昨年末にですね、恒例の「2018マンガ10傑」を選定したじゃないですか。
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そん時に選んだもののひとつが「ハコヅメ〜交番女子の逆襲/秦三子」だったんですけど、この時に、こんなふうに紹介しました。
警察が持つひとつの特徴は、日常的な運営にはいわゆる体育会的、あるいはもっと悪い言い方をするならブラック企業的な体質(超過勤務なども)を持つ一方で、官僚の中の官僚、といっていいほど形式や順法にこだわる官僚的体質も持っていることだ。(旧日本軍にも似ている部分はある)
刑事ドラマでは、そのへんは逆に無視しないと話が作りづらいが、逆にこの「ハコヅメ」は、ふつうの警察ドラマでは切り捨てられるそのへんの体質や、細かい運営上の規則に焦点を当てて、そこから笑いをとろうという「反転させた」部分が面白いっす。
最新回(モーニング2019年6号)が、まさにその魅力を典型的に描いていましてね。
実にスケールの小さい、日常的な犯罪…DVDの万引き騒動なのですが、これの実況見分や被害届の作成となると、とたんに杓子定規で、お堅くまじめなやり取りになるのだけど、それが被害DVDの内容とあまりにミスマッチで(笑)、そのやり取りだけで「笑っていけないんだけど笑える」ものになっている。
たどたどしく、一文字ずつ確認されるのもアレだが、何の資料もなく固有名詞までスラスラ書けるのもアレ。
単純に固有名詞を正確に記載するのも必要だが、それを書類上、どのように表現するかも問題となる。
うむ、関係者すまん!見開き1Pぐらいで紹介したかったんだけど、この畳みかける面白さはこれぐらい紹介しないと伝わらない!!!だが、これである意味、余すところなく「ハコヅメ」の面白さは紹介できたと思うんです。
警察捜査の結果と過程がきちんと記録され、それが保存されるのは、いいことか悪いことかといえばいいことに決まっている(財務省の土地取引や官邸の入出者もだ(笑))。
だけれども、やはり『「性春」は性別の「性」に季節の「春」です』『お願い!コーチ性春猛烈特訓』とクソ真面目に読み上げられたら、被害者も加害者もたまったもんじゃない(笑)。「ハコヅメ」は普通の警察もの、刑事ものではなかなか登場しない、こういう実際の警察活動に付随するトホホさ、しょうもなさをほんとにうまく描いている。この前の記事でも書いたけど
作者が本当に元婦人警官であることがうまく生きているなぁ…とつくづく感心しました。
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内容紹介
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「人が楽しんでいるときはいつも仕事・・・」警察官だって遊びたい。でも仕事は容赦なく降りかかる。夏祭り警備、痴漢捜査、職務質問に、拳銃騒ぎ、さまざまな公務に奮闘したり、うまくやり過ごしたり。激務、激務のその末にポリスマンズ・ハイはやってくるのか……!?著者について
泰 三子
某県警に10年勤務。2017年、担当編集者の制止も聞かず、公務員の安定を捨て専業漫画家に転身する。短編『交番女子』が掲載され話題になっていた「モーニング」誌上で、2017年11月より『ハコヅメ ~交番女子の逆襲~』の週刊連載がスタート!