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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

PCvs人間(SADAME)プレイバック・・・1997年5月22日読売新聞

将棋プロ棋士vsPCソフトに関連して。
自分は昔から格別の興味を持っていたらしく、スクラップブックにチェスの人間vsPCで、後者が歴史的な勝利を挙げた「シュー・カスパロフvsDEEP BLUE」時の記事を保存していた。

東京農工大教授で、コンピュータ将棋協会(あるんだね、そんなの)小谷善行氏が書いている。

コンピュータチェスで人に勝つというのは、エベレスト登頂や月着陸のようなものである。それが50年の歴史を経てようやく到達したので感慨が深いのだ。そしてそれは50年以上のたくさんの人々のかかわりのなかで到達したものpなので、逆に「人間の偉大な勝利」と感じられたのである


さて、肝心な部分。8年前、協会長が語っていた予想は・・・

さて日本はと見ると、コンピュータ将棋はチェスほど盛んではなかった。日本はコンピューター科学に大きい貢献をした国の一つであるが、日本の研究者はまじめすぎるのか70年代まではほとんどコンピュータ将棋は研究されていない。80年ころから趣味的にいくつかのコンピューター将棋が作られてきた。10年と少し前ニわれわれはコンピュータ将棋協会というものをつくり7年ほど前からコンピュータ将棋選手権を開催してきた。(略)
ただ残念ながら、まだコンピュータ将棋は弱い。現在最もつよいものでアマチュアの二段から三段くらいであろう。(略)
将棋は取った駒を打つことが出来る。そのため可能な手の数は平均で100ぐらいになる。そうなると先読みの枝分かれがどんどん多くなり、計算が非常に困難になる。しかし新しいアイデアや技術が次々開発されているのも事実である。
では、コンピュータ将棋が人間に勝つことはできるのだろうか。(略)
楽観派は2010年ごろといっている。
悲観派は2050年とか永久にだめだと言っている。
わたしは生きている間に結果を見たいので、楽観派に属している。

引用者申す。
ちょっと気になるのが「日本の科学者はまじめなのか、コンピューター将棋に興味を持たなかった」というのが事実だとして、それは正しい態度だったのかどうかだ。
コンピューター将棋がなんの生産性もない、ただのお遊びだとしたら(それでも個人的にはやってほしいと思うけど)、たしかにそうかもしれない。
でも、ちょっと仄聞した話では「将棋ソフト研究は広くアルゴリズム、AIの研究に役立つもので、応用的にも大きな意味を持つ」という説があったのだ。
真偽は不明でこれ以上は言わないが、ロボット犬AIBOや二本足で歩くアシモも、結局のところいま現在では無駄な技術っぽい(笑)。ようは、こういうやくたいもない研究というのをどっかで飼い殺し・・・いや殺しちゃいけねえ、放置というか推進するでもない禁止するでもないという絶妙な条件で、「培養」する余地を、理系アカデミズムというか、ゆにばーしてぃと名乗るところは残しておいてほしいなと。

ちなみに小谷教授は「多くの人が努力する対象であるような科学技術については、長い目で見れば一定の速度で進歩する。そうするとこれを直線に当てはめることが出来る」とも書いている。
そうすると、アントニオ猪木の永久電池もそろそろ(略)。


あとですね、このへんの攻防史を手際よくまとめた新書などはないですかね?
無ければどこかが出版してくれ。



関連

ドクター中松が「イグ・ノーベル賞」受賞

ドクター中松は一部、あまり笑えないような発明といううか言動も多いし、個人的にはイグ賞も、内容はいかにばかばかしくても科学的手続き、手段、プロセスは厳密であってほしいという気もするのだが、まあ受賞にいたったのはそれなりの「功績」のなせる業だろう。おめでとうございます。


http://www.asahi.com/national/update/1017/TKY200510170329.html

http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20051011204.html

しかし、おいおい

・・・今年は、イグ・ノーベル賞の歴史に残る変化が起きた。過去10年にわたってイグ・ノーベル賞授賞式に参加し、サンダーズ・シアターの舞台に飛来する紙飛行機を掃除してきたハーバード大学物理学部のロイ・グラウバー教授が10月4日(現地時間)に2005年のノーベル物理学賞を受賞したのだ。

 そう、本当のノーベル賞だ――イグ・ノーベル賞ではない。

 グラウバー教授は今年、当然ながら他の用事が重なってしまったため、恒例だったサンダーズ・シアターの舞台の掃除はできなかった。・・・

つうか、そんな奴が毎年参加してたのかよ・・・(笑)。


この種の、科学者や科学的言動というのが一歩間違うとコメディになるというのが、最近の痛快微生物学漫画(なんだそりゃ)

もやしもん(1) (イブニングKC)

もやしもん(1) (イブニングKC)

の人気でもあると思う。


かもすぞ