INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「本屋大賞」「大宅壮一ノンフィクション賞」決まる

本屋大賞、ますます「権威」に

http://www.hontai.or.jp/

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 下

海賊とよばれた男 下

おめでとうございます。
この作者のかたはボクシング経験者で、過去にボクシング本も書いてるとか。

http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20130410

「黄金のバンタム」を破った男 (PHP文芸文庫)

「黄金のバンタム」を破った男 (PHP文芸文庫)

ボクシング経験者の百田氏が、史上最高と呼ばれるボクサーについて書くその構造は、増田俊也氏の『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』と共通しています。と思ったら文庫解説が増田氏でした

で、賞マニア(・・・といいつつよく見落とす)の自分としては、とにかく今年の「本屋大賞」自体の出世、権威っぶりにはおどろかざるを得ません。これは10年の節目ということで、そっちも加味して報道されることもあるんでしょうけど、たとえば朝日新聞は紙面でもスペースをとって大特集、
そしてネットでは受賞者のことばと一問一答を全文載せてる。大サービスすぎる。
http://book.asahi.com/booknews/update/2013041000001.html

 さきほど(本屋大賞実行委員会理事長の)スピーチで、本屋大賞は受賞してからがスタート、そこから書店ががんばって売るんだということですが、間の悪いことに、12日に村上春樹さんが新刊を出されます(笑い)。もしかしたら(自分の本は)歴代の本屋大賞で一番売れない本になるんじゃないかと心配です。文春さんも村上さんもかなり意地が悪い(会場爆笑)。わたしが勝負できるのは10、11日と2日だけですので、なんとかがんばります。

と、おもしろいことをいうのは、今も現役で「探偵!ナイトスクープ」の脚本も手がける放送作家だからでもあるそうな。
こんなふうに朝日新聞がプッシュするのは、朝日は本に与える自前の賞はないので(大佛次郎賞はまたアレだけど)、出版社系の賞より本屋大賞のような「中立」の賞が注目や権威を浴びたほうがいい・・・ということもあるのかしら。それはうがちすぎだな。
ただ、それなら「書店員が選ぶマンガ大賞」は「手塚治虫文化賞」(朝日新聞が深く関係)より今や権威も注目も浴びているけどね(笑)


ただ「本屋大賞はいまやXXXより上だ」が意識的に話題にされてたりとか。
http://www.j-cast.com/tv/2013/04/10172792.html

・・・最近は直木賞受賞作でも5万〜10万部の売れ行きに留まっているのに対し、本屋大賞受賞作は30万部も売れたものもある。今や「本が最も売れる文学賞」といわれている。受賞の挨拶に立った百田も「始めていただいた賞で、直木賞よりはるかに素晴らしい。文学賞で最高の賞です」と我が田に水を引く・・・

そして大宅壮一ノンフィクション賞船橋洋一

http://www.bunshun.co.jp/award/ohya/

第44回大宅壮一ノンフィクション賞船橋洋一さんに決定!
(平成25年度)
第44回大宅壮一ノンフィクション賞の選考委員会が4月9日(火)午後5時より、「帝国ホテル」にて開催され、船橋洋一さんの『カウントダウン・メルトダウン』が授賞作に選ばれました。
公益財団法人 日本文学振興会

門田隆将
(かどた・りゅうしょう) 『死の淵を見た男―吉田昌郎福島第一原発の五〇〇日』(PHP研究所刊)
五味洋治
(ごみ・ようじ) 『父・金正日と私―金正男独占告白』(文藝春秋刊)
船橋洋一<受賞>
(ふなばし・よういち)『カウントダウン・メルトダウン』(文藝春秋刊)

カウントダウン・メルトダウン 上

カウントダウン・メルトダウン 上

カウントダウン・メルトダウン 下

カウントダウン・メルトダウン 下

政府や官庁からまったく独立した科学者や弁護士、ジャーナリストらのチームが福島第一原発事故の原因と被害の拡大について調査した「福島原発事故独立検証委員会調査・検証報告書」は、2012年3月に発表され大きな話題となりました。
書籍化した報告書は10万部を超えるベストセラーになり、報告は、「民間事故調の報告」として内外のメディアが繰り返し報道しました。
その「調査」を指揮、プロデュースした船橋洋一氏が、この「民間事故調」での調査以降も独自に、ワシントンの要人、内閣の閣僚、浪江町飯館村、米NRCなどに取材をし、福島第一原発事故の「世界を震撼させた20日間」をノンフィクションとして描きます。
極限状況下で、日本政府、アメリカ政府、軍、東電はどう動いたか、神は細部にやどるといいますが、様々なエピソードが叙事詩のように詰みあがっていきます。
特に、アメリ国務省の要人らによるインタビューによって、初めて米国があのときどのように動いたかがこの本で明らかになります。

森功
(もり・いさお) 『なぜ院長は「逃亡犯」にされたのか―見捨てられた原発直下「双葉病院」恐怖の7日間』(講談社刊)
安田浩一
(やすだ・こういち) 『ネットと愛国―在特会の「闇」を追いかけて』(講談社刊)

あっ、今回は他候補も有名な人々が多かったな。
ただ、本屋大賞で出てきた「出版社からの天の声?」を疑わせる、版元からの受賞だね。

しかし船橋洋一氏の本、自分はこういうノンフィクションの中でも彼の「同盟漂流」「ザ・ペニンチュラ・クエスチョン」は猛烈に面白いと評価している。
全部、文庫化すると上下巻になる分厚さ、長さなので再読はしんどいが(笑)

同盟漂流〈上〉 (岩波現代文庫)

同盟漂流〈上〉 (岩波現代文庫)

同盟漂流〈下〉 (岩波現代文庫)

同盟漂流〈下〉 (岩波現代文庫)

ザ・ペニンシュラ・クエスチョン 上 (朝日文庫)

ザ・ペニンシュラ・クエスチョン 上 (朝日文庫)

ザ・ペニンシュラ・クエスチョン 下 (朝日文庫)

ザ・ペニンシュラ・クエスチョン 下 (朝日文庫)

一度は朝日の論説主幹をつとめた人でもあり、いまさら著作でノンフィクション賞受賞というのもいろいろあるだろう・・・ついでにOBで「大宅賞は極右文春がだすけしからん賞だ」と言い続ける人もいる(笑)。

おまけに、

プロメテウスの罠―明かされなかった福島原発事故の真実

プロメテウスの罠―明かされなかった福島原発事故の真実

と、基本的に同じテーマでの”競作”なんだぜ!!しかもライバルは朝日新聞社の総力を挙げた取材班と、現役AERA記者(笑)。
そして民間事故調査委員会と政府の事故調査委員会があり、民間事故調のトップが船橋氏だったり・・・
福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書

福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書

国会事故調 報告書

国会事故調 報告書

まあそれだけ重要な課題であって、朝日系の報道が充実している、ということでもあるのだろうけど。


それでも、こうやって受賞が決まった。
読み比べるもいいし、まずは一冊を手に取るのもいいだろう。


ああ、船橋氏といえば英語に堪能で人脈が深いから、たぶん今回の本は英語に翻訳されて、この事故の世界常識の「元ネタ」になるんだろうな・・・