…彼はスピーチの最後を「私の兄は暴力を望んでいない」という言葉で締めくくり、平和的な抗議活動の必要性を訴えた。
(略)
…「今起こっている事態を団結と呼ぶ人もいるかもしれないが、これは破壊のための団結だ。これは兄が望んでいたものではない。怒りのエネルギーを前向きなものに変えてほしい」
forbesjapan.com
それでメモしておくんだけど、2020年6月2日で、上の場面をニュースショーが放送したさい、ニュース23は画像の通り「私の兄」という翻訳をしていたのだが、報道ステーションは「兄貴」という言葉を使い、言葉が非常に粗野な形で翻訳されていたのでした。
慌ててスマホを構えたんだけど、カメラが起動する前に画面が終わったので収録できなかったが…
追記
そのままかは確認できないけど、翌3日の「ワイド!スクランブル」でフィリップの形で翻訳が出た
さらに追記
TBSでもニュース23とは違うところが、別の翻訳を出していた
亡くなったフロイド氏については「兄さん」と表現しているが、「俺」「やつら」「ぶっ壊す」「〜しようぜ」など、全体的には一番「粗野」(あるいは「ざっくばらん」)な口調での翻訳である。
【暴力をやめて投票を 弟の訴え】ノーカット版
— TBS NEWS (@tbs_news) June 3, 2020
アメリカで白人警察官に拘束された黒人男性、ジョージ・フロイドさんが死亡した事件。弟のテレンス・フロイドさんがデモを続ける人々に訴えたこと。
「暴力はナシだ」
「俺たちの声が届かないなんて考えは捨てて投票するんだ」#BlackLivesMatter pic.twitter.com/h0rJUBNdvH
これは、けっこう編集権に渡るだけでなく「彼(フロイド氏の弟)の口調、ボキャブラリー、アクセントなどを踏まえたら『兄貴』のほうが適切な訳だと判断したんだ!!」という主張だって、ひょっとしたらあり得る。
ただ、逆に・・・・「黒人、あるいはアフリカ系の英語の喋りは、こう翻訳するもんだよな」という、そんな意識があった、のかもしれない。
スピーチの口調やボキャブラリーやニュアンス的に、どう訳すのが”正解”なのかは、元動画を見て英語に詳しい人はご判断を。
WATCH: Full speech by George Floyd's brother, Terrence Floyd, at site of George Floyd's death. pic.twitter.com/piEcnilzCb
— NBC News (@NBCNews) 2020年6月1日
格闘家のインタビューも、まさに一人称や語尾などを、どう訳すかによって個々の格闘家のキャラが変わっている。
ただ「翻訳を敢えて乱暴、粗野な口調にして、そういうイメージを植え付けようとするのはけしからん」みたいな話、実際に見てみると、一番の”被害者”は逆にトランプ氏かもしれず、いろいろ問題はややこしくなる。
とりあえず、自分が実際に見た、兄を警官の暴行で殺されたアフリカ系の米国人男性が暴力を止めるよう訴える画面で、テレ朝(報ステ)は「兄貴」、TBS「ニュース23」は「私の兄」と訳して、字幕に残していた…という、記録してかねば絶対に皆が忘れてしまうであろうことを、メモっておく。
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……かつて人気を博したテレビドラマに「刑事コジャック」「刑事コロンボ」のふたつがある。この両ドラマ、額田やえ子さんが共に翻訳した…のだが、コワモテのコジャックと人懐こいコロンボではもちろん語り口、口調が違う。
翻訳者は、同じひとことでも、こう翻訳を使い分けた、のだという。
一覧表にしよう。
英語原文 コジャック コロンボ Come On! 「早く来い」 「こっちこっち」 That makes sense. 「筋は通ってる」 「ごもっともです」 Let me see that. 「見せてみな」 「ちょっと拝見」 Hold it! 「待て!」 「あ、そのまま」 You gotta be kidding. 「なめるんじゃねえよ」 「ホントですか、それ」
名人の技、ここに至る。
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