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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

靖国問題とゲーム理論(毎日新聞「発信箱」)

この前http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051012#p3および、その下のコメント欄でよく分からないながらも手探りで「ゲーム理論」について書いた。

とくに下コメント欄では「酔っ払ったふりをするとチキンゲームには有利になるか」という部分にもうろ覚えで触れたが、こういう話(「シェリング理論」という)らしい。


http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/news/20051021ddm002070012000c.html

発信箱:靖国ゲーム理論=潮田道夫
 今年のノーベル経済学賞は「ゲーム理論」の研究者2人に贈られた。相手の出方に応じてどう行動するのが一番利益になるか。それを考える学問である。

 受賞したシェリング博士によれば、この理論は子育てや近所付き合いにも応用できるそうだが、博士は核戦争の抑止に貢献した。

 核攻撃に対していろいろな対応がありうるが、必ず核による報復攻撃を行うことにする。ほかの選択肢は捨て、自らの手足を縛る。それが核戦争の抑止に有効であることを証明した。


 ゲーム理論の解説本をめくると、どれにもチキンゲームが載っている。車で正面衝突コースを走るゲーム。先にハンドルを切って衝突を避けたほうがチキン(臆病(おくびょう)者)となって負け。小泉純一郎首相の靖国参拝をチキンゲーム同然だと批判する声が絶えない。

 チキンゲームには必勝法がある。車を走らせながら、ハンドルをはずし相手に見えるよう窓外に投げ捨ててしまうのだ。衝突を避けるため相手は必ず譲歩する。自分の手足を縛るシェリング理論の応用だ。


 小泉首相はこれを知っていた節がある。毎年8月15日に参拝すると公約して、自らの退路を断った。これでハンドルを切るのは中国のはずだったが、小泉首相は参拝の日付を変えてしまった。首相のほうが、コース変更した。チキンゲームに負けたのだ。

 と言ってはみたが、ゲーム理論でこの問題を解くのは無理だ。ゲーム理論はプレーヤーが合理的なのが前提だが、あの人たちが合理的人間なのかどうか、私は怪しんでいるのだ。(論説室)

毎日新聞 2005年10月21日 東京朝刊