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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「森のくまさん」の歌詞の意味、自分なりに解釈するとこんな情景が浮かぶ…


こういう、童謡などに隠された歌詞の解釈は多く目にしているが、中でも、その難解さ、暗喩の意味に今なお多くの人々が首をひねっているのは、「森のくまさん」であろう。

そういった歌詞の内容を解釈する記事も、ネット上には数多くある。

たとえばここは、1000を超えるブクマがついている。

森のくまさんの謎
http://www1.odn.ne.jp/mushimaru/bakaessay/bear.htm


……が、最近、それとは別の次元でこの「森のくまさん」は話題になった。

「森のくまさん」の作詞者とされる馬場祥弘氏に関する疑惑 - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1071944

作詞作曲不明の外国風の民謡を「みんなのうた」プロデューサー後藤田氏(故人)が発掘。
玉木宏樹氏(故人)が編曲。

数年後

馬場祥弘氏が作詞作曲の権利を主張。その頃から要注意人物として有名だった。文化庁への直訴の結果、馬場祥弘の権利が認められる。

約十年後

「森のくまさん」はアメリカ民謡であることが分かり、馬場祥弘の作曲者としての権利は剥奪される。作詞者が馬場祥弘であることを否定する証拠はないため、作詞の権利は残る

この話はこの話としてたいへん面白いのだけど、私が考えるのは、あくまで歌詞にうたわれた情景である。
最近、上の話題となったパーマ大佐という方の解釈は、今知ったが

パーマ大佐の「森のくまさん」と歌詞
http://fannydailynews.com/pamataisa-song-morinokumasan-ukulele/2/
 


歌詞はあくまでも「アメリカ民謡だ」と主張しているところもあるな。

これはこれで非常に面白いが、自分の解釈は…と書こうとしたが、著作権の云々に巻き込まれるのはあれなので、以下は「森のくまさん」の歌詞とは何の関係もない、ひとつの雑談としておこう。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

森で再会した、「くま」と「マドモアゼル(お嬢さん)」の物語|


【1】

漆黒の暗闇に包まれた、あの「森」。
そこが一転、にわかに照明弾によってほうぼうが照らされ、ヘリコプターの爆音が辺りの空気を切り裂く

「女の行方は、依然としてつかめず!」
「全力を挙げ発見せよ!」

無線から漏れる交信の内容も、双方の緊張感は並々ならぬものがあった。
女の行方を徹底的に追うことを命じた、基地指揮官も、無線を切ると部下に知られぬようにつぶやく。
「”マドモアゼル(お嬢さん)”が、潜入と工作の指揮を執っているとしたら…この方面は、いつ、どこで、どんな意外な攻撃がなされてもおかしくない……」


「ふん、他愛もない」
”マドモアゼル”は、尾根の上にひそかにのぼり、相手の捜索の様子を遠方から観察していた。
まんまと誘導にひっかかり、あさっての方向を必死に飛び回るヘリの姿を見て、潜入工作を完了した地域からの離脱は、ほぼ成功したと分かった。

「あいつらも、この前まで我々の友軍だったと思うとな…教育がなっとらんよ」
タバコに火をつけたいところだが、光は避けねばならない。
やや疲労感を覚え、水筒の水を一口飲んだあと、そう、ひとりごちた。
 
「まったく同感だな」
茂みをかき分けて、そう返答するものがいた。

「!!」
拳銃に反射的に手をかけつつ、振り返る。
しかし、大方の予想はついていた。その声と、自分を追跡して、ここに到着し得た、という事実によって
「”くま”、か……」
「ひさしぶりだな」


【2】

相変わらず、表面は丸まるとし、体中毛むくじゃらながら、その下には鍛え抜かれた筋肉を潜ませているくま。

くまは、単刀直入に”マドモアゼル”に伝えた。
「すぐに逃げるんだな。地獄小隊の戦友のよしみだ、今なら見逃してやる」
「なぜ、お前こそ、ここにいる?」
「独立国『森』のためにだ」
「無謀だな。『森』と『まち』は、統一された連邦にあってこそ、資本主義の豚どもの手から、真の独立をまっとうすることができるのだ。ひととくまが、民族の違いを超えて、手をたずさえて……」
「ひととくまが、これまで、平等だったことが一度でもあるか? 平等を唱えたクリストファー・ロビンの理想は、実質、人が熊を力でねじ伏せて従わせるという、東洋土着の『金太郎思想』の連中によって主導権を握られ、完全に骨抜きになった。わずかばかりの配給のみつを与えられ、ウサギらとともに、秘密警察のフクロウによって常時監視される社会……不満分子としてあいつらに迫害された、ロバの末路はどうなった?」
「しかし、『くまの皆さんに、新しい赤い服を着せてあげます。はちみつも、もっともっと食べさせてあげます」「森は生きている」そう、まさに蜜のように甘い言葉で誘惑したディズニーとかいうアメリカの大資本……あいつらこそ、正体はネズミのような悪党どもの集団だぞ。お前らは資本主義のプロパガンダに利用されるだけだ」

「……」
「そして、わが党が、本当に『森』の独立を認めると思うのか?はっきり言おう、『猟師』部隊が動く寸前だ。まだ我々の力で制圧できるうちなら、ことは穏便に収まる。猟師部隊は、お前らの腹を切り裂き、石を詰め込むだろう。さらにいえば、対くまとして『シルバーファング(銀牙)』部隊も、出動に向けて準備している。あいつらは、党の方針に完全に忠実な…いわば、喋る犬の群れだぞ!」
赤ずきん (大型絵本 (30))

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「・・・・・・・・それでも、俺たちは戦う。くま牧場で生きながらえる老いたくまになるより、独立国『森』の旗に殉じる、羆嵐になる。そう決めたのだ」
「・・・・・」
「もう、あとはお互いに平行線だろう。早く去れ、さすがにうちの軍のボンクラたちも、こちらのほうに捜索の手を向けるだろう。…これ以降は俺がやつらを教育する、少しは手ごわくなるだろうよ」
「そうか。…連中を、戦場を生き延びられる程度には賢くしてやれ」

”マドモアゼル”は、少し変わった『地獄小隊』特有の敬礼をして、森の闇…まちとの”国境”線の方向に消えた


【3】

時間にして、30分…いや、1時間は経ったろうか。
”くま”は、本当に自分たちの独立森軍には、何も知らせなかったのだろう。それが利敵行為であっても。
錬度の低い、独立森軍の、素人同然の兵たちでは、地の利がいかにあるとはいえ、プロの”マドモアゼル”を補足することはできない……

だが。

ふたたび、がさり、と目の前の藪が動く。
今度、現れた姿も、再び予想通りだった。
「くま、さきほどお別れしたばかりだったはずだがな。復縁を迫るストーカーを気取るキャラでもあるまい」
「ふざけるな! なんだこれは!」
くまは、足元にそれを、投げつけた。
白い貝殻の、小さなイヤリング・・・・・またの名を『全罪許可証』『悪魔のパスポート』…。


【4】

「むかしの、よしみだ…。これだけはとっておけ」
「これを俺に、隠し持っていろというのか? 確かにな……、これは『党の書記長様の、直属命令を受けて潜入工作をしていた』という証だ。俺たちは、この戦争に負けるだろう、そして、これをその時に軍法会議にでも差し出せば、俺は秘密工作のために敢えて森軍に潜入していたことになる。そしてお命が助かる、というわけかね」

「地獄小隊の昔馴染みも、もう少なくなった…くま、お前の三兄弟のなかで、お前の兄も、弟もすでに戦死した。…おまえらのおかゆは、うまかった。お前が死んだら、あのおかゆは、誰が作るんだ」

3びきのくま (世界傑作絵本シリーズ)

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「亡くなった兄も、弟も、それを望むと思うか?・・・・・それに、おかゆの味は、あれだけ盗み食いしたお前なら覚えているだろう。この戦争が終わったら、おかゆ屋でも開いて、あのレシピを伝えてくれ」


”マドモアゼル”の目には、涙があふれていた。
この戦争が終わり、「森」が独立しようが、もとの連邦が維持されるかはさておき、もう、二度と生きては会いまみえることはないであろう。

「そうか、ではこれは『落としもの』だったのだ。それをお前は拾って、届けてくれた。そうだな?」
「・・・」
「そのお礼をしたい。何か、望むものはないか?」
「・・・・・・・・・」
沈黙のあと、くまは口を開いた。
「では、お前、地獄小隊のあの歌を歌ってくれ。”鬼の歌姫”とうちで呼ばれていた、あの美声の歌をな。結局、この追跡戦についていけたのは俺たち二人だけだった。追っ手に聞こえることもなさそうだ」


「”鬼の”は余計だ」
その要望は、マドモアゼルの望んでいた答えだったかどうかはわからないが、彼女は笑顔を取り戻し、くまのせりふにクレームを付けた後、歌い始めた。


汝が上に軍旗はためく
党は防衛線を敷いた
不動の壁 鋼鉄の扉
人民、労働者の聖戦が始まる・・・・・・


聴衆ひとり、歌い手一人の、この当時、一瞬だけひかれていた”国境線”沿いでのコンサートは、こうして始まり、終わった。



あの「泥と血の饗宴」と呼ばれた内戦(連邦は「対テロ行動」と今も呼称している)の、前夜の物語である・・・・・・・・・
(了)

【イメージ画像】
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プー横丁にたった家 (岩波少年文庫(009))

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※作中で「お嬢さん」が歌う歌は、辻田真佐憲氏「世界軍歌全集」の中から各種の歌を借用、一部改変したものである。
世界軍歌全集―歌詞で読むナショナリズムとイデオロギーの時代

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