INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

流行語大賞はいつ見ても「本来の価値以上の存在感」がスゴイ/「現代用語の基礎知識」の現状、衰退ぶりは?

毎回書いている話なんで、これは「恒例記事」として再掲載します。具体的な年代などは削ろう。

この大賞は、ことしの選定に納得行くかどうかとかじゃなく、構造的にその将来がどうなるかをずっと気にして眺めている。
以下は2013年記事。

【2013】

やはり「検索結果」が今後の最高権威??

(略)…自分は朝のニュースショーはテレビ朝日「グッド!モーニング」でヤフー検索だかtwitterだか、その検索で上にいったトピックから選んで、その検索ワードにつながった事件や人物を紹介している。ついでにコメントも、それに関係したtwitterのコメントを紹介している。

つまり(もちろんそこからさらにテレビ側が選択したとはいえ)、ニュースのチョイスと、それへのコメント…かつて「プロ」がやっていたこの部分を、集合知が侵食したということだ。


そして「検索結果」の持つ権威は、どんどんあがる一方。何度も書いてるけど、この年末の検索結果発表ってのはかなり有無を言わせないものがあるでしょ。
たとえば
「リンダ・ラウジーを取り上げましょう」
「そんなやつは無名だよ」
「いや、有名ですよ。人気ですよ」
こんな論争があるとき、「ヤフーの年間検索ランキングではアスリート部門で4位ですが」といわれたらぐぬぬぬ、である。これに負けないような反論ってのはすごく難しい。


「検索サイトの検索数結果は、一番公平で、中立的で、科学的なんだよ!!それより優れた物差しがあるのか?あるならかかってこいや!!」

と検索サイトがどや顔されたら、果たして何があるか。実際にカネを払う「売り上げ」はまた対抗できるかもしれないが。

 
 
さらに遡って、2007年の記事

【2007】
自由国民社の「現代用語の基礎知識」が流行語大賞候補発表。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20071116/p3


時事, 読書 | 自由国民社の「現代用語の基礎知識」が流行語大賞候補発表。 - 見えない道場本舗 を含むブックマーク 自由国民社の「現代用語の基礎知識」が流行語大賞候補発表。 - 見えない道場本舗 のブックマークコメント
http://www.jiyu.co.jp/singo/
http://www.jiyu.co.jp/singo/nominate2007.html
いちいち、これに対して何が入ってないとか、これが入ってるのはおかしいとか言ってもしょうがない。
ただ、もしもこの大賞が、候補選定時や、もしくは対象選定時にあまりに恣意的だとかピントはずれだというなら、そもそもこの賞の権威にまるごと挑戦するような、新しい賞をどっかでつくってしまえばいいんじゃないか?と思うです。
なんでかっていうと、やっぱこの賞、マスコミに取り上げられる頻度が、そのコストと対応させて考えてもすごく多い。つまり「おいしい」のだ。
そして、今、権威を発する源となっている「現代用語の基礎知識」…というか、現代用語辞典が次々と落城。イミダス・知恵蔵は紙の印刷をストップしてしまった。
だからこそ現代用語の基礎知識、が権威を保てる・・・といいたいところだろうが、そこにもはてなダイアリーのキーワードが紹介されたりということになっている。
ネットの検索ヒット数などを(公式に)参考にしたりして、
「こちらのほうがよっぽど世相、世間を反映している! なんだね自由国民社さんのほうは、ゲラゲラ」と挑発的に、正面から批判する団体があったら面白いなあ、と、これは想像ですけれども、思いました。

実はこんな想像したきっかけは1995年の話。
中森明夫が当時のSPA!中森文化新聞で、「流行語大賞は、オウム関連用語を『流行語に値しない』として候補からすべて外したが、それで1995年が分かるわけがない」と、「ポア」だとか「私はや〜ってない」とかを選定。確かにこっちのほうが、流行語としてはリアルだったのだ(笑)

ついでながら、そこで近年、気になっているのがgoogleやyahoo、Mixiの検索語結果発表。
これは機械的ゆえに、客観性もある意味から保証されているとも言える。
もっとこの結果発表をショーアップし、宣伝してみれば、上の流行語に追いつく権威をもてるかもしれない。
(後略)


そしてちょうど、ことしの候補発表の際には…

【2015】
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151111/p1
(略)
……この「流行語大賞」は、たかが一会社が中心になった賞であるにもかかわらず、ノミネートの段階でこれだけ話題になる。
ニュースは軒並み項目になるわ、候補の段階でコメントを取られるわ……
星雲賞も、これぐらい話題にしろよ!


賞の「権威とり」「話題とり」では流行語大賞は、太閤秀吉なみの出世物語なのです。
しかし……もはや、これの勧進元が、言葉を選ぶ権威である、という源泉としている「現代用語の基礎知識」が、今使われているかい?
新語、現代用語ってなんだろう、というときに、現代用語の基礎知識イミダスをめくるひとと、検索してウィキペディアを見る人の比率は。
統計を出したら、すごいことになるだろう。ウィキペは、検索結果もいろいろ数字で出るだろうし。
もはや権威は失墜…してもおかしくないのだが、まだなぜか流行語大賞だけは大いに騒がれる。
太閤秀吉になぞらえるなら、「ああ、もう長くないな」「いつまで天下はもつのだろう??」という目で正直見ている。醍醐の花見状態か(笑)


とまぁ、こんなふうに考えています。でも、同大賞はいまなおすべてのメディアが批判も含めて取り上げているわけで、まだまだ権威は健在、でしょう。


ネット流行語大賞」をガジェット通信が主催しているけど。

『ガジェット通信ネット流行語大賞2015』決定! 金賞はW杯で勝利を導いた”五郎丸”に! 銀賞はもちろんあのワード|ガジェット通信 http://getnews.jp/archives/1278255

これはこれで、勧進元がガジェット通信で誰が納得するんだ、という話でもあるんだが(笑)、賞なんてものはだれでもどこでも自由に名乗りを挙げて始めていいものであって、それに権威が付くかは自分次第。「楽市楽座」ならぬ「楽賞楽ランキング」だからね。
がんばってください。

流行語大賞は、「現代用語の基礎知識」の興亡史を見守る機会でも、ある。

現代用語の基礎知識」は、間違いなくウィキペディアの、はてなキーワードの、あるいはネット全体の……影響によって部数が減少したことが確実な媒体でありましょう。それでも「知恵蔵」や「imidas」の撤退する中、孤塁を守っている訳であっぱれだし、オンリーワンともなればまだ売れ筋なのかもしれません。

実は、こんな記事をネットで見たのだけど(というかこれ以外しかみつからない)、今現在にいたるまでの「現代用語の基礎知識」の部数の推移、ご存知の方は教えてください。

現代用語の基礎知識」の売り上げに見る教養の崩壊 - 笑いの飛距離 http://notei.hatenablog.com/entry/20130118/1360277429


藤木「去年(2012年)のね、12月の頭ぐらいかな、自由国民社っていう出版社があるんですけども、『現代用語の基礎知識』っていう」
江藤「はい」
青木「流行語大賞ですね」
藤木「そうですね、それをやってるとこなんですけども、あの〜、その『現代用語の基礎知識』の編集長に取材してきたんですよ、で、そのときに出た話で興味深かったことがあって、曰くね、まあ現代用語の基礎知識』って、一番売れたのが’86年ぐらいで、65万部ぐらい出てたんですよ」
江藤「はい」
藤木「65万部って3000円ぐらいの本ですから、65万部とか売れたらものすごい数ですよね」
青木「そうですね」
藤木「それがね、90年代で30万(部)になり、今は15万(部)ぐらいしか出てない、4分の1に」
江藤「へぇ〜」
藤木「まあ、それでもね、3000円ぐらいの本で15万部出てたらそれはもう、今は大優等生ですけども、それでもやっぱり4分の1ぐらいに減ったわけですよね」

イミダス」「知恵蔵」 ネットに押され紙媒体から撤退 http://www.j-cast.com/2007/08/31010856.html


2006年11月発売の「2007年版」をもって休刊するのは、「イミダス」(集英社)と「知恵蔵」(朝日新聞社)。

時事用語辞典の分野は、1948年創刊の「現代用語の基礎知識」(自由国民社)が独占してきたが、1986年、これに対抗する形で「イミダス」が創刊された。図や表を多く盛り込んだのが特徴。創刊号は113万8,000部が売れたが、最新刊では14万5,000部まで落ち込んでいた。

一方の「知恵蔵」は、1989年の創刊。新聞社という強みから、ニュース性を生かした誌面が売りだった。創刊号は95万分を売り上げたが、こちらも最新刊は13万部まで落ち込んだ。両者とも、休刊の理由は部数減。
(略)

「現代用語」は「『休刊』は考えたこともない」

一方「現代用語の基礎知識」だが、08年版はこれまでどおり発行され、自由国民社が選定している「ユーキャン新語流行語大賞」の発表・授賞式とあわせて、07年12月3日の発売予定だ。

もっとも、「現代用語の基礎知識」の発行部数は12万部で、創刊時の10分の1程度だ。 だが、清水均編集長は「『部数が落ち込んでいる』という認識は、少し事実に反する」とのコメントをJ-CASTニュースに寄せた。

「パソコンやTVのなかった昭和20年代といまの時代とを単純に部数だけ比較して『落ち込んでいる』と認識していません。むしろ13万、14万と発行しながらも休刊しなければならない他社の本のつくり方に対して、弊社は『適正な本づくり』を心がけて来ました。『休刊』は検討どころか議論にのぼったこともありません」

と、いう。
うん、時代に合わせて、「売れるのがXXX部なら、それにあわせたコストにダウンサイジングして、黒字(あるいは小さい赤)なら存続できるじゃないか」とやるのは、いうより難しいが、賢い判断だ。パンクラス修斗だって、何とかそれに成功したではありませんか。

「現在は12万部だけど、それで採算が取れる本づくりをしてきたから、全然問題ない。今後も発行していきますよー」
ということなら慶賀の至りであり、そして「流行語大賞」も続くのでしょう。それについて毎回、文句で盛り上がるのもまたよし。


それでも

現代用語の基礎知識』はいつまで続く? http://sasakitakashi.biz/2013/11/19/till-when-does-gendai-yougo-no-kisochishiki-continue/ @sasabizuさんから
流行語をアンケートで決めるのは限界がきている http://fdsa-life.jp/blog/?p=982
イミダス』『知恵蔵』休刊 - だいたいは本のこと http://kwsk.hatenablog.jp/entry/20070901/1188643407

など、悲観的な記事は時々見かける。



もっと詳しい推移を知りたく、質問してみた

現代用語の基礎知識」、詳しい部数の推移は? 新語・流行語 年… - 人力検索はてな http://q.hatena.ne.jp/1480640621

別に他人ごととして見ているわけではない。
時代と技術、産業構造の推移で、以前より劣った品質のものを作ってるでもないのに、ぜんぶ呑み込まれてしまう……そんな大きな、君も僕も載っている大きな「時代の船の行き着く先」の先触れ、象徴として見ているのだ。