夏の甲子園中止。選手と、関係者にはお見舞い申し上げます。無念の思いは察しようもありません。
・・・・・・に関連して、5年前の夏、甲子園にまつわる小さな事件を、唐突に思い出した。
と言いつつ、個人的には唐突という訳でもなく。
実はこういう本を今読み進めている最中で。
スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?──アスリートの科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者:デイヴィッド エプスタイン
- 発売日: 2016/07/07
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それプラス、ひとつ前のエントリも頭にあって、それでふとおもいだしたのだった。
自分はその話を
- 作者:プチ 鹿島
- 発売日: 2019/04/10
- メディア: 文庫
それを紹介しよう
【高校野球】オコエ瑠偉に関する報道で考えてしまう一件|プチ鹿島コラム
2015.08.16 19:00 デイリーニュースオンライン思わず考えてしまう一件があった。「オコエ瑠偉」に関する報道である。オコエ瑠偉とは、高校野球・関東第一(東東京)の3年生。彼の俊足は圧巻であり、その実力とスター性は早くも今秋のドラフト候補として話題だ。父がナイジェリア人で母が日本人の選手である。そんなオコエ瑠偉は甲子園初登場の試合で大活躍……しかし、その報道の翌日。ツイッターでオコエ瑠偉に関する記事を問題視する人たちのツイートがまわってきた。スポーツ報知の以下のような表現が批判されていた。
・「オコエ瑠偉外野手(3年)が、野性味を全開させた。」
・「真夏の甲子園が、サバンナと化した。」
・「オコエは本能をむき出しにして、黒土を駆け回った。」
・「味方まで獲物のように追いかけた。」
・「飢えたオコエが、浜風をワイルドに切り裂く。」これらの表現がツイッターで「人種差別」だとして非難されていた。私はなんともいえない気分になってしまった。というのも、このスポーツ報知の記事を私はふつうに読んだからである。私は差別主義者なのだろうか。
ひとつ言い訳をさせてもらうなら、私はオコエ瑠偉の愛称が「チーター」であることを知っていた。……(略)でもたしかに「チーター」の愛称を知らない人が報知のあの記事を読んだら、オコエの「俊足」でなく「出自」を大仰に書いていると思ってしまう可能性もあるだろう。
(略)
ツイッターでは、《「…サバンナと化した。…本能をむき出しにして…」←この表現を彼のルーツであるナイジェリア人に見せたら大笑いされるだろう。だってナイジェリアにサバンナはないから。アフリカを馬鹿にしている。》というツイートもあった。しかし、チーターという愛称前提で読めば、チーターこそサバンナにいる。とくに不自然ではない表現になる。だから私はふつうに読んでしまった。もしスポーツ報知に今回ミスがあったとすれば、みんながみんなオコエ瑠偉の愛称を知っているわけではない、ということを忘れていたことだろうか。文中に愛称のことを一筆いれておくべきだったかもしれない。世の中には通りすがりに正義を吐く人もいるのだから。
「差別」とは先天的な属性、自分の選択したものでないものに対してだ、という定義がある。
オコエ瑠偉選手の俊足が先天的な、あるいはルーツの人種が持つ遺伝的な特徴か否か、となればそこは科学的な検証もいるだろうけど、アスリートとして高校野球からプロまで活躍できるのは、本人の血のにじむような創意工夫と日々の練習があることは間違いない。その結果として得られた俊足やしなやかな体のこなしを間近でみた、チームメートたちが彼を「チータ」と呼んだ(※チームメート由来のニックネームらしいです、これ)。何の不思議もない話である。
しかし、その結果として
「オコエ瑠偉がサバンナを駆け、獲物を狙う」というレトリックは、一瞬にして「黒人差別のけしからんヘイトスピーチ」から「チータの異名を仲間からつけられた一個人・オコエ瑠偉の才能と努力を称える名フレーズ」となるのか、ならんのか。
仮になる(差別ではない)としたら、スポーツ報知の記事、記者は”名誉回復”がなされるべきではないか?
これは2015年、この問題が報道された時、その記事から振り返ってみるとどうなのだろうか。
そのブクマ
属性テンプレ丸出しの宣伝文句しか浮かばないアタマしか無いのなら、そんな担当は『ポリティカル・コレクトネス』の欠落を自覚した上でメディア職を辞めたほうがいいと思う。 sports baseball 差別 これはひどい media literacy
2015/08/18 リスト yellowyellow 72 clicks記事を読めばわかるんだけど、現役時代の王貞治を「中国四千年の歴史ガー」と褒めるレベルの表現だったので、アウトもやむなし。
2015/08/17 リスト差別はいかんよ。
2015/08/17 リスト純粋日本人に比べて身体能力が優れているという表現を野生に例えるのはそれほど違和感ないけど、野蛮的なニュアンスがあったのかなあ? 社会
2015/08/16 リスト yellow 22 clicksこれって差別なの? 社会
2015/08/16 リスト結局、スポーツ報知は件の差別記事を削除したのか。日本のスポーツマスコミと野球界はこのような無自覚な差別意識が問題視されることなく生き残っているのだから、本当にたちが悪い。
2015/08/16 リストスポーツ新聞の記者に見識求めるのがそもそも不毛だけど記事酷すぎ/そんで次の日曜にサンデーモーニングで張本が高校球児らしさがとか品位がとか言い出すんだろなー、絶対見ないけど
2015/08/15 リストそんなに活躍するハーフが珍しいのかという印象 野球 報道
2015/08/15 リスト 46 clicksバカだねとしか言いようがない。
2015/08/14 リスト 17 clicks総じてスポーツ紙は品のない表現が多い
格闘技ファンも、この前UFC殿堂入りしたケビン・ランデルマンの異名「リアルドンキーコング」でひと騒動あった。
ケビン・ランデルマンが試合前に垂直跳びをする驚異のパフォーマンス、その跳躍力を知っているものからは、ドンキーコングというゲームで「ジャンプ」が重要な意味を持つところから連想して、そういう異名がついたこともごく自然に思い得るのだが、海外の一部ではそうは受け止められなくてちょっとした騒動になりました。ゲーム由来であることは、トーナメントGPのあおり映像で彼が、初戦でミルコ・クロコップをやぶり2回戦がヒョードルだった時「2面でいきなり、ラスボス登場」と銘打ったことでも確実なのだけれども。
またドンキーコングって、そのジャンプするキャラと、ゲームの名称になった「コング」キャラは別物だし「ドンキ―(とんま)」までご丁寧についてるしね…
リアルドンキーコングは闘いに来ていたんだが、メディアは闘いだけでなくキャラをつけて煽らなくていけない。自分のドンキーコングのジャンプが受けていると察したランデルマンは、自分に求められている事を瞬時に察し、こちらがカメラ構えて現れるとスイッチを入れてくれたプロだったんだ。
— 玉袋筋太郎 (@snack_tama) February 12, 2016