INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

浜矩子氏『ケネディの「あなたが祖国のために…」演説は「country」と言ったから賞賛された。「state」だったら顰蹙だった」←ホント?

上のはなし http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140826/p2 からちょうど続きます。
浜氏の論考の後半部分だが……。
(※全文を読むには要登録)

http://mainichi.jp/shimen/news/20140816ddm005070002000c.html
 ジョン・F・ケネディ米大統領の有名な言葉に「祖国があなたのために何をしてくれるかを問うなかれ。あなたが祖国のために何ができるかを問うべし」というのがある。ケネディ名句の筆頭格に数えられている。だが、筆者はこれがどうも引っかかる。やっぱりこれは違うと思う。国民には、国家が自分のために何をしてくれるかを、常に問いかけ続ける当然の権利がある。

 「祖国」というから、思わずハートをわしづかみにされてしまう。この場合の「祖国」の原語は「カントリー」(country)だ。「ふるさと」とか「いなか」のニュアンスがある。「お国自慢」などという時のお国は「カントリー」だ。

 ケネディ氏が国民国家における国家を意味する「ステート」(state)という言葉を使っていたら、どうだっただろう。「ステートがあなたのために何をしてくれるかを問うなかれ。あなたがステートのために何ができるかを問うべし」といわれても、誰も胸を高鳴らせはしなかったに違いない。それどころか「何を言っているのか」と大顰蹙(ひんしゅく)を買ったに違いない。

「私はナショナリストではない、パトリオットだ」とか「兵士は国家ではなく、クニ(郷土)のために戦ったのだ」
とかとかね、そういうニュアンスの違いはよく言われている…のだが、それは日本でも、けっこう「敢えて」違いを表現するときにこの種の語を使い分けていることのほうが多いような気がする。それはそれで、その文脈ならなるほどと分かるわけです。
きのうのウマイヤvsアッバスでいえば「ウマイヤはまだ『アラブ王朝』だった。アッバースになって初めて『イスラム王朝』が誕生した」みたいな解説をする人がいる(ただ、この定義がどこまで一般的であるかは分からない)。あるいは「『中国』は、第二次大戦後に中国共産党毛沢東が建国した国家の名称として扱う。清、明、元、宋…などの歴代王朝を貫く、あの地域や文化伝統の続いた空間は共通して『シナ』と呼ぶ」といって論を展開する人もいる。
一般に伝わるかとかは別として、そういうふうに言葉を分けているときは「敢えて」という部分が出てくる。


さて、しかし上で浜氏が語っているのは、一般的なニュアンスの話である。

http://www.jfklibrary.org/

同胞であるアメリカ市民の皆さん、国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではありませんか。
また同胞である世界市民の皆さん、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを考えようではありませんか。


my fellow Americans: ask not what your country can do for you--ask what you can do for your country. My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man. Finally, whether you are citizens of America or citizens of the world, ask of us here the same high standards of strength and sacrifice which we ask of you

この文章で、「country」が「state」という用語に変わっていたら、聴衆の反応は「感動」から「大顰蹙」に変わっていた…というのが浜説。


ほんとうかなあ?そんな用語の違いで、反応が正反対になるのかなあ?
とちょっと首を捻るのだが、まあ浜氏は少なくとも、小生より英語ができることは間違いなかろーなので、ここに記録だけしておく。各種英語使いや、ネイティブに知り合いがいる人で、浜氏の説を補強する賛のご意見、いや違うと言う否のご意見があるなら、ともに聞きたいところだ。