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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

とよ田みのる「ラブロマ」新装版発売。〜ところでこの作品、こう読むことは可能?


とよ田みのる氏の出世作ラブロマ」の新装版が発売されるそうです。
これで講談社小学館への”完全移籍”が完成というか・・・。これは両者の資質にあったトレードという気がします。
 
いや、アフタヌーンでの作者は、いい仕事をしていたし、誌面のバランス的にもいい存在感があったと思うのだが・・・どう考えても長期的に見るべき「友達100人できるかな」を、「からん」とともに途中打ち切りしたアフタヌーン”2011年の大虐殺”を見れば、彼らに忠誠を果たす義理ってないよね、としか言いようが無い。
 
現在ゲッサンに連載している漫画の成功を祈り、連動でこの「ラブロマ」の人気再燃、再評価を期待したい。
さて、この作品の紹介だが・・・
ずっと昔、わあふるい、2004年にこういう文章を書いた。

ラブロマ」を論ず
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040518#p2

だけど、今はこう、簡単に記してみようと思う。
「普通の少女根岸さんと、アスペルガー症候群の少年ホシノ君との恋愛を描いた漫画」


・・・まて待て、リアクション待ってくれ。そんな漫画じゃない!!とファンからいわれるのは重々承知だ。
細部の症状解釈に疑義がある、というのも、
テキストのどこにもそう書いてないだろ、というのも
そもそも与太話のたぐい、というのも、ごもっとも。
だから放談として聞いてもらって結構です。
 

つまり、言いたいことはこういうことですよ。新装版を契機に、これを再論しているだけ。

個性か病気か選択か。「新型うつ」「マインドコントール」「ギャンブル依存症」…etc(前編)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120429/p3

そこでも書いたように「天才柳沢教授の生活」「犬神もっこす」「鉄子の旅」なんかも視野に入れている。
   

漫画というのは当然、キャラクターの個性を強調していくものだけど、たとえば「空気を読まないマイペース」「いらんこと言い」という”個性”が、本当に極端になると(たぶん偶然に)「病気」と似てくる。
そして「病気」と「生き方」「個性」は、リンク先にあるように専門家でも見分けが付きにくいものがある。病気に対しては、たとえばうつ病の人に
「何やってんだ、もっと頑張れ!気合入れろ!!」
「諦めんなよ!諦めんなよ、お前!!どうしてそこでやめるんだ、そこで!!もう少し頑張ってみろよ!」
という松岡修造なアレは劇薬に等しいですよね。しかしまあ、フツーにだらけているひとなら言っていい。たぶん。

ラブロマ」の主人公ホシノ君への、女性主人公根岸さんのツッコミは普通に無神経(というか合理的すぎる)な彼になら、夫婦漫才のいいツッコミだが、もし仮に「アスペルガー症候群の彼」にだったら・・・

見方一つで、言動は同じなのに変わってくるよなあ、と思えませんか?思えませんか。


でもね、映画「ソーシャル・ネットワーク」あったでしょ?
あれに対して「主人公のザッカーバーグアスペルガー症候群。そういう観点で映画も見よう」という評論文がある。

町山智浩さんのソーシャル・ネットワーク解説
http://togetter.com/li/90956
 
あの映画ではザッカーバーグアスペルガーとして描かれています。人の感情が理解できない悲劇の人として。脚本家が取材でそう描くことにしたようですが現実にザッカーがそうなのかは諸説あります。 RT @who_nuts: @TomoMachi 何故ビールのシーンが重要なのでしょう?
  
彼は女の子がビールを投げられて怖がっているという感情を察する能力がないのです。雨の日に友人を迎えに行かず謝らないのも同じです。映画の中で彼は一度も謝りません。共感力の欠如です。 RT @xxx_ilove69: QT @TomoMachi ビールを二度投げるシーンが本当に重要。
 
冒頭で彼女に「君の大学は二流だから勉強しなくていいよ」と言ったのは傲慢でも侮辱でもなく、ザッカーバーグとしては事実を言っただけなんです。だからなぜ彼女が怒ったのかわからない。それが彼の悲劇なんです。 RT @sync_sync: アスペルガー映画としても「ソーシャルネットワーク

【追記】さらに、この記事を書いた後に読んだ文章

シャーロック・ホームズアスペルガー症候群
http://d.hatena.ne.jp/yuhka-uno/20121028/1351396564

これが成立するのと同じぐらい・・・、もしくはこの半分ぐらいに「『ラブロマ』の主人公のホシノ君はアスペルガー症候群で・・・」は成立すると思うんだけどなあ。
そのへんは実際に読んでみてください。
まあ、落語とかだって与太郎だなんだのボケに対しても、そういうアレは成立すると思うんだけどね。フィクションに対しての話だから、結論は出しようもない。
ある意味「シャーロキアン的考察」とも言えば言えるか。

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