先日、ブックオフで
「国会王子」の愛称で親しまれるTBSラジオの名物政治記者が、福田総理辞任から鳩山民主党内閣誕生までの政局の裏側に迫る! 民主党幹事長・小沢一郎の独占インタビューを掲載。
- 作者: 武田一顯
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/11/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容
二〇〇八年九月一日、福田総理の突然の辞任発表から麻生総理の誕生、西松建設違法献金事件、小沢民主党代表の辞任、そして、衆院選での民主党圧勝を経て、鳩山内閣が誕生するまでの四〇〇日を、TBSラジオの名物政治記者がレポートしたドキュメント。
という本を購入しました。もちろん、というのもなんですが、105円。
購入したのは、著者の肩書きに「TBSラジオ国会担当記者」とあったからです。
プロフィール欄を見ると<「国会王子」の愛称でも親しまれる>とあり、「小島慶子のキラ☆キラ!」のあとに「デイキャッチ」があると、時々解説していた人か…と分かった。ただ、ラジオ解説自体はいつも聞いていて、新鮮な視点とかがあるわけでもなく、印象に残る人でもない。これは彼のせいなのか、国会のせいなのかはよく分からない。
ただ、ラジオ記者が当時、どんな視点だったのか…というのを見たら、一寸面白い記述があったので紹介したい。
2008年11月28日の、麻生太郎首相と、当時の小沢一郎民主党代表の党首討論を、武田記者はこの部分の引用から始める。(59P)
小沢「(略)…初心にかえり衆院を解散し、主権者の審判を仰ぐこと。審判を受け、リーダーシップを発揮するのが民主主義。第二次補正予算案を来年に送るのなら、ただちに解散し、12月に十分に選挙が出来る。解散・総選挙を断行し、国民の支持を得られたらどうか。」
(略)
小沢「二年半で3人も責任者が替わり、選挙もしないのはあまり聞いたことがない。選挙で支持を得るほうが総理もやりやすいでしょう。強力な内閣ができるのだから。国民の支持を背景にしなければ、政策の実行はできないと申し上げている。」
・・・えーみなさん、ツッコミちょっと待っててね。
これが国会のやり取り。結局、このとき解散をすると麻生のほうは言わなかった。
このやり取りについて、武田記者の論評はこうなります。
どうも麻生は、民主主義の位置づけがよくわかっていないようだ。衆議院の解散よりも経済対策が重要だと繰り返しているが、突き詰めるとこれは「民主主義と資本主義のどちらを優先すべきか」という問題に行き着くのではなかろうか。どちらを優先すべきか、答えは簡単だ。日本国憲法は、国民主権は謳っているが、資本主義や市場経済は謳っていない。(略)…したがって、経済対策などという瑣末な問題(あえて”瑣末”と言おう)よりも、国民が選んでもいない内閣総理大臣が何代も続くことのほうがはるかに問題は大きいということなのだ。(61P)
と「選挙を経ないで首相が替わること」それ自体を大問題であり憲政の常道から逸脱するものであるとする、ゼロ年代末期にはよく聞かれた主張に武田記者は全面的に賛同していたのであります(ちなみに今、まちでうわさの山口二郎教授も、当時はこの論者であった。私は首相交代=選挙で信を問い直すべきという主張を、そもそも彼の論説で知ったのでよく覚えている)。
あれ…涙が。
まさかなあ…2012年現在で、民主党政権下で、こんな首相交代がなあ…執筆していた武田記者に、タイムマシンで教えることが出来たらなあ…。
ちなみに、同書には、小沢一郎と討論について、こんな記述もある。
…文字を写しても、信じてくれそうも無いので、写真も撮るわ。
もし仮に小沢が党首討論を怖がっているとすれば、それは自分が負けるのが怖いのではなく、相手を完膚なきまでに叩きのめしてしまうことが怖いのだろう。理詰めで物事を考える政治かな理屈で相手を攻め打ち負かしてしまうことを、日本人は嫌がる風潮がある。
ちなみに、この章のタイトルは「初の党首討論―小沢のワンサイドゲーム」。
全討論に興味のある人は
平成20年11月28日 に日付を絞って
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_srch.cgi?SESSION=12788&MODE=2
001 170 両院 国家基本政策委員会合同審査会 1号 平成20年11月28日
の検索をドーゾ。
そしてもし、このかたやぶり記者・武田一顯氏に興味を持たれたかたがいれば…、ラジオ機器かネットラジオ「ラジコ」(http://radiko.jp/)で国会開会中のTBSラジオにチャンネルを合わせられよ。
そこには、
「首相が交代したのだから、即時解散が当然!」と鳩山首相退陣以来、ずっと主張し続けてきた(…筈だ)、ひとりの男がいる。たぶん。