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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

本日は憲法公布の日でもある。最近興味を持った憲法の話題アラカルト

天皇陛下の退位を特別立法でやると、憲法2条に抵触するという説がある

http://mainichi.jp/articles/20160914/k00/00m/010/145000c

…政府は今回限りの特別立法での対応を検討するが、憲法との整合性に苦慮しそうだ。憲法2条に、皇位継承は「国会の議決した皇室典範の定めるところにより」規定すると記され、厳格に解釈すれば典範改正が必要だからだ。違憲との指摘を和らげるため特別立法の名称を「皇室典範特例」とし典範に含まれる位置づけとする案も浮上している。
(略)
 政府が特別立法を検討するのは、典範を改正するとどういう条件で退位できるかを詳細に規定する必要があるからだ。将来の天皇にも適用される永続的な制度改正となり、議論に時間がかかる……憲法との整合性について政府関係者は「特別法も含めて皇室典範だと見なす考え方で構わない。あくまで技術的な問題だ」としている。

 しかし憲法学者の見解は割れる。特に伝統重視の保守派には、憲法2条の「皇室典範の定める」との文言に重きを置き厳格な解釈をとる意見が多い。安倍晋三首相に近い八木秀次・麗沢大教授は特別立法について「法技術的に困難を伴い、立憲主義を壊してしまう」と指摘する。百地章・日大教授は、特別法で対処するには、その根拠規定を典範の付則などに新たに設ける必要があると提唱する。

 このため政府内では、特別立法で対応する際の案の一つとして「典範特例」が浮上している…典範の一部と位置付ける立法にすれば、合憲性が強まるとの理屈だ。

 一方、憲法2条の「国会の議決」を重視し、単体の特別法で十分可能だとする見解もある。横田耕一・九州大名誉教授は明治憲法下で天皇が決めていた典範を、法律で決めるというのが現憲法の趣旨」として、特別立法でも矛盾しないとの立場だ。明治憲法とは異なり、現典範は一般の法律と同じ扱いだ。このため、高見勝利・上智大名誉教授は「典範も一般法である以上は、手当てできない部分は特別法で対応することはあり得る」と話す。(後略)

グラフ

この議論は面白かった。

退位した天皇は政治的発言ができるか?について、三笠宮殿下の生前の発言と合わせて考えると面白い

三笠宮の生前の発言が紹介されていて感じたのは「宮」ならあれぐらいは憲法上、発言できまくるよね(というか制約はない?)、と。
建国記念の日に関しての発言や、寛仁親王の「皇位継承は男系維持」発言も、賛否関係なく十分政治的発言でありえた。「天皇」以外の皇族は政治的発言が可能なら、やはり譲位された今上は政治を語れるのか。政策への賛否を語れるのか。現行憲法がそう解釈できるかどうか、でもあり、仮に「語れる/語れない」が現行憲法の結論なら、「いや、その結論はまずいから改憲しよう/その結論でいいから改憲不要」という議論と結論をしておく必要もある。


木村草太氏の【木村理論(「基地設置には住民投票が必要」説)】という憲法解釈は沖縄県が取り入れ、目下裁判で争っている

憲法という希望 (講談社現代新書)

憲法という希望 (講談社現代新書)

木村草太氏が以前から「基地設置には憲法95条に基づく住民投票が必要だ」という説を唱えていた。

【木村草太の憲法の新手(1)】なぜ、住民投票もなしに、新基地建設が進むのか? | タイムス×クロス 木村草太の憲法の新手 | 沖縄タイムス+プラス http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/50224

辺野古基地設置法」制定で住民の意思を確認せよ(木村草太)|ポリタス 沖縄・辺野古――わたしたちと米軍基地問題 http://politas.jp/features/7/article/405

で、自分はこれを読んで「へー、面白いけど聞いたことない議論だな」と思っていた。
それは詳しくない素人だから、そういう議論を読んでなかっただけかとも一時は思ったのだが、今回新書で確認したところ、木村氏自身もこれを「木村理論」と名付けてて…つまりは氏独自の新説だったということがわかった。
でも新説けっこう、新説おもしろい!逆にそれが裁判の場にでないかなー…と思ったら、沖縄県はこの説を代執行訴訟の中で取り入れてたそうな。

辺野古新基地建設は閣議決定と日米間の合意を根拠とするのみで、具体的な根拠法が存在しません。ですから仮に埋め立てを行っても、根拠法の不備によりその埋め立て地は米軍基地として運用できません。法律上、米軍基地として使用できないにもかかわらず、海を埋め立てるのはまったく不合理ですから、仲井真前知事による埋め立て承認は合理性を欠いており、それを取り消す処分は適法です。そのような主張です(前掲書P102)

これに対して国は「第二準備書面89P」で反論した、と書いているのだが

辺野古代執行訴訟 国側準備書面(要旨) | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/21522

に該当部分があるのかどうか。

けっきょく、一度和解があったり、また訴訟を行ったりと紆余曲折を経て

辺野古移設訴訟】国側全面勝訴で浮かび上がった沖縄県側の論理破綻 翁長雄志知事は最大の窮地に - 産経ニュース http://www.sankei.com/politics/news/160916/plt1609160043-n1.html
辺野古訴訟、国が勝訴 知事の承認取り消し、高裁認めず:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASJ9F6WJWJ9FTPOB00D.html

となった。
ただこの新書は奥付上は9月20日。判決は9月16日だったので、新書の中では「和解が成立した」としか書いておらず、一審判決を受けての議論はない。

また、国会ではこの「木村理論」に興味を持った松田公太氏が、レクチャーを木村氏から受けて国会で安倍首相に質問していた。
新書では末尾に付録となっているが、当然ネットではhttp://kokkai.ndl.go.jp/から見に行ける。

[001/001] 189 - 参 - 予算委員会 - 17号
平成27年04月08日

○松田公太君 (略)辺野古への基地移設についてお聞きしたいと思います。
 まず、私のスタンスを申し上げますと、辺野古へ移設する以外は難しいのが現状だと考えております。その部分においては安倍総理と同じかもしれません。
 しかし、連日の報道を見ていても、はっきり言って、辺野古への移設問題はますます難しくなってきているんですね。菅官房長官も先日翁長知事に会われましたが、話は平行線どころか、どんどん開きが大きくなってきているのかなというふうに見られます。前回の予算委員会のときに菅官房長官は記者会見ということで途中退席されてしまって、本日もいらっしゃいませんが、私、官房長官と総理のこの件に関する御心労というものは大変なものだろうと察する次第でございます。
 そこで提案なんですけど、私は、この件で総理と官房長官を中心とした政権のみに責任を押し付けるようなやり方はそろそろやめるべきだというふうに思っているんですね。つまり、これは沖縄対現政権という構図であってはいけないというふうに思っているんです。翁長知事は、この辺野古問題を県政の重要事項だと位置付けておりますけれども、国全体の安全保障の問題がこれは本質なわけですから、私は、これは言うまでもなく国政の重要事項でもあると考えているんです。
 それについて安倍総理はどうお考えか、教えていただければと思います。

憲法97条と11条はなぜ重複してるのか(過去記事紹介)

先月の記事

憲法97条と11条の重複の経緯が「寝床」みたいでちょっと笑える。やはり「ぜひ社長に始球式を!看板の文字を!」が接待には最高なのだ…/いや「大事なので二回言いました」との説も。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20161021/p4

刺青を入れた人が銭湯やプールを拒否されるのは憲法的にどうよ?

以前から、口をすっぱくして言っているのだが、今回ツイートしたら結構興味を持つ方がいて、リツイートが多かった。

このブログには過去記事がたくさんあるが、いささか自慢すると、私がこの問題を取り上げているのとほぼ同時期かな?
憲法学界の大御所が、「いやー、これが憲法の問題となるとは思ってなかった」と頭をかいていたのである。

ま、こんなブログで何を呟いても当然影響力なんかなく、この「タトゥーお断りは差別か」は茂木健一郎氏のツイートなどによって騒動になり、注目され、ネットで論考や議論も読めるようになった。遅いが、まあ無いよりよろしい(上から目線)。
ま、とにかく、温泉業界が新しい取り組みをしたことで再度話題になったので、再度メモ。

参院議員は完全に一票平等じゃなく、都道府県代表の性格を持たせるように憲法を変えたら?」の曲球。

参院の合区解消「憲法改正が必要」 自民・高村副総裁:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASJBM4TL0JBMUTFK00R.html
選挙区が県境をまたぐ参議院の合区の解消について、自民党高村正彦副総裁は19日、憲法改正で対応する考えを示した。近く党内に設ける検討機関で協議する。憲法審査会での議論の入り口に合区解消を据えることで、野党との改憲論議を進める狙いがある。

 党本部で記者団に語った。高村氏は「単なる法律改正では無理なので、憲法改正が必要になってくる」と持論を展開……週内にも党の参院執行部や憲法改正推進本部などの幹部が集まり、検討機関について協議する。参院自民党は、政策審議会で来週にも合区解消の議論を始め、党の検討機関に参院としての意見を反映させたい考えだ。

当方はブクマで

gryphon
参院は、地域代表の性質を持つ」的なことを憲法に明記することで、人口的には一票の格差があっても、各県からの選出が許容できるってことか。えらい曲球を投げてきたな…

と書いた。ブクマはそれ以外にも賛否でけっこう活発に議論されている。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/articles/ASJBM4TL0JBMUTFK00R.html

シノドス鼎談

【SYNODOS】憲法論議を「法律家共同体」から取り戻せ――武器としての『「憲法改正」の比較政治学』/浅羽祐樹×横大道聡×清水真人 http://synodos.jp/politics/18397