対する懸念
除草剤の使用を増やす遺伝子組み換え大豆の栽培
遺伝子組み換え作物が土壌に与える影響
グリホサートの農民への影響
グリホサート耐性大豆と不耕起栽培
農業には欠かせない淡水と環境汚染

第8章 毒か万能薬か
大豆の効果を単純化してはならない
大豆の基本的な知識
大豆に関する三大論争──精子減少・循環器系疾患・乳がん
バイオテクノロジーと豆──遺伝子組み換えの基本的ステップ
遺伝子組み換え作物は「フランケンフード」か?
人体への影響は?
非GE大豆とGE大豆
遺伝子組み換え作物のリスク──二つのケース
GMO表示は義務か必要ないか
遺伝子組み換え食品議論のアイロニー
救援物資としての大豆

第9章 大豆ビジネス、大きなビジネス
大豆のはるかなる旅
先物取引の対象として
大豆をめぐるスキャンダル
懸念を生むアメリカ政府の自国農家への支援
反対運動にあう輸入GE大豆
栽培農家と企業間の不公平な契約
豆乳はミルクか?
大豆業界による土地の強奪

第10章 試練の油大豆バイオディーゼル
大豆ディーゼル燃料がインドネシアに与える影響
バイオディーゼルと環境
バイオディーゼルの適切な使用法
バイオ燃料の再生可能燃料識別番号(RIN)制度
気候変動への影響
使用済み油からバイオディーゼル
使用済み油をめぐる争い
大豆油の需要の高まり
世界の片隅にしわ寄せが
自分の身近なところで変革を

おわりに
謝辞
訳者あとがき
参考文献
引用文献
索引