…開催を妨害するとの予告連絡があり、会場の安全確保に支障があると判断したという。
予定では、町立朝日中学と県立泊高校の生徒らの活動発表の後に、「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」とのテーマで竹田氏が講演することになっていた。町によると、先週から竹田氏の講演に対する意見が電話やメールで多い日には数十件届いた。10日には妨害を予告する連絡があった…
www.asahi.com
「ガソリンまく」と妨害予告 竹田恒泰さん講演中止 朝日町教委
https://webun.jp/item/7614541
……竹田氏の講演会への批判的な意見が保護者や町民から相次いだ上、開催を妨害する趣旨の電話があり、「会場の安全確保に支障が出る恐れがある」と説明している……
mainichi.jp
まずは、暴力的、脅迫的な圧力を受けたとの情報がある主催者と、講演予定者にお見舞いを申し上げます。当局がしかるべき捜査をして、違法行為に対しては法の裁きがあることを願います。
その上で
「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」 というテーマで講演をする予定だった、というのが、オファーをした教委がなんともトチ狂ってないか、という感想しかない。
あるいは
「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」となぜこの人は思い込んでいるのか、というテーマの方が教育上はいいのではないか、とも思わんでもない。
それはそれとしてだ。
この講演予定については、「会場の安全確保に支障が出る恐れがある」「妨害する趣旨」の電話は別にして、それ以前に複数の抗議があった、ときく(そう言っている人のツイートがある)。以前、あるイベントで「抗議」と「電凸」と「ソフトテロ」というような概念がよく分けられないままだったことがあったが、それはおいておく。
で、「犬笛」とか「犬笛政治」ということばがあったじゃないですか。
それを今回の話で考えると、講演会の妨害行為をするぞ、というのは、そのまえの講演会への抗議のなかに、「妨害行為をしてでも潰せ!!」という”犬笛による命令”があったのですかね、なかったのですかね。何しろ「犬笛」だからふつうには聞こえない。その人には聞こえたかもしれない…
なあんてことはない。そもそも「犬笛」って概念がムリあるんだわ。いや、そういう概念を作ってもいいけど、それなら「今回の妨害行為予告による竹田氏講演会の中止は、それに先立つ講演批判者が妨害行為をせよとの”犬笛”を吹いた結果だ!」という議論もなりたっちゃうで、と。
逆に、竹田講演会への批判を許容するからこそ、「犬笛政治」という概念で直接的にその論者全体を批判するというのを否定する。そういうわけです。
まあ、ぶっちゃけこの議論は2013年、靖国神社放火事件というのがあった時に語り尽くしている。
加藤紘一宅放火事件に「小林よしのりや小泉の責任だ」との声があった。では、靖国神社への放火は…
https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/20130926/p3
当ブログは一貫して、
こうやって実際に発生した放火や暴力的街宣の責任を、その対象に批判的な言論の責任とするのはおかしーだろうと言ってきたが…。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20061228#p3
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080417#p4
それはいわば、今回のような「靖国神社への放火(未遂)」が発生したとき、「靖国神社批判をしていた言論人やメディアが、『時代の空気』を作り出した!!!」と攻撃されないようにするために論じていたんだよ(どや顔)。
いや、もし佐高さんが、「たしかに私が靖国に放火してもいいんだという『時代の空気』を作ってしまった。私はこれらの放火事件(2011年にもあった)、放火未遂事件に責任がある」ということなら、賛成はしないが首尾一貫性は認めるが。
そういうことで、結論としては、今回竹田氏の講演会が無くなったことは、関係者の説明によれば「妨害行為の予告」「安全確保に支障」であり、本当なら一種のテロ行為である…けれども、それは他の、非暴力的な講演会開催批判が責任を負うものでも、批判されるべきものでもない、ということです。