「警官に殺される確率は白人の4倍!ファーガソン騒動が浮き彫りにした米社会の病巣——ジャーナリスト・仲野博文|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/articles/-/62762 @dol_editorsさんから
ここの見出しに撮られた統計的な人種と射殺措置の差も興味深いのだが、自分の関心のあるところをピックアップする。
8月26日の特別レポートで、筆者はウェアラブルカメラを導入したカリフォルニア州の警察署が市民からの苦情を88%も減らすことに成功した例を紹介した。
車載カメラだけではなく、ウェアラブルカメラによって警察官一人一人の行動がより明確に把握できるというメリットがあり、アメリカの各自治体では警察官にウェアラブルカメラを支給・装着させるべきとの声が日増しに高まっている。この動きに投資家も反応し、ブラウンさんが射殺された翌月にはウェラブルカメラを製造するデジタル・アライ社の株が4ドルから33ドルにまで高騰した。
その8月のレポート…
ブラウンさんの射殺をめぐっては、地元住民から寄せられた目撃情報と地元警察の見解が大きく異なり、これが問題をややこしくしているのだが、ビデオ映像を残すことで警察官の過剰な行動を抑止できるという指摘は以前から存在する。
ブラウンさんが射殺されて間もなく、ホワイトハウスの陳情受け付けサイトには警察官のウェアラブルカメラ着用を義務付けるよう法改正すべきとの投稿があり、陳情を支持する署名はすでに10万人分を突破している。
ウェアラブルカメラの着用によって、パトロール中の警察官も市民に対して過剰な行動を取りにくくなると考えられており、外勤の警察官にウェアラブルカメラの着用を義務付けたカリフォルニア州リアルトでは、警察への苦情が1年間で88%も激減している。
ウェアラブル製品に詳しいプロダクトデザイナーの濱田浩嗣氏は、ウェアラブルカメラなどが将来的により低価格化されるとの見通しを示し、ウェアラブル製品が警察官一人一人に配布されることによって、勤務中のトラブルを未然に防ぐ抑止力に十分なり得ると語る。
この話は当時、別の記事をこのブログで紹介していた。
個人認証や撮影・プライバシーなどに関する資料集 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140902/p3
さらに遡ると…
児童虐待を防ぐ3つの政策を挙げるなら…「監視せよ、監視せよ、さらに監視せよ!」 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140628/p4
都議会のセクハラ野次。声紋分析(が発達)すれば、誰の野次かもわかるのではないか。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140619/p2
NHKスペシャル「コンピューター革命」を見て考えた、思い出したこと雑記(7日未明に再放送あり) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120604/p4
その過去の記事で、端的にまとめたつもりの感想がある。
『これを「不気味だ」「ビッグブラザーだ」と言って否定する勇気は自分にはない。いや…「ビッグブラザーではない」と言っているのではない、もっと絶望的なことに「良きビッグブラザーもいる」と認めざるを得ないのではないか?ということなのだ』
警官がすべて職務の様子を、その職務質問や取締りの様子も含めて録画する。着用する警官の側も、その警官が勤務中に接する周囲の人々にも、古典的な監視社会SFなら『ビッグブラザー』と忌み嫌われるような、監視の目が届くことになるのだ。
だがそれが、恣意的な権力行使や人種偏見による暴力の危険を減らす効果がある、という。
この前、韓国で、アジア大会水泳選手が「カメラを盗んだ、いや盗んでいない」という議論があった時も結局……仮に水泳選手の主張を信じるなら「防犯カメラで見せられた映像は不鮮明で不十分だったので無実を証明できなかった。防犯カメラの映像がもっとはっきりと映っていればよかったのに……」という主張だったわけでしょ。
これもまたつまり「良きビッグブラザー」としての監視カメラ…つまり「無罪を証明してくれる慈父としてのビッグブラザー」なんだよね。
あとで本人にもお尋ねしてみるけど、
はてなの「空気を読まない中杜カズサ」で有名な中杜カズサ氏はtwitterもやっておられる。(はてブ連動だよなたぶん)
中杜カズサ 月曜東 R24a @nakakzs
https://twitter.com/nakakzs
このツイートの中で1−3年前ぐらいだったかなあ?痴漢冤罪だったか、そこから派生した議論への感想ツイートで「まずは電車内に防犯カメラを設置しなよ(大意)」とコメントを述べていた。
ほかの諸問題で氏は、自由やプライバシーを非常に尊重しており、また権力の圧迫や不正というのにも広く注意を払っている。だがそういう立場からでも、カメラによる「目」の拡大が、より人権を守ることになるという、自分の用語であるところの「良きビッグブラザー」について語っているのである。そのへんが興味深かったので、そんな一ツイートをよく覚えているのだが…。
追記 上の話に対し、twitterでリプライをいただきました
https://twitter.com/nakakzs/status/538198021259796480 から。若干読みやすくなるよう、複数ツイートがひとつの文章になるよう編集。
中杜カズサ 月曜東 R24a @nakakzs
@gryphonjapan どうもです。その類のことははてブでちょくちょく言ってるのですが、100字の枠に収めるために多くのことをはしょっているので、ここでちょっと前提から書いてみます。若干長くなりますがご了承ください。
ツイートは多分痴漢冤罪についてで、これは度々語っていますが、大前提として「プライバシーに最大限考慮すること」があります。現行鉄道会社が防犯カメラを設置する時には範囲や一定期間での消去等ルールがありますが、それがなされるのが大前提ですね。
痴漢事件に限らず、防犯カメラ的なものの設置では、その防犯による公益とプライバシー侵害との衝突がほぼ確実に起きます。それは一括に語ることは困難で、個々の状況を比較考量して定めるべきものであると思われます。その為の担保が運用指針だったり。で、他の事例は一括には語れませんが、鉄道構内の防犯カメラの場合は、それによる一般の人の益(痴漢及び痴漢防止)が大きいと思っているのでよくあのように書いています。繰り返しますが、当然厳格なガイドラインのもとで運営されること前提で。
まあそこで厳格に行われるかの疑義があるでしょうが、「現時点では」既存の鉄道構内防犯カメラでのそのような侵害問題がさほど聞こえてこないので、運用範囲を見ながら広げてる方向も、防犯や冤罪防止との比較上いいかなというところです。あとは運用次第。ざっとですが、こんなところです。要は状況を見て臨機判断にすることと、もし過度な侵害が生じたならそれは問題として議論できるようにすることかなと。長々とすみません、以上です。
ありがとうございました。
自分は以前こんなふうなtogetterもまとめてました。
AIS、ドライブレコーダー、そしてICレコーダー…記録装置が完全に普及した社会とは - Togetterまとめ http://togetter.com/li/617125 @togetter_jpさんから
で、何度も書いた話だが、もし互いが互いを常に録音・録画する社会ができるなら、それは間違いなく「もっと皆が優しく、紳士的になる社会」になっていると思います(笑)
といった話をする際にはまず
自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う (筑摩選書)
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