♪ 獣のように 挑戦者は おそいかかる 若い力で
やがて君は 静かに倒れて落ちた
疲れて眠れるように
わずかばかりの意識の中で 君は何を考えたのか…
(アリス「チャンピオン」のアレ)
「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 今年の新語2016」選考結果発表! http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/shingo2016/index.html
こちらの方が流行語大賞より納得!? 三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2016」 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/1056204
KYは使われ始めて10年目?〜三省堂「今年の新語2016」とは? - デイリーポータルZ http://portal.nifty.com/kiji/161110198029_1.htm
きのう、 伊集院光氏の深夜ラジオを偶然聞いてたら、この三省堂の新語賞イベントの話をしてた。
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2016年12月6日
「控室で、バカ話が一切ないんだよ。みなずっと、言葉の話をしてるの」
「控室では「パリポー」でずっと「片仮名表記どうあるべきか」とか「パリポーする」という動詞を認めるかって議論してた」
その結果も選考過程も大変面白いのだが、自分のフィールドとしては「賞の権威や影響力の興亡史」のひとつとして、実に興味深いものと考える。
なぜかずっと気になっていたのだよ、そこが。
賞なんてものは、作ろうとすれば自由に誰でも作れる。自分だって「ことしの漫画十傑」を毎年選定している(笑)
ひとあし早く、当ブログの「2015年/2014年マンガ10傑」を選定 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151120/p1
【完全版】「2016年マンガ10傑」を選定します。「特別功労賞」もあの作品に - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20161208/p1
それが「話題」となり「ニュース」となり、「権威」や「社会的影響力」をどう持つか、これがむずかしいのだ。
ちなみに私の賞は全然、それがない(笑) 当然だろ。
これは、宝島社(以前はJICC社か)が「このマンガがすごい!」「このミステリーがすごい!」を毎年年末に発表し、それがあれよあれよという間に上記の「話題」「ニュース」「権威」「社会的影響力」を平らげていき、漫画界において覇者となった(と言っていいよね?)経緯をみていたから、そう感じたのであります。
- 作者: 『このマンガがすごい!』編集部
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2016/12/10
- メディア: 単行本
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- 作者: 『このミステリーがすごい!』編集部
- 出版社/メーカー: 宝島社
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宝島ムックの「天下獲り」は、とにかく本当に鮮やかだった。
このブログでは、ずーっとこういう「賞の興亡」の話をしているな。
ブログ内の「賞」というカテゴリーを、さかぼって読んでみてください。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/searchdiary?word=%2A%5B%BE%DE%5D
ネット時代や「ロフトプラスワン」で手軽にイベントを開けるようになってから、賞やアワードは個人ですらできるようになって、そこから順調に拡大し、上のような話題性、ニュース性、権威、影響力などを持つ賞になったものもあるし、一度は大いに盛り上がったが、その後は規模を縮小したものもある。
たとえば「日本オタク大賞」。一時は毎年出版社からイベントトークを収録した本が出たり、CSでイベントが放送されるほどだったが、その後規模は縮小した。いまも続いているのかね。
さて、そんな興亡の中で・・・・・・・・・
「日本死ね」が話題になるずっと以前から、当方はユーキャンの新語・流行語大賞に対して
「もともと権威(とカネ)の源泉である「現代用語の基礎知識」をはじめとした現代語年鑑がすでに衰退の一途をたどっている。なのになぜ、この賞の「権威」だけが高止まりしているのだろう?」
という問題意識を持っていました。
そんな意識を持っている人は、数年前までは少数派だったのだが、政治的な議論も加わって?話は盛り上がり、今や「ユーキャン新語・流行語大賞」帝国の天命は尽きつつある……というのが、世の評価となってきました。
そこに、満を持して三省堂が「今年の新語」を旗揚げし(ちょっと前からやってたけど、それは置いてください)、全国の民が「おお!彼らならユーキャンを打倒してくださるのではないか!?」という期待が燎原の火のごとく広がったのが、今の状況だと思います。ちょっと性質は違うのは見ていてもわかるのだが、革命とは得てしてそういう誤解も含めた勢いが重要なのだ(笑)
ゆえに「こちらの方が流行語大賞より納得!?」という副題がついているのでしょうな、あのtogetterには。
三省堂というのは、打倒ユーキャンの旗頭となるのには、その家柄も申し分ない(ますます中国の革命っぽくなってきたが…)。
実際、こんご積極的にプレスリリースやキャンペーンをしていくとすれば、実際のところ簡単に『今年のユーキャンの「新語・流行語大賞」は…一方で三省堂の「今年の新語」は…』と、天下を二分するところまではいとたやすいことだと思います。
今回は三省堂に天下への野心がなく、控え目だったからだ。
ここは天下の士が三省堂に嘆願し「すでに徳を失った、天命の尽きた『新語・流行語大賞』に代わり、三省堂様が帝の座に就くことこそ天下万民の望むところでございます」と説き伏せるべきなのである。
そして、その後は水の低きに流れるように、三省堂の「今年の新語」は、ユーキャンの「新語・流行語大賞」より高みに立つでしょう。
なにしろ、決める人の格と能力が違うのだ。
三省堂「今年の新語2016」大賞は、報道されているように「ほぼほぼ」に決まりました。多くの方のご協力、まことにありがとうございました。詳しい選評はこちらをご覧ください。https://t.co/Mq1ppMDe2c pic.twitter.com/cIxVarunNf
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016年12月5日
この人ひとりで、ユーキャン偽王朝の鼠賊など、束になったってかなわない。
とりあえずは「ユーキャン『新語・流行語大賞』のライバル、三省堂の『今年の新語』。」この構図をバラまこうぜ!
これは柳沢みきおの歌謡曲バックステージ漫画「流行唄」の一節だが、主人公の仕掛人が、ある大人気アイドル歌手Aに対抗する才能の”ダイヤの原石”を見つけ、売り出しを図る。
その時、彼はAの芸能事務所がA売り出しのために凄い規模のプロモーションをやっていることを見て、こうつぶやく。(大意)
「どんどん、宣伝費をかけてやってくれ…
うちはそのあと、(その”ダイヤの原石”を)売り出す。キャッチフレーズはこうだ。「Aのライバル」。
同額の費用をかけてキャンペーンをするのと同じ効果があるぜ、Aの事務所はうちの新人の宣伝を、一緒にしてくれてるのと同じだ…」
本当にこんなふうになるかはわからないけど(笑)、実際に三省堂の「今年の新語」はそれに値するポテンシャルがあると思うよっ。