INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

歴史上の人物の”パブリック・イメージ”を確立させたフィクション史について〜明智光秀を例に【創作系譜論】

【創作系譜論】
こんなtogetterを創りました。
中心になって語っている方は、このブログもやっている人。
http://iiwarui.blog90.fc2.com/

明智光秀は「常識的、良識的な保守派」というイメージの真偽について
http://togetter.com/li/523680

明智光秀は創作物などで良く、良識派の文化人で保守派のような描き方をされますが、彼が築城した福知山城の石垣が、寺社などから奪ってきた仏像や墓石などによる転用石だらけ、というのを見ただけでも、そんな話は嘘だと確信出来ますねw
1059kanri 2013-06-24 19:21:47
というか、信長や光秀にかぎらず、中世の武士って寺社から何か略奪したり破壊したりすることによる仏罰とか全く信じていませんよねw
世間一般に言われる織田信長のキャラクターって、実は明智光秀が一番近いんじゃないかと思ってみたりw

ここでぼくがコメントしたやりとりがこれ 

(自分)どこまで本人も信じたのか確信犯的に創作してたのかわかんないけど、国盗り物語司馬遼太郎が描いた「異能で冷酷の天才・信長に、一時は魅了された常識人・光秀が最後に『もうついてけん』と反乱を起こす」という枠組みは、創作ならそれも見事な構図ですわな、@1059kanri
 
(あちら)@gryphonjapan ですねー。アレは見事だったと思います
1059kanri 2013-06-24 19:42:19
 
(自分)でも「狂気すらはらんだ異能の天才に、一時は魅了された常識人が『もうついてけん』とそむく」という構図は、後醍醐天皇足利尊氏で書いたらけっこうさらにリアルに描けるような(笑) @1059kanri

国盗り物語(三) (新潮文庫)

国盗り物語(三) (新潮文庫)

国盗り物語(四) (新潮文庫)

国盗り物語(四) (新潮文庫)


ここから発展させて余談を・・・

歴史上の人物の「キャラクター」を決定的にしたフィクション、とは。その創作者は。

歴史上の偉人なんて複雑な二面性がある人がほとんどであり、そう簡単に「キャラクター付け」ができるかといえば、実像的にはとてもそうではないだろう。だけど歴史上の偉人は、やっぱりまがりなりにも「キャラクター」でなければいけない、という部分も大きい。曹操孔明、大石・吉良・・・言うまでもないな。
ただ、長い歴史の中で形作られたものとは違って、「この作者、この作品によって歴史上の人物のイメージが一新され、定着してしまった」というのが分かると、個人的には大変興味がある。
それは自分が
「キャラクター(人物造形)のパターンの”因数分解”」
「キャラクター(人物造形)の歴史をたどる」
というのを、下手の横好きで興味の対象にしているからだ。


この”功罪”を論じるときに、功ならば勲一等、罪ならば戦犯扱い(笑)になるのがやっぱり司馬遼太郎です。自分も自覚しているところがあって、とある作品が一から十まで、沖田総司のイメージを「燃えよ剣」「新撰組血風録」に沿って書かれてた(お話がパクリ、ということではない)のを見て
「ああいう沖田総司は、僕が考えたんだよ!!
とかなりお怒りであったという。たしかにそうだと思うが、そりゃ自白だ(笑)

燃えよ剣

燃えよ剣

新選組血風録 新装版 (角川文庫)

新選組血風録 新装版 (角川文庫)

堺屋太一が書いた小説で「その記述は司馬のパクリだろう」と言われたとき、堺屋氏は「これはみんなが共有してる定説だと思ってた…」と言い訳したことがあったな。
「成功しすぎた歴史小説の創作は、史実と見分けがつかない」
なんて格言にしても、みなこまるわけだが・・・。
 
しかしまぁ、
「XXXXという歴史上の人物のイメージは、実像とかけ離れている。それは○○という作家が、『■■■』という作品でそういう固定観念をおろかな大衆に植えつけたからだ!」と歴史学者の重鎮が歯噛みして悔しがる・・・そんなことができたら、創作者としては最大の名誉、でもあるだろうなあ。
司馬遼太郎なんかぬるいわー!俺なんか今、歴史上の人物の性別のイメージまで変えようとしてるもんねー!」
「はっ、あなたは(以下略)」

千利休を『美の世界を守るため、権力者に妥協しなかった勇者』と描いた元祖の作品は?

ただ、キャラクター(人物造形)のルーツ探し・・・といっても、これって「自分が目を通したもの以上にはさかのぼれない」ですからな。これは彗星さがしや、昆虫の新種探し、言葉の初出探しのように、むしろ1人の天才より1万人の凡人の目が集まったほうが有効な分野。どんどん「その前にコレがあったよ」と追加・上書きしていただければ、結果的に研究が深まる。
上の
「異能の天才織田信長に魅了されつつも、最後にはついていけなくなって本能寺に至った明智光秀」も、司馬遼太郎の「国盗り物語」以前に原型があるのかもしれない。

で、以前、同じような歴史テーマのtogetterで
千利休は『秀吉に逆らってまでも美を守ろうとした勇者』と描かれていますが、それはXXXの『○○○』という作品が元祖なんです。それ以前は、秀吉の気まぐれで殺された『かわいそうな弱者(被害者A)』ていどのイメージでした」
という一文を読んで、へーそうか、と思ったのですが、忘れてしまいました。

だれか覚えている、知っているひとがいたら教えてください。作家はけっこう有名な人だったと記憶していますが・・・

本覚坊遺文 (講談社文芸文庫)

本覚坊遺文 (講談社文芸文庫)

花の慶次 1―雲のかなたに (ゼノンコミックスDX)

花の慶次 1―雲のかなたに (ゼノンコミックスDX)

一夢庵風流記 (新潮文庫)

一夢庵風流記 (新潮文庫)

へうげもの 一服 (講談社文庫)

へうげもの 一服 (講談社文庫)

コメント欄より 元祖は野上弥生子

id:fullkichi1964 2013/06/27 06:58
利休の美的ヒーロー化、たぶん野上弥生子「秀吉と利休」からかと・・・・

http://1000ya.isis.ne.jp/0934.html

秀吉と利休 (中公文庫)

秀吉と利休 (中公文庫)

・・・ここでは作者は、秀吉の猛然たる執念が何にあるかをまず捉え、ついで、その秀吉に愛憎半ばの癇気と情気をことごとくぶつけられたがゆえにその本質を見通したかもしれない利休を、ことごとく対比的に描いてみせた。
 このように秀吉と利休を対比するのはいまでは“常識”になっているけれど(井上靖から赤瀬川原平まで)、このような対抗社会的視点を譲歩を許さぬ構えで導入したのは野上弥生子が最初だった・・・

id:gryphon 2013/06/27 07:30
ほほう1964年の作品。なるほど、これかな?本文に追加します


(追記 ところがこのあと、さらに意外な展開!!!記事下の、トラックバックから飛んでみてください

TBなどは現在消失しているので、この記事も含めた関連リンクを張ります

【4つの記事が連動しています】
明智光秀は「常識的、良識的な保守派」というイメージの真偽について(Togetter)
http://togetter.com/li/523680
■歴史上の人物の”パブリック・イメージ”を確立させたフィクション史について〜明智光秀を例に
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130625/p2
■(続報)「美の世界で秀吉と戦った千利休」というパターンの元祖は野上弥生子「秀吉と利休」か
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130627/p3
■「千利休の描かれ方の歴史」さらに続報。元祖は海音寺潮五郎? そしてさらにその前史が・・・
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130629/p2