検察庁法改正をめぐって、「政権が恣意(しい)的な運用ができる余地がある」と指摘されました。この「恣意的」の意味が分からない、という声があります。「恣意的」とは「(1)これといった規則がない」または「(2)勝手気まま」の意味で、「恣意的な運用」の場合は(2)と考えてOKです。〔続く〕 pic.twitter.com/WLyt6vJrju
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) May 18, 2020
3月の日経記事審査部によるアンケートでは、「恣意的」を「意図的」の意味で使う人が多い結果になっています。でも、設問の例文(「記者会見で恣意的に質問者を選んだ」)の場合は、「意図的に」とも言えるし、また「自分勝手に」とも言えるので、設問が適切でない気がします。https://t.co/punECybH7J
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) May 18, 2020
「恣意的」は「意図的」と意味的に重なる部分があります。「恣意的に選ぶ」という場合、自分に都合のいい判断が入り込むので、「意図的」と言い換えることができます。ただし、「恣意的=意図的」ではありません。「文字を意図的に大きく書く」は「文字を恣意的に大きく書く」とは言わないでしょう。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) May 18, 2020
『明鏡国語辞典』第2版は、「恣意的」について〈「意図的」(=あるもくろみをもって行うさま」の意で使うのは誤り」としています。でも、これは断定しすぎです。もちろん「恣意的=意図的」ではないのですが、「恣意的」と「意図的」には重なる部分があるので、誤りとまでは言えません。
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冒頭で述べた「恣意的」の「(2)勝手気まま」を「誤用」とする説もネット上にありました。それについては、以前否定したことがあります(リンク参照)。今回は「恣意的」の意味を再説し、あわせて「意図的」と言い換えられる場合があることについて述べました。pic.twitter.com/ohrzuMWnC7
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) May 18, 2020
以前「恣意的」について述べた時には、「恣意的」が「意図的」とイコールでないことを強調しすぎた感じがあります。今もそう考えていますが、両者は意味的に通じる部分もあるんだし、ある場合には「恣意的」を「意図的」の意味で十分使えるじゃないかと、少し考えが変わったところがあります。
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全部埋め込みだと、リプツイートは引用元が表示されるはてな仕様のせいでやっぱり読みにくい…
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