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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

個性か病気か選択か。「新型うつ」「マインドコントロール」「ギャンブル依存症」…etc(前編)

【文系の分野だと思ったら理系の分野だよシリーズ】
本当はいろいろと文章や例の提示に工夫をした、完成品として出したかったテーマだが、昨日、NHKスペシャルで「新型うつ」の特集をやっていたので、それを契機にtwitterでつぶやき、他の方とやりとりしたものをまとめようと思う。かなり「下ごしらえ」は脳内でしていたので、未完成でもそれなりの考察ができているとは思う。
twitterが140字のため無理に詰めたものを補足したり、2ツイートをまとめたりしている。
 

まずNHKスペシャル

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0429/index.html

職場を襲う "新型うつ"
(略)…最近、大きな注目を集めているのが「現代型うつ」とも呼ばれる、新しいタイプのうつだ。現代型うつは、若者に多いとされ、従来型のうつ病と同様、不眠や気分の落ち込みなどの症状を呈する一方、常にうつ症状に陥っているわけではないのが特徴だ。職場を離れると気分が回復し、趣味や旅行など好きなことには活動的になり、うつになった原因は自分ではなく、職場など他人にあると考える自己中心的な性格がよく見られるという。さらに現代型うつは一見、“怠け”や性格の問題と捉えられることも多く、従来の抗うつ薬が効きにくいとされ、対応が難しいのが現状だ・・・(略)。

自分のツイート、他の方のツイート

地震があったのでNHKをつけたら「新型うつは病気かどうか」の番組やってる。ああ、これ興味あるわ。/でもこの前、NHKスペシャルで「うつかどうかは、脳の様子をCTかなんかで見ればすぐわかる」みたいな番組やってなかったかな??
posted at 21:20:09

現代型うつって、最近「増えた」のか、最近「見つかるようになった」のか。 #NHK
posted at 21:23:42
 
ひところうつ病は「心の風邪」であると。そのココロは”環境や性格や人間関係に「関係なく」かかる”のである・・・というふうに言われていた気がするが。自分はそういう言説が大流行していた時代の人間なので、そういう基本的な認識でうつ病をとらえちゃうな。 #NHK
posted at 21:29:34

(別の方のツイート)
尾木ママ「若者にこんなのわんさかいる」斉藤環「症状はうつ病と同じ、新型うつは生き方と症状の区別がつきにくい」 #NHK

RTした「生き方と症状の区別がつきにくい」で一言。例えば漫画話だが
天才柳沢教授の生活」、
ラブロマ」、
モーニングの新連載「犬神もっこす
鉄子の旅」(こりゃ実話か)
…などは”空気を読まないマイペース”人間と周囲のズレが読みどころだが…漫画に言うのも無意味だが、彼らが「アスペルガー症候群」なら?(※そういう部分だけがこの病気ではなく、またこういう症状が必ず出るとは限らない点は承知していますが)
彼らが巻き起こす珍妙な騒動や、周囲とのズレが産む笑いや驚き、時には感動は「個性なら笑いや敬服の対象だが、病気なら違う」のか「病気でも個性でも、結果としては変わらない」のか。そもそも社会生活を遅れるなら病気でもなんでもないのか。ニーチェとかはよく分からんが、そういう哲学的な話になるのかな。

(別の方のツイート)final solution‏@MINORU1983
@gryphonjapan 社会がそれを「治療すべき逸脱、疾患」と見なせばそれは疾患なのです。

まあそうでしょうけど、例えば社会が
「病気ではない、それは悪いことではないんだ」
と認定すればめでたしENDですが、今度は社会が
「病気ではない、『お前の個性と責任が起こした悪』だ」
と認定したら。
ギャンブル魔を「君は賭博依存症です」か「君は意思が弱いんだ」と、どちらにするか @MINORU1983

(別の方のツイート)final solution‏@MINORU1983返信
責任の所在がどこにあるかは問わず、困っているやつは助けるって社会モデルを採用するならいらない議論なんですけどね。

ただ、「助ける」にしても、「この人は病気でギャンブルせずにはいられない」との認定と「この人は責任能力も判断能力もある大人だが、自分の意思でギャンブルしまくる」認定では周囲の”助け”られる範囲が全然変化しますよね。あ、脱マインドコントロール論もこれに類似してるな。
私はよく「医学的判断が人権論や自由論、民主的手続き論より上に立つ矛盾」という考えや実例を、ブログ記事のテーマにしていますけど、
「貴兄の賭博狂いはギャンブル依存症だから要治療」
「貴兄は今カルトにマインドコントールされてるから、脱マインドコントールをします」
というのもその範疇か。
数日前、マインドコントロール論の専門家・西田先生@nishidak0705とやりとりしたけど、 西田氏ならこの
ある人間の賭博狂いに関する『ギャンブル依存症』←→『いい大人が自分の判断でギャンブルにはまってる』の違い」ってどう区分けするのかな。それと「マインドコントールの有無」についての判定基準は似ているのか、違うのか。

(別の方のツイート)final solution‏@MINORU1983返信
愚行権をどこまで認めるかって議論ですかね。

権利もそうだし、やっぱりその前に「病気」と「正常」の間をどう判断するのかという問題が。新型うつだって、病気であるならどこまでも病気だし、病気じゃないのなら「やる気なし」「怠けてる」になっちゃうし。この二分法しか、いまはどうしようもないような。

もひとつ漫画からの例示でアレですが(笑)、「げんしけん二代目」から。
女装する男子部員が、大学の女子トイレを着替え場所として当初使っていますが、仲間は「それは犯罪ダヨ会議」を開催し糾弾(笑)。
でも男性だが心は女性の人は確実におり、女性トイレを使うのは罪ではない(※判例あり・・・だったと思うが探した限りでは見つかりませんでした)。
性同一性障害の方が生物学的な性とは違うトイレを使うのと、「女装が<趣味>なんです」という人が女子トイレを使うのには明確な差異があると。「病気/個性」差の一例

(別の方のツイート)final solution‏@MINORU1983返信
個人的に逸脱者に非難を浴びせるのは無意味だとは思うんですよ。病気であろうがなかろうが逸脱者の再適応を促す社会システムの改善が重要であって。 もちろん世間の関心は「本人の所為なのかどうか」というところにあるんでしょうが

「病気か個性(自分の判断)か」は道徳的な非難の有無とも直結すると思いますが、社会が再適応を促すときの「強制度」の発揮の範囲のほうに、より重要な問題になってくると思います。

(別の方のツイート)final solution‏@MINORU1983
どこまで強制的な介入が許されるかというのは「本人だけが困る」のか「社会や他人も困る」のかが大きいと思います。サリンをまなかいオウムなら、好きなだけ信仰してもらっても言い訳ですし。

うむ統一協会オセロ中島ギャンブル依存症・・・その他もろもろ、そうやって区切るしかないかもですね 

上のツイートに出てきた西田公昭氏とのやりとりもまとめたいがなあ。時間が要る。

文章と引用コマを見比べてみると…。

ウィキペディアの「アスペルガー症候群」より

自閉症の人(NT:neurotypical, 典型的な精神の人)は、他者の仕草や雰囲気から多くの情報を集め、相手の感情や認知の状態を読み取ることができる。この能力が自閉症の人には欠けており、他者の心を読むことが難しい(心の理論の欠如)。そのような、仕草や状況、雰囲気から気持ちを読み取れない人は、他人が微笑むようすを見ることはできても、その微笑みがなにを意味しているかが理解できない。多くの場合、彼等にとって「行間を読む」ことは、困難ないし不可能である。(略)つまり、人が口に出して言葉で言わなければ、意図していることが何かを理解できない

   

症候群という表現は、アスペルガーの人は障害者(異常)で、その他の者は定型発達者(正常)というように感じる。しかし、特徴の見かたを変えると、客観的で、事実を正確に理解して表現することに長けているともいえる。以下に挙げられている「言葉を額面どおりに受け取る」や「些細なことにこだわる」という特徴も「厳正に規則を守る」と言い換えることができる。例えば、パソコンのように順序だったものや規則的なものに興味を持てば、才能を開花させることも可能である。また、「行間を読むことが苦手」というのは、行間を読まないコミュニケーション方法ということである。それは「行間を読むコミュニケーション(アスペルガー以外の多数派)」に対しての「少数派の方法」という関係である。

(※引用コマの中には、実在人物もいるが、その人が同症候群であるということではない。上のツイート文中にあるように、架空人物も含めた「もし〜なら、彼らへの言動の受け取り方や評価は変わるのか?」という仮定の問題とみなしてほしい)

いくら「真面目な女装家(へんな表現だが)」でも、女子トイレを使用したら犯罪?(げんしけん二代目)…では性同一性障害なら・・・


げんしけん 二代目の壱(10) (アフタヌーンKC)

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その一方で

中年の男性が、下着をかばんの中に持っているのを職務質問で発見され、逮捕拘留されるが、自分が女装するためのものであることが分かり無罪となる(その一方で、妻とのかつての関係が戻ることはなかった…)
この場合、無罪になるのは当然としても「中年男性のくせに女性の下着を持っているのは怪しい、犯罪に関係あるのではないか」といったん逮捕した警察の行動が間違っているかというと・・・これもやむをえない、のではないか。(ここでああそうですか、とはいくまいと、マイノリティとマジョリティの常識は、どこかでえいやっと折り合いをつけるべきなんだろうな。

弁護士のくず 5 (ビッグコミックス)

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<たぶんこのテーマは「前編」となります。いつか、この続編を書くことになるでしょう。>

追記

ここにリンクを張ります。

■不確かな診断の弊害。ADHDと慢性ライム病を例に。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20130618#p1


「医療化」って問題があります。ぶっちゃけ単純に言いますと、医療化とは、必ずしも医療を必要としない状態を病気にしたてあげて治療の対象にしちゃうってことです。医学だけをやってるとあまり医療化の問題になかなか気付かないんですが、幸いなことに私は・・・(略)