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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

格闘技史研究でも話題の「翻訳blog」作者がホームズ本出版。その他新作ドラマや俺的研究など

(※その後、使い勝手をよくするために自分の考察論文は分離しました)


ホームズに関するエントリーを書く、となるとなんかやっぱり気が引き締まるというか、特別な思いがあるな。
とはいってもメインはまるまる紹介の一本だが。
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-1083.html

シャーロック・ホームズの愉しみ方

シャーロック・ホームズの愉しみ方 (平凡社新書)

シャーロック・ホームズの愉しみ方 (平凡社新書)

ホームズものには誤訳が多い? エリオットのホームズ評から、夏目漱石チャールズ皇太子へと話が飛ぶ異色のホームズ本、日英比較文化論。シャーロキアンは必読の一冊!
登録情報

新書: 272ページ
出版社: 平凡社 (2011/9/16)
ISBN-10: 4582856055 ISBN-13: 978-4582856057
発売日: 2011/9/16
はじめに
序章 名探偵登場

第1章 ホームズは実在の人物だった?
1 シャーロック・ホームズ小伝 2 シャーロック・ホームズ文献の研究
3 ドクター・ワトソンの洗礼名 4 ワトソンは女だった 
第2章 意外な愛読者たち
1 T・S・エリオットのホームズ論 2 マクルーハン、ホームズを語る 3 「ホームズさん、巨大な犬の足跡だったのです」 4 シャーロック・ホームズの茶気
第3章 ホームズ、漱石嘉納治五郎
1 シャーロック・ホームズ柔術 2 バリツの起源 3 嘉納治五郎シャーロック・ホームズ
第4章 皇太子、チャーチル、ホームズ
1 プロの美人たち 2 モリアーティ教授の職業

むすびにかえて
あとがき 主要参考文献

元となった「翻訳blog」はホームズに加え、19世紀の英国史、格闘技史、軍事史高島俊男と俺のためにあるようなラインナップだが(笑)
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/
少々残念なことに、利用されている「ココログ」はタグ経由でジャンルごとに読む機能があまり十分でなく、また作者も「Aについて その1」を書いた後、別の話題をしばらく書いてからその後「その2」…と飛び飛びで記事を執筆する傾向があるのでまとめて読むには、この新書の購入が適しているだとう(それを狙った深謀遠慮かもしれない(笑))。


総合格闘技・プロレス関係者的には、植村昌夫氏(※ブログ内のHNは「三十郎」)は
「英国・欧州伝統の、、サブミッションの技術を保持した”キャッチレスリング”なんて存在しない。キャッチとは現在のフリースタイルの別名であり、関節技はスモール・谷らの柔道家柔術家が英国で大活躍して、そのインパクトでレスラーたちが導入したのだ」
という一連の論文でセンセーションを巻き起こした人物として知られているだろう。同blog内で読める。
プロレス者の中では「キャッチレスリングの伝統」は長年、不動の事実だったのだが(笑)現在は少なくとも両論併記されるところが増えている。


最近で言えばレスリング史・柔道史も研究している柳澤健氏は、ほぼ同じ結論に達したことを8月のトークショーで明言していた。
その論争がこの新書で詳しく載っているかというとスペース的に難しいだろうが、その片鱗のようなことは書いてあるかも知れない。


その他、100年以上、もっとも多くの日本人が日本語訳も原著も読んだはずの作品なのに、「こことここに誤訳がある」という驚きの指摘もしている。私はブログで読んだけど、そのへんもお楽しみに。

椎名高志も絶賛の「現代版ホームズ」ドラマ

http://cnanews.asablo.jp/blog/2011/08/30/6080888

シャーロッキアンとただのファンとの境界線はどこだろう


 NHKで放送したBBC制作『シャーロック』に激ハマリ。シャーロック・ホームズの物語を現代に置き換えたドラマで、「そんな無茶な」と思ってたらこれがもー素敵。

 驚いたことにキャラクター像はほぼ原作のまま。ワトソン博士は国連軍に参加してアフガニスタンで負傷した元軍医で、ホームズとは友人の紹介で病院の法医学研究室で出会う。ホームズの第一声は「アフガニスタン? イラク?」
 現代のホームズはインターネットやモバイルを駆使しますが、ワトソンに送るメールの内容が原作の電報文そのままだったり、「僕は自分の頭のハードディスクに余計な情報は入れない」とうそぶいたり、喫煙への風当たりが強いので思索の際にはパイプの代わりにニコチンパッチを使ったり。 女性嫌いのホームズがルームシェアするということで彼の知り合いに片っ端から恋人扱いされて閉口するワトソンとか、その負傷が実は肩なのにPTSDのせいで足が麻痺しているとか、ベイカー街221Bが作りは原作そのまんまだけど場所は今のロンドンのベイカー街を意識して都心部だったりとか、原作ファンがニヤニヤする描写の連続。

「ワトソンはただの狂言回し・引き立て役ではなく、その暖かい人柄がホームズにとっての救いになっている」というのが最近の解釈なのですが、それに加えて「ワトソンの心の中にも闇がある。ホームズと一緒に犯罪に惹かれ、戦うことで自分の闇と戦っている」「そのワトソンといることでホームズもまた闇にとらわれずにいられる」というところまで踏み込んでいるシナリオはマジ素晴らしいと感服……(後略)

椎名氏の紹介文も素晴らしいので、途中を削ったり要約できない。泣く泣く<後略>した部分もぜひ読んでほしい。

しかしうーむ、NHKでそんなの放送したの?気づかなかったぜ。
BSプレミアムで、8月下旬にやったのだという。
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/sherlock/
再放送しやがれ。今スグ!! 地上波でやるべきだろう。



ちなみに椎名氏は以前から「自分はシャーロキアンではない。それほど熱狂的なわけではない」とツンデレな発言をしているが、もちろんそんなことはない(笑)。
GS美神」のキャラクターである不死のマッドサイエンティスト、ドクターカオス&その最高傑作・人造人間マリアや吸血鬼ピートが太古の昔から生き続けている…という設定を生かし、19世紀のホームズ&ワトソンと交わらせた2つの短編は「こんなにマニアックなホームズ設定(小ネタ)盛り込んでいいの?」と心配にさせつつ(笑)、実に王道なアクションや、ホームズの論理的思考も盛り込んで、そのまま本当に外国ドラマにできるようなできばえだった。
雑誌に掲載された2005年にけっこう書いているね。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050527/p3
例えば危険な生物である吸血鬼を大胆に捕獲した悪党に「私はインドで虎狩りをやっていたものでね」(つまり「虎狩りモラン」大佐!)と言わせるとか、最後に魔力で怪我の治療を受けたワトソン医師が「戦争の古傷があったんだが、肩だったか足だったか、分からなくなった」と感心する台詞を言わせている。
下のほうは「正典ホームズ」で作者コナン。・ドイルがうっかりテキトーに設定したため、暇な・・いや熱心なシャーロキアンがいまだに論争を継続している、「ワトソンの古傷の謎」というやつである。

日本の「ホームズ登場」漫画は結構読んでいると思うのだが、その中でも上位にためらわず推すことができる。
そんなに新作ホームズにハマッたのなら、もう一本ぐらい書いてくれないかなー。


俺は「乙嫁語り」に出てくるヘタレ(を装った)英国人学者は、ホームズの変装だと思うよっ。

そのへんの、羊を追って暮らす無知な蛮族どもはだませても、わたしの目はごまかせませんよホームズさん。そろそろ腹ぁ割って話しましょうや。このユーラシアの心臓部に潜入した、あなたの真の目的はいったい何か・・・もね。


さて、次のエントリーで以前に書いた論文をブログにUPする。

( http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110911/p3 へ続く)