【トンガ噴火お見舞】INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「リアル・ルドルフ」か銀仮面か?「ドゥテルテという難題」に世界も、安倍も直面する

……そこは宇宙海賊たちのメイン・ストリートと称される危険地帯だったが、勇躍して乗りこんだルドルフは、「ウッド提督の再来」と称される辣腕ぶりを示し、巧妙で仮借ない攻撃によって海賊組織を潰滅させた。降伏と裁判を望む者も宇宙船ごと焼き殺すその苛烈さは、当然ながら批判を受けたが、賞讃の声はそれ以上に大きかった。
 閉塞した時代の状況に窒息するような思いを味わっていた銀河連邦の市民たちは、この若い鋭気に富んだ新しい英雄を、歓呼とともに迎えた。ルドルフは、いわば濃霧のたちこめる世界に登場した輝ける超新星《スーパー・ノバ》であったのだ。
 宇宙暦《S E》二九六年、二八歳にして少将となったルドルフは、軍籍を退いて政界に転じ、議会に座を占めると、「国家革新同盟」のリーダーとなって若い政治家たちをその人気の下に結集した。
 幾度かの選挙を経て、ルドルフは勢力を飛躍的に伸張させ、熱狂的な支持、不安、反発、そして頽廃的な無関心とが複雑に交錯するなかで、強固な政治的地盤を築き上げることに成功した
 彼は国民投票によって首相となり、さらに憲法に兼任禁止の条項が銘記されていないのを利用して、議会により国家元首に選任された。この両職は不文律によって兼任を禁じられ、それぞれに制限された権力しか所有していなかったのだが、それが同一の人格に統合されたとき、恐るべき化学反応が生じたのである。彼の政治権力を掣肘する者は、もはや存在しないにひとしかった
「ルドルフの登場は、民衆が根本的に、自主的な思考とそれにともなう責任よりも、命令と従属とそれにともなう責任免除のほうを好むという、歴史上の顕著な例証である。民主政治においては失政は不適格な為政者を選んだ民衆自身の責任だが、専制政治においてはそうではない。民衆は自己反省より、気楽かつ無責任に為政者の悪口を言える境遇を好むものだ」
 後代にいたって、D・シンクレアなる歴史学者はそう記した。その評の当否はともかく、同時代の人々の支持はたしかにルドルフの上にあったのだ。
「強力な政府を。強力な指導者を。社会に秩序と活力を!」

<「銀河英雄伝説」1巻 序章 銀河系史概略>より

銀河英雄伝説1 黎明篇 (らいとすたっふ文庫)

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とまあ、こんなふうな見立ては、犯罪者への過激な対応が賛否両論でありつつも庶民の人気を得た、ちう共通点の見立てだけで、それ以外はあまり類似点はない。
それだけだったら、こち亀両さんも「武装警察」のトップから独裁者になっている(夢オチ)。




それより気になるのは、「米国と決別し、中国の側に”思想的に”つく」と、かつてのアメリカの同盟国たるフィリピンが宣言したことだ。
何年前の記事か…まだブッシュ政権のころ
ラテンアメリカが、左派伸長の時代を迎えていたときの
船橋洋一氏の記事、これを紹介したい。

http://publications.asahi.com/syukan/briefing/785.shtml

……米国を神経質にさせているのが中国とラテンアメリカとの急速な接近である。
(略)
 90年代、ラテンアメリカ各国は米国とIMF国際通貨基金)の勧めに従って、相次いで経済改革と市場開放に乗りだした。

 しかし、アルゼンチンをはじめその多くが失敗した。その結果、ラテンアメリカは現在、次から次へと政治の左旋回現象が起こっている。それに伴って、米国内では「米国はラテンアメリカを失った」というブッシュ批判が強まりつつある。

 そこへ中国が躍り出てきた。

 それは、市場原理主義的な米国の「ワシントン・コンセンサス」の退場と「成長第一・人権第二」(あるいは「経済第一・政治第二」)を掲げる中国の「北京・コンセンサス」の登場というコントラストをなすことになった。

 先のペルーの大統領選挙(注1)では、左派の候補者であるウマラ元陸軍中佐は「ネオ・リベラルの経済モデルはわが国になんの利益ももたらさなかった」と絶叫し、有権者に訴えた。「ネオ・リベラル」(注2)、つまり「ワシントン・コンセンサス」こそが敵なのである。
 チャベスのような強権的指導者の場合、「内政不干渉」の名の下に人権や統治にうるさいことを言わない中国のほうが居心地がいい
 対中接近は米国に対する当てつけにもなれば、ある種の牽制、保険にもなる。
 しかし、彼らにとっての中国の魅力は、結局は貧困問題に行き着く。中国が貧困を解決はできないまでも克服してきたそのやり方への関心であり、敬意なのだろう。
 中国のやり方、「北京・コンセンサス」が最後に高笑いしたということではない。中国の「腐敗、格差、環境」の矛盾は深刻である。中国の指導者が本当に「こぼす」時代がやってくるだろう。
 しかし、中国が貧困を克服するために大きな躍進を遂げたことは間違いない。
 貧困をいかにして克服するか。
 米国のやり方なのか、それとも中国のやり方なのか。
 それは、社会の組織、政治の統治、世界の秩序・安定の理念と構想をめぐる二つの考え方の間の葛藤でもある。
 米国の対中警戒感はまさにそこに根ざしている。米国は「北京・コンセンサス」という中国のアイデアに脅威を感じ始めているのである。

北京コンセンサス!
まあタネは単純で、昔の「開発独裁」の言い換えである。
ただ、逆に冷戦終結があったために、米国が「より大きな悪(ソ連共産主義)と闘うためにはよりましな悪と同盟もやむなし」という、ヒトラー打倒のためにスターリン毛沢東と組んだあのロジックが使えるが、今はさすがに。
いや…冷戦まっさかりでも、ドゥテルテみたいなことやったら、さすがにアメリカから批判は出ざるを得ないわな。ましてやいまは民主党政権ノーベル平和賞受賞者たるオバマ大統領だ。「地獄に落ちろ、売春婦の息子め」なんて言い出すとは思わなかったが…


で、安倍首相だ。
というか日本外交だ。


日本は、実のところ戦後一貫して、独裁国家にも内政不干渉という点では西側にして北京コンセンサスよりでしたね。
このブログの記事の中で…いま検索キーワードが思いつかず探せないが、中国のネットユーザーが、
アメリカやヨーロッパのように人権問題を議題に挙げないんだから、日本は中国の最大の友人だろう」と皮肉を言った…という話を昔書いている。


自分も、たとえば北朝鮮のような、全人類への犯罪ともいえる「全体主義国家」(プラス、あそこは核や拉致という対外的脅威もあるが)は批判し、たとえば出先機関や支持を公言する団体(某総連など)と思想的、政治的に対決すべきだと思うけど、そこまでではない国家とは、まあ大きく対立する必要は無いと思っている。

というか、アメリカ自身も日本にはフィリピンを批判するより懐柔する役目を担ってほしいと思っているフシもあるし。


フィリピンだけではなく、


トルコ
サウジアラビア
韓国
イスラエル


など、以前はアメリカの同盟国という点を第一基準に動いていたが、どうもアメリカが世界の警察を退くようなので、自己の国益を最大化するために独自の動きをしている…旧西側陣営国家は多い。
ていうか、ロシア接近を大胆におこなう日本の安倍政権も、よそから見ればその一国のひとつだろう。
それは決して間違った方向ではない。


それに、副産物だが、少なくともアジアにおいては韓国・フィリピンの米国離れ的な行動があまりに大胆過ぎて、相対評価ではむしろ日本への信頼…というか、組む相手としての価値がアジアでは上がっている状況だ。
それは、逆にメリットがない!とも思うのだが。



そんな中で、フィリピンと日本の立ち位置をどう設定するか。
ポスト安倍の一番手と見る人もいる、岸田文雄外相だけでなく、安倍晋三首相も実は本日の会談が、外交的な正念場だ

まあ、トルコのエルドアン、ロシアのプーチン
非常に個人的にも良好な関係だという安倍首相。
ひょっとして半独裁的なリーダーとは相性がいいのかもしれない。似た者同士だからだ、とか言われるかもだね(笑)。


さてどうなりますか


こんなまとめも作りました。

いよいよ日本上陸…!フィリピン・ドゥテルテ大統領とは何者か?の論考集 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/1040684