INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

NHK「歴史秘話ヒストリア」16日は手塚治虫/架空のライバルを設置した異色の評伝「チェイサー」も完結。

歴史秘話ヒストリア」1月16日水曜 NHK総合1 午後10時25分~ 午後11時10分

教えてもらいました。
実は今年は、1989年に亡くなった手塚治虫の没30年…なんともまあ、時の流れは速すぎる。

手塚治虫といえば「マンガの神様」…でも、神様がホントに恋い焦がれたのは「アニメ」だった!?アニメへの目覚め。「秘密の実験」で夢に胸ふくらませた少年時代。日本初の連続長編TVアニメ『鉄腕アトム』誕生の舞台ウラ。そして人生の終わりに取り組んだ未完の大作アニメのエピソードまで――日本アニメ文化の扉を開いた、マンガとはことなるアプローチでの手塚治虫の創作と挑戦の秘話を、手塚アニメの映像満載でお届けする。


NHKはなんといっても、手塚治虫の映像を実際のとこ、たっぷりと保有している。鳥獣戯画の解説から、トキワ荘の後輩たちとの交流、最晩年に病を押して「クイズ面白ゼミナール」でミニ講演したりね(子供心に「えっ、なんでこんなに痩せてるの?病気?」と思って、訃報が朝に入ってきたときは「ああやっぱり」だった。あの時、ワイドショーが特集を組もうとしていたので、学校に登校したくなかったなぁ…まだ平成が始まって、2カ月と経ってなかったよな…)そんな映像を再構成してくれるのだろうか。
ただ、予告だと「手塚のアニメ愛」に特に焦点を当てるようだな。

異色の手塚治虫評伝漫画「チェイサー」が完結。(作者は「グラゼニ」原作者でもあるあの人)



チェイサー 4 (ビッグコミックス)

チェイサー 4 (ビッグコミックス)

まず言うまでもない大前提だが、「コージィ城倉」って原作者としては、「グラゼニ」などを書いている森高夕次氏ね。絵がちょっとアレなので、原作のほうがヒットするというのはガモウひろしと似てて、またアレで…でもグラゼニも画力があったからヒットしたかといえば、ちょっとなぁ(笑)


「チェイサー」については、過去にこんな記事もかいたっけ。
10年前、雑誌が特集した「特攻体験を騙った男たち」に、大山倍達も出ていた……/漫画「チェイサー」も合わせて - INVISIBLE DOJO


それはともかく、「チェイサー」は、「ブラックジャック創作秘話」や「ボクの手塚治虫せんせい」などの作品が人気を博してから、客観的には、何匹目かのドジョウを狙って世に出た作品だった。
 その、後発「手塚伝」漫画の特殊ギミックとして手塚治虫を異様にライバル視ししつつ尊敬して、まるでその真似をするかのような、同世代の漫画家がいた。」という架空の設定を構築、その人と周辺の手塚を見る目線、聞いた噂話から、時代を構築するという趣向だった(作中では「実在の人物だ」と言い張ってたが、これは原作者本人曰く「梶原一騎リスペクト」だというからご愛敬)。

この形式で成功した部分も、やや不自然さや楽屋落ちっぽさなどが目立って逆効果だった面もあると思うが、ただし、この切り口が無かったら、先行作との違いを出すのが難しかっただろうから、やはり良かったのだろう。

なんといっても、平均…といっていいのだろうか、それ相応のヒット作もアニメ化作品も出した(という設定の)それなりの漫画家を設定すると、その比較で手塚の「常識外れ」「規格外」なところを非常に目立たせる効果があるのであった。
それは彼の、連載の質と量であり、「ヒストリア」でも描かれるだろうアニメとの両立であり、また中期のスランプ、落ち目と言われる時期の苦闘や変化への暗中模索(その時の作品も後から見れば、やや異色作ながら高い水準なのだ)、ブラックジャックなどでの大復活…などなど。


実はこの前、その最終回を読んだのだが、実にしみじみとさせられた。
というのはまさに30年前、今まさに終わらんとするこの「平成」の元年の手塚治虫死去、その時期が最終回で描かれているのだが、同時代の証言者の一人として「そうそう、そうなんだよ。まさにそうだったな」と思わせてくれたのは、その死の直前…数年前か、「アドルフに告ぐ」は、一種の社会現象的な「大ヒット」を記録して、まさに現役の人気作家として活躍していた、ということの描写だった。

手塚は晩年の前から、否応なく「漫画界の頂点」「大御所」「雲の上の人」に祭り上げられざるを得なかったわけだけど(笑)、それでもなお、この時…最後の最後まで「現役の大ヒットメーカー」だったんすよ! 長嶋、王、張本…的な立ち位置でありながら、大谷やマー君と肩を並べてペナントレースや賞争いに絡んでいたというか…

まあ、「アドルフに告ぐ」のヒットというのは、実は版元の文藝春秋が知恵者で、大判ハードカバー、表紙は手塚ではなくリアルタッチのイラストをあしらった一般書籍扱いで世に出して、その部数が「一般書」としては常識外れのヒットになり、それが社会現象として扱われてハウリング、拡大したって面もあるんだけどね。ただ、一般書の作りだったからお値段も相応であって、それを購入させたのはやはり手塚治虫ブランドでもあるし「アドルフに告ぐ」がふつーにハラハラドキドキの波乱万丈の大河ドラマだったからです。(同時代証言)
これは一般書扱いだったから、学校図書館などにもたくさん入り、「図書館のマンガは限られているからこぞってみんなが読む」の法則で学校で大人気となりました(同時代証言)。


結構ストーリーは複雑だし、歴史知識も必要なはずなのだけど、なんのなんの、そんなハードルを越えて偏差値が高い子も低い子も喜んで読んでた(同時代証言)。
そして、これがバカ売れしたことが業界に衝撃を与え、同じようなハードカバー、表紙がリアル寄りイラストの「ブラックジャック」選集を出したらこれまた大ヒット。大人を対象にした愛蔵版のカムイ伝とか、逆に名作漫画の文庫化なんかも進みんだ(同時代証言)。


そしてまたその後、石森章太郎あらため石ノ森章太郎が、ハードカバーの「マンガ日本経済入門」なんてのを出し、…これは内容的には、今でも読むに耐えるというものではない。何しろ続編では、太陽黒点と景気に関連がある、という疑似科学まで肯定的に扱ってたしね。
だけれども「漫画は子供が読むもの。いい大人が読むべきものではない」という、まだまだガッチガチに硬かった「世間の風潮」に、80年代後半の

・「アドルフに告ぐ」大ヒット
・その流れを受けて、往年の大御所名作が漫画風でない表紙のハードカバー本、或いは文庫になり、再度かつてのファンだった大人の手に取らせた
・「マンガ日本経済入門」大ヒット

ジェットストリームアタックみたいに連続で攻撃をかけ、岩盤を打ち砕くための亀裂を入れた、ということは間違いないと思う(同時代証言)


しかし、下記ながらちゃぶ台ひっくり返すけど(笑)ウオー(ノ-o-)ノ〃┻━┻
手塚治虫は最晩年まで活躍した!!すごい!!と言ったって、その最晩年が「60歳」なのだから、ある意味当然だよな…と考えて、その生涯の短さに再度粛然とする。

だって、今現在アラウンド還暦、略してアラカンな漫画家って

鳥山明 1955年
ゆうきまさみ 1957年
小林まこと 1958年
とり・みき 1958年
細野和彦 1959年 (彼がことし還暦)
島本和彦 1961年
原哲夫 1961年
桂正和 1962年

ですぜ…医学、健康面もずいぶん平成で進化したが、彼らの創作意欲がまだまだ衰えないのだから、手塚治虫がまだ50代後半で大ヒットを飛ばしても、それは当然だともいえる。

手塚治虫、まだこの世にあれば、今年卒寿だったか。
昨年おれが描いた、ド失礼なイラスト(笑)


「チェイサー」では、この架空の漫画家は、子供や孫に恵まれ、そして中には親以上のヒットをとばす漫画家になる子もいたりして、今なお長命で幸せに生きている。

それが手塚治虫も「あり得たかもしれない未来」を漫画の世界で見せてくれた気もして…そこでほのぼのと、物語が締めくくられたのは幸いでした。


手塚では こんなまとめも 作ったか
togetter.com


最後に、彼らがご長寿でハッピーな日々を送った世界線を見せてくれる象徴として、藤子不二雄A先生には、なお一層のご活躍とご多幸をお祈り申し上げます(笑)
corocoro.jp

ブクマから情報

id:hobbling 今度チャンピオンの50周年企画で「TVアニメ創作秘話」の連載が始まります。手塚主役のアトム制作ドキュメントで、原作はBJ創作秘話と同じ宮崎克、作画はガルパンスタッフの野上武志


野上武志。 って、たしか「戦車学校」「まりんこゆみ」のひとじゃなかったかな?
あ、そうだった。

まりんこゆみ(7) (星海社COMICS)

まりんこゆみ(7) (星海社COMICS)