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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

日本の外務省には、かなり巨大な潮流として『親イラン派』があるらしい(佐藤優の著作だが、うろ覚え)

www3.nhk.or.jp

これで「第三次世界大戦が起きる」みたいな予想が声高に語られているが、自分はいろいろ経緯を省略して結論だけ言うと『第三次世界大戦がここからダイレクトには発生しない』と考えています。


それはそれとして本題に。

日本のイラン外交は…というかイラン外交「だけ」は、やたらと粘り腰になる感がある。
安倍首相のイラン訪問、逆にロウハニ大統領の日本訪問なんてのが、アメリカとイランのほぼ全面対立のなかで実現したことは記憶に新しく、とくに後者では

www.newsweekjapan.jp
安倍晋三首相が20日、イランのロウハニ大統領との会談で、日本の船舶保護に向け、中東に海上自衛隊を派遣する計画を伝えたと、日本当局者が明らかにした。

当局者は首脳会談後のメディアブリーフィングで、ロウハニ大統領は同計画について、航海の安全性に貢献するという日本側の目的に理解を示したと説明した。


韓国の中央日報

…日本は先日、イラン大統領を東京に招待してホルムズ派兵に対して直接了解を求めたが、韓国外交部はイランに対して首脳の訪韓を要請もしていないことが25日、確認された。

イランのハサン・ロウハニ大統領は数カ月前から日程を調整し、今月中旬、マレーシアや日本など東アジアを歴訪した。しかし、韓国からは招待がなかったため「スルー」したということだ。このため、ホルムズ海峡派兵決定を目前にしている韓国が、イランとの外交摩擦を最小限に抑える努力をおろそかにしていると指摘の声が上がっている。一方、日本はイランと同じくかつては王朝国家だったという共通点を持ち、伝統的な友好関係を続けている。

日本の安倍晋三首相は20日、1泊2日の日程で訪日したロウハニ大統領と首脳会談を行った。安倍首相は日本の自衛隊駆逐艦1艦と対潜哨戒機1機をイラン近くの海域に派遣する計画について説明した。今月末の閣議で派遣案を正式決定する前に、事前に了解を求めたものだ。これに対してロウハニ大統領は「非常に透明に」派遣案を説明してくれたことに感謝の意を表したと共同通信が報じた…
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191226-00080011-chosun-kr

このへん、韓国の保守系新聞は「安倍はけしからんが、うまくやっている。それに引き換え文政権は…」と自国をくさす前フリとして安倍政権を実態以上にしたたか、老獪に描くという、非常にひねくれたねじれがあるので、額面通りに受け取りにくいのだけど(まあ、海外報道あるあるではある)…



なぜ、外交下手、というよりハナから消極的な面のある日本が、イランに関してだけはとりあえず手数が多いのか?「石油」で説明がつくっちゃつくが、それではつかない面もありそう。


そこで、話が一気に曖昧…いや、けっこう読んだ内容は鮮明で、かなり印象的なんだけど、「ちょっと立ち読みしただけで、書名すらロクに覚えていない」、という難点があるんだ(笑)
それは佐藤優の膨大な著作の、一冊。

中東情勢、ユダヤイスラエルに焦点を当てた本だった。そもそも佐藤が外務省を失脚、逮捕され裁判で有罪になったのにはイスラエルの学者の招待についても関係していた。

(ウィキペ 佐藤優
支援委員会をめぐる背任
2000年1月、テルアビブ大学教授ガブリエル・ゴロデツキー夫妻をイスラエルから日本に招待した際
同年4月、テルアビブ大学主催国際学会「東と西の間のロシア」に7名の民間の学者と外務省から6人のメンバーを派遣した際
この2回の費用を外務省の支援委員会から違法に引き出して支払った疑いである。この疑いに対し佐藤は、支援委員会から支払をすることは通常手続きである外務事務次官決裁を受けており正当なものだった、と主張している。また、佐藤の上司だった当時の外務省欧亜局長東郷和彦は、「外務省が組織として実行しており、佐藤被告が罪に問われることはあり得ない」と証言している。

論壇デビュー作「国家の罠」でも、いかにイスラエルの研究者と人脈を築くことが、そのままロシア分析や国際情勢分析に役に立つか、をかなりページを割いて論じていたはずだ。

しかし、それを妨害しようとしているのが、外務省でかなり大きな派閥?となっている「親イラン派」だというのだ。(いま検索したところ「親アラブ派」と書いてるところもあるようで、そうなると一種別物のはずだが…なにしろ記憶が曖昧だが、イランと書いてあった気がするなあ。ただ客観的なイランとアラブの違いや軋轢はともかく、外務省ではこの二者へのシンパが一体化している可能性もある。例えば日韓の対立は対立として、どこかの国の外務省では「親ジャパン・コリア派」がひと塊である、というのもあり得る話でしょ?)


それも、たしか自分が読んだ話では、イスラエルユダヤの何かのテロ被害について話しているときに、外務省の職員の中から「自業自得だ」的な捨て台詞をつぶやいた人がいた、みたいなエピソードがあって……あーこりゃ、外務省内でのイスラエルに関する嫌悪感は、けっこう大きな何かなんじゃないか、と思ったことですよ。
もちろんイスラエルは客観的に戦後一貫して国際社会のルールを破る時には破る鬼っ子であり、中東の原油を抜きにしても、ユダヤ社会の内的圧力が無い日本で、イスラエル側に立つ理由はアメリカとの間接的な関係維持、以外にはない…と考える外務省の内部一派の姿勢にも合理性はあろう。

そこを変化させて「いや、イスラエルと関係を強化するのは、トータルでプラスですよ」と説いて変化させようとしたのが佐藤優氏らで、それが事件の背後に…というのが本人らの見立てでもあるらしい。

何の著作なのか、何しろ膨大に本を出すので確信は持てない…ただ、時期と書名を見比べて推測するに

イスラエルとユダヤ人に関するノート

イスラエルとユダヤ人に関するノート

  • 作者:佐藤優
  • 出版社/メーカー: ミルトス
  • 発売日: 2017/08/11
  • メディア: Kindle
同志社大学神学部出身で元外務省主任分析官・作家の佐藤優氏は、日本の行く末を案じて中東と世界情勢を分析するとき、日本人にイスラエルユダヤ人への正しい理解が、今こそ不可欠だと説く。
「本書で私(佐藤)は、イスラエルユダヤ人から学んだ事柄を記した。イスラエル人の愛国心、さらにそれを支える神理解から、日本国家と日本人が生き残るための知恵を学ぶことが、私が本書を著した目的である」(「まえがき」より)

という本なのではないか、と思われる。
何しろ帯で「イスラエル支持は日本の国益に資する」とストレートに主張しているのだ。



同時に、強大な「外務省親イラン派」という見立ては、佐藤が少しフィクションも交えつつ漫画原作を描いた(企画には長崎尚志も関わってたそうな)「憂国のラスプーチン」にも登場してたかもしれない、と今思い出した。

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佐藤優原作「憂国のラスプーチン