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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

三省堂辞書の「結婚」項目は、既に同性婚を視野に入れた語釈をしている。

以前書いた記事からの続編報告。
この前togetterにまとめた

誤用ではない?「汚名挽回」「名誉挽回」をめぐる辞書編纂者らの議論 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/662009

は非常に反響があった。
その中心である

飯間浩明
@IIMA_Hiroaki
国語辞典編纂者。『三省堂国語辞典編集委員。1967年香川県生まれ。 著書『辞書に載る言葉はどこから探してくるのか?』(http://t.co/ETLFwlAvwE)、『辞書を編む』(http://t.co/dssj9O2X3J)など。 NHK Eテレ「使える!伝わる にほんご」講師。

氏と、やりとりをする機会があったので、このチャンスを逃してはいかんと思い、ぶしつけながら以下のような質問とやりとりをした。

https://twitter.com/gryphonjapan/status/462023688485761024
gryphonjapan ‏@gryphonjapan 5月2日
「挽回」についてのツイート、興味深く読ませていたきました。ところで、一度辞書関係者にお伺いしたいことがあったので、ぶしつけ無礼は承知ながらtwitterの気安さで質問させてください。(続く)@IIMA_Hiroaki
実はhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121102/p2  に書いた様に現行辞書を幾つか調べたのですが「結婚」の語釈は大体どれも「男女」とあるか「夫婦」という言葉がありました。上に書いたように「同性婚」問題が浮上した今後、この語釈はどうなっていくとお考えですか?@IIMA_Hiroaki
 
飯間浩明 ‏@IIMA_Hiroaki 5月2日

三省堂国語辞典』の「結婚」の項目は〈男性と女性が〉で始まりますが、最後に〈海外では、同性婚もある〉と記しています。日本の現行法も勘案して記述したのです。@gryphonjapan: 現行辞書を幾つか調べたのですが「結婚」の語釈は大体どれも「男女」とあるか「夫婦」という言葉があ…


 

gryphonjapan ‏@gryphonjapan 5月2日
@IIMA_Hiroaki ありがとうございます!!そうだったのか。「同性結婚も含めた語釈をした日本の辞書が既にある」ということはもっと知られていい。


これは

■日本の辞書における「結婚」の定義・・・いつ、どの辞書が「男女」の限定をはずすんだろうね。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121102/p2

からの続き。
辞書の定義や百科事典の説明は、もとより政治的な意見対立があるときは結構話題になったりするもんだけど、特に同性結婚に注目した理由は、その過去記事で紹介している。

https://www.dropbox.com/s/smt6kosxwfs3xc0/SHIMIZU_LegalConstruction.pdf
アメリカにおいて提起された世界初の同性婚訴訟として有名なBaker v. Nelson148においてミネソタ州最高裁判所は,ウェブスター辞書の結婚の定義を引用しつつ149,「男性と女性の結合としての婚姻制度は,唯一家庭内での生殖および子の養育をともなうものであり,それは,創世記同様,長い歴史を有するものである」などとし,婚姻とはその定義上男女の結合であること,ほぼそれのみを理由として,原告の請求を退けている

そう、出発のときから「定義がこうである。だからそれ以外は認めない」「いやその定義は広げるべきだ」という、なんか哲学的?な議論が根底にあるのだ。
自分はその主張も、それほど正しくない議論とは思わない。
ここで「『雑煮』と『汁粉』」にたとえてちょっと書いているね(笑)

同性婚(結婚)制試論…愛と家族と「私」と、法と制度と「公」。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120512/p4

ただ、過去の辞書記事にも書いたけど、自分が調べたのはたまたま図書館にあった辞書だけで、しかもいちばん肝心な版がやや古かった。三省堂の辞書の今現在の記述を、考え方も含めて著者から聞いたのは望外の幸運である。
ほかの辞書がその方面への目配せをしていないなら、同性婚賛成論者は「三省堂辞書」のあり方を賞賛し、優先的に「推薦辞書」とするのもいいのではないか。もちろん反対論者が批判することも可能…でもないな、外国でそういう制度があるのは動かしようもない事実なのだから、事実のレベルで一歩先を同辞書は進んでいて、逆にそういう補足がなく「男女が…」や「夫婦になること」と書いているだけの辞書は”欠陥辞書”である、との批判を受けるかもしれない。


たとえば「親子」「実母」などのの定義も、代わっていくのか

代理母とか、そういう生命医学の進化、さらにいえば「DNA」というものが発見される前と後では、親子の辞書としての定義は変わるのかどうか。法改正はどう影響していくのか。
こういうところも、あとで調べてみたい。


追記
その後2018年、恋愛や性関係の語釈に、このような変化があったという

高校生向け『三省堂現代新国語辞典』第6版がヤバいから高校生じゃなくても買え - 四次元ことばブログ http://fngsw.hatenablog.com/entry/2018/10/18/174528