昨日のコメント欄のやり取りを受けて(参照のこと)、こんなエントリをこしらえることにした。
http://mainichi.jp/select/science/news/20080711ddm002040095000c.html
インフルエンザ治療薬「タミフル」(一般名リン酸オセルタミビル)について、厚生労働省・安全対策調査会の作業部会(鴨下重彦座長)が10日開かれ、服用と異常行動との因果関係を示唆する調査結果は得られなかった、との結論をまとめた。同省は近く安全対策調査会を開き、現在実施している10代のタミフル使用中止についての対応などを審議する。
部会では、異常行動についての疫学調査結果などが報告された。07〜08年シーズンの重度の異常行動は77件。うちタミフル服用は24件(31%)、服用なしは50件(65%)、不明3件だった。また、10代の使用を中止しても、異常行動の発生率に変化がなかったことから、「タミフルの使用中止によって異常行動が減ったわけではない」との見解を示した。
同省によると、タミフルの副作用で異常行動を起こしたと報告された事例は、01年2月の販売開始から今年3月31日までに計313人で、昨年10月以降から31人増加した。【下桐実雅子、大場あい】
俺がこれを論じて間違いをするかというと、その心配はなさそうだ。なぜなら間違うところに行き着く前に、分からないとさじを投げるからだ(笑)。
まあ、でも知恵を振り絞って考えると、タミフルがややっこしいのは
■タミフルを飲んだ人に「異常行動」が見られると。
■しかし、タミフルを飲む原因となる「インフルエンザ」もそれ単独で、異常行動を引き起こすと。
■そうすると、異常行動というのはタミフルをのんだせいなのか、元のインフルエンザかを調べるのがやっかい。
■調べるには疫学的に「インフルエンザでタミフル飲んだ人」「インフルエンザでタミフル飲まなかった人」を調べたり「タミフルを使用中止にしたら減ったのか」を調べるしかない
・・・・のかな?
このへんでややっこしいのは、一月の時点でタミフル関連ではこんな話題があったのココロよ。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20080117#p1
まとめると、厚生労働省(先月発表)「タミフル服用で異常行動はむしろ減った」。浜六郎「その解析は誤り。正しく解析すればタミフル服用群で異常行動は多い」。厚生労働省の解析のどこが間違っているかというと、「タミフルを投薬された患者が服用前に起こした異常行動を、投薬されなかった患者の異常行動として扱った点が誤りだ」
これはどういうことかというと、同ブログから孫引きで説明すると
タミフル非処方群の異常言動発症例は、タミフル服用という行為はないから、その前後の区別はなく、早期発症例も、遅くに発症する異常言動も区別なく含まれている。したがって、非処方群のそうした状態と同じ条件のタミフル処方群の異常言動発症者を選ぶなら、タミフル服用前の異常言動発症者も入れて比較しなければ適切な比較にならない。割合の倍率は縮まるが、タミフルの影響を過小評価するだけで、過大評価することにはならない。
どうしてもタミフル服用前の早期発症例をタミフル処方群から除きたいなら、タミフル非処方群からも早期発症例を除かなければならない・・・(後略)
5回ぐらい読むと、なんとなく、分かった雰囲気が漂う。
「米兵の犯罪率は低い」…を検証する際に何が必要か
http://www.afpbb.com/article/politics/2418539/3131553
【7月16日 AFP】エドワード・ライス(Edward Rice)在日米軍司令官は15日、記者会見し、在日米兵による犯罪率は日本の犯罪率の半分以下にすることを目指すと述べ、米軍に対する「誤解」があることを残念に思うと述べた。
ライス司令官は米軍兵による一連の犯罪を受けた米軍の措置により犯罪が阻止された具体的な例は挙げなかったものの、効果を発揮していることを米軍は「完全に確信」していると述べた。
基地外での米兵による犯罪率は日本の犯罪率の「約半分」だと指摘。日本の犯罪率が低いことを考慮すれば、「一般市民の50%以下の確率にとどまっているということは、われわれの行動に効果があったことを強く示している」と述べた。
ライスって名前は覚えていたが、国務長官じゃないのね(笑)。でも、在日米軍のトップもアフリカ系にいつのまにかなっていたんだなあ。
履歴はこんな感じだが、センシティブな話ということもあり公式に「アフリカ系で初」なとは書いていない・・・
http://www.usfj.mil/bios/Gen%20Rice%20revised(Japanese).pdf
あ、こっちにはあった。やっぱり初めてだった。
http://www.aviationnews.jp/2008/02/5_0424.html
アフガンでは「不朽の自由作戦」を指揮、異教徒どもに爆弾の雨を降らせやがったらしい。
まあライス司令伝はこのへんにして、上の発言を考えよう。
というか皆さんも考えてください。頭の体操クイズです。
「基地外での米兵による犯罪率は日本の犯罪率の「約半分」だと指摘。日本の犯罪率が低いことを考慮すれば、「一般市民の50%以下の確率にとどまっているということは、われわれの行動に効果があったことを強く示している」と述べた」
これに対して
「XXXという部分を考慮しないで単純比較していいんか?」と突っ込んでください
わたしがぱっと思いついたところでは
「みんな軍人として定職を持っているんだから、失業者などを含む日本全体の犯罪率と比較するな。同年代、同収入のある日本人を抽出して比べろ」
「逮捕して発覚したものじゃないのか?逮捕権のないのを利用したり軍人同士でもたれあって隠した罪は無いのか?」
このふたつはやや牽強付会の気もするが、これはあると思う。↓
「基地の外の犯罪、って米兵の生活は一週間の●●割は基地の中で暮らしているんだろ。基地内の束縛時間が長ければ、そりゃ物理的に基地外の犯罪率は少なくなるだろうさ」
あとは
「 地球上で最下等の生命体で、両生動物のクソをかき集めた値打ちしかないおフェラ豚どもが、じじいのファックより気合の入らない 梅毒野郎になりさがったから犯罪もできなくなったってわけだ、分かったかクソ虫ども!」
そういうわけで「博士も知らないニッポンのウラ」でぜひ
統計の数字や結果を見せて、『実はこれにはトリックがあるんですよーー。なんでしょう?』というのは、まあちょっとした知的エンターテインメントにしやすいわけです。
そういう点で、ぜひに要望したいのは、その種の古典(書店に行ったら、この本の奥付を見て、何版まで行っているか調べて御覧なさい)である
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
- 作者: 谷岡一郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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の作者、谷岡一郎氏を「博士も知らないニッポンのウラ」に呼んでほしいと。なんかリアリティのある要望でしょう。
宮崎哲弥氏もよくこの本を紹介し、著者を評価しているのは確実だし、本人も西原理恵子漫画に一キャラとして出てきたり、この統計の話を元に「ギャンブル学」を提唱するなどの奇人学者なので、けっこうあの場に登場したら面白いはず。