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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

話題沸騰「伊集院光のM-1論」はTVerで無料配信中/日本お笑いの「メタネタ」ってこの話と関連してない?(再論)

人気芸人 M-1は「滅びるよ」将来を危惧「どんどん鋭角になってく」審査員の構成に疑問「興味がなくなっている」

1/1(水) 17:40配信


 タレントの伊集院光が…(略)「M-1の審査員っていつから、こんなに漫才の人だらけになったの?」と疑問。初期の審査員は、劇作家の鴻上尚史氏、落語家の立川談志さん、放送作家から東京都知事になった青島幸男さんなど、多彩だった。

 伊集院は「M-1に出たことある人たちで、しかもM-1がちゃんとステップになった人たちが全員、審査員でいいの?すごい特殊じゃん。そういう文化って滅びない?見てる人も出てる人も、審査している人も、漫才通の人とかが『あそこ、もう1回天丼あってよかったよね』みたいな、『これは競技スタイルの漫才だから、早めにつかみの大きめの笑いを』みたいな。どんどん鋭角になっていく。滅びるよ」とマニアックな方向に行くことに心配を募らせた。

 伊集院は「(略)勝ち抜いた人たちが、勝ち抜いた経験からのことを、すごい通のファンが見て、みたいなのはあんまりいい傾向にないと思う」

news.yahoo.co.jp

まずははてブで話題沸騰なんだけど
[B! 芸能] 人気芸人 M-1は「滅びるよ」将来を危惧「どんどん鋭角になってく」審査員の構成に疑問「興味がなくなっている」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

さらにその前に「番組はTVerで無料配信中であり、元の発言を確認することができる」ということをお知らせしておくべきだろう。

あちこちオードリー

本音ノーカットトークSP
テレ東
12月31日(火)放送分

今回は伊集院光とパンサー向井を特設ラジオセットに招き70分ノーカットトーク!今年のグッときたニュース、今年中に決着をつけたいこと!若林がM-1審査員を受けた理由とは!? テレビ東京にて毎週水曜よる11時06分より放送中!
tver.jp

伊集院光M-1批判

そこで、自分的には…この前「あまり読まれなかった」記事を(笑)、この機会に再読してほしい……というのは自分で、この話と繋がるような気もするし、これは別の話のような気もするし…それがわかんないので、判断してほしい、という意味も兼ねている。
M-1の前に書いた記事です。趣旨自体はその前にも書いたことあるけれども。

【質問】日本のお笑いって『笑いの構造』それ自体を語る「メタネタ」多いよね?/それを評価しますか?/何が起源?/外国では?


まずどこから語ろうか…と思ったが、2年前、やはり「M-1」開催日に書いた記事がある。聞きたいことはまったく同じなので、お手数だが再掲載するので再び読んでほしい。

ついでに今回、明確に言明しておくけど、
自分自身はこの「お笑い自体をネタにしたメタネタの笑い」って、明確に大好きで、普通以上に笑っております。

【創作系譜論】芸人が『お笑い(のテク、芸)』自体をネタにし始めたのっていつ頃から?

※マクラ部分は省略


今年(2022年)のM-1グランプリは、そんなわけで「ウエストランド」が優勝した訳ですが…上記のような薄いファンにも、うわーすごいこと言ってんなー、と緊張感を走らせたのが、

ある/なしクイズの形式をとって


M-1とR-1の比較
・お笑いを「分析」する素人(この記事もだからそっくり該当するんだろうけどさ…(笑))
・お笑い芸人の中でメッセージ性を打ち出す人

……などを批評するようなネタです。


それぞれの出来とか、エグさはそれぞれすごいものがあったけど、その前の段階として、お笑いが「お笑い」そのものをネタにすること自体が、やっぱり面白いというか……
マンガの楽屋オチ、メタ的なギャグがやっぱり読者を一瞬「ギョッ」とさせる感覚があるように、お笑いのその種のメタな笑いも、業界事情なども含めてやっぱり視聴者、観客はぎょっとしつつ、大きく笑う。


これ、最近痛感して、「あとでこういう記事を書こう」と思ったのは…今回のM-1グランプリではなく、深夜の「さんまのお笑い向上委員会」を偶然見た時だったんだよね。
この番組はタイトル通り、そもそもそういうテーマ自体が番組の柱だから特殊なのかもだけど、「そもそも、それがテーマの番組がある」こと自体がすごい話だし、この記事の傍証になる。

その回では麒麟・川島氏が俎上にあがり、たしか「川嶋さんは司会が優しくて、若手の我々が甘やかされる」的な話だったかなあ。



そしてこれは、たぶん若い世代だと、もう前々からあるデフォルトの笑い…だと思うんだけど、なんかお笑いを薄ーく見てた自分の曖昧な記憶の中では、やっぱり80年代とか90年代に始まったような気がする……。
笑点大喜利は、そもそも笑いのネタを披露し、それを審査するという疑似コンクールの枠組みだから、喜久蔵のダジャレとかが微妙、というネタもあったけど、たとえば歌丸と楽太郎(当時)の抗争はあくまで抗争で、そのツッコミのタイミングがどうとか、ボケがどうこう、みたいな話って無かった気がするんだよね…。



もちろん天才、お笑い怪獣の明石家さんまがそこでものすごい貢献をしたのは間違いないところだと思う。
そして、どうかするとさんまが60分や90分スタジオや客席を笑いっぱなしにさせるような番組の中でも、ひときわ笑い声が大きいのが、その時の番組テーマそのものより「君のボケ、いまいち通じんわ!」「お前、いま流れ断ち切ったなー--」的な、ゲストやアシスタント芸人のお笑い自体を批評する箇所である……ということ結構あると思う。
というか、さんまが未だに第一人者として君臨してるのは、この「お笑いの芸、テクニックそのものをネタにするメタな楽屋落ち的笑い」に関して圧倒的に強いから…だと思う。延髄斬りや卍固めは綺麗に決まらなくても、チョークスリーパーが決め手になって延命できたアントニオ猪木的な(笑)


楽屋落ち的な話でいえば…
どう考えても、おそらくは自分以下のお笑い批評眼しかない佐高信氏が「お笑いは権力批判のはずなのに(そういう世代なんだよなぁ)、たけしは権力を批判しない!毒が無い」とかを語ってたのに対して、何年かあとに

「お笑い芸人が実際の現場で一番プレッシャーがかかるのは政治家や首相の悪口じゃなくて、スポンサーとかを茶化すこと。それを最初にやったのは自分だ」と語ったことがあった。
たぶんそうだろうな、と思う。

世界まる見え!テレビ特捜部」の番組宣伝スポット(前番組のあとに流れる)で、司会の楠田枝里子所ジョージが「このあと」「すぐ」と言ったら、たけしが「大木凡人の街かどテレビ」と他局の、いかにも泥臭いライブ番組の名前をいって他の司会二人も大爆笑…それがそのまま使われた、ってことがあった。

www.weblio.jp
番組予告
1990年7月から2004年3月までは前時間のアニメ(放送開始当初は『YAWARA!』、1996年1月以降は『名探偵コナン』)の終了直後に広告なしで5秒間の司会者3人が登場するPR画面(クロスプログラム)があった。この告知は、1990年代当時は楠田が「このあとは!」と言うと、たけしが「大木凡人の『街かどテレビ』」、「『きかんしゃトーマス』、『セーラームーン』」というように全く別の番組名を言っていたり(もちろん画面には正しい番組名が表示されている)、「世界まる見え」(これを言ったあと、楠田・所が「あらっ!、この後すぐ!」と言っていた。他にも、「世界まる出し てんこ盛り」や、「世界 中尾ミエ」と言ったバリエーションもある)


さらに考えれば
そもそも、ボケやツッコミという言葉の一般化、みたいなものとも関係してくると思うんですけどね。
こち亀49巻の段階において、「つっこみ」に傍点が入っていて、ジャンプ読者には一般的な言葉ではなかった一方で、いかにもお笑いの楽屋的なところでは語られそうな言葉であったことを示している……
(1987年初版)


このブログが参考になる、との情報をいただく。あっ、はてなブログ

notei.hatenablog.com





【創作系譜論】※準タグです。この言葉でブログ内を検索すると関連記事が読めます
…自分にわかるのはここまで。「疑問」を提示するので、皆様の体験的な記憶でも、資料でもいいので「お笑い番組で、芸人が『お笑い(のテク、芸)』自体をネタにし始めたのっていつ頃から?」という問いへのお答えがあるひとは。


以上のことへの興味が、2年経過してさらに強くなったのですよ。

たとえばいまTVerで配信中なわけだけど

ツッコミ芸人総会2024 大忘年会

ダウンタウン 浜田博多華丸・大吉 大吉かまいたち 濱家が開催した
ツッコミ芸人総会がパワーアップしてゴールデン帯に!

MCに千鳥 ノブが加わり、
浜田雅功の元に、大吉・ノブ・濱家が幹事となり、
ツッコミ芸人のみの総会を開催!
総勢27名の売れっ子ツッコミ芸人が集結!

豪華すぎる!
ツッコミ芸人による前代未聞のトーク番組です!

tver.jp

そもそも「ツッコミ」とか「ボケ」とかを、視聴者が普通に認識して番組名になっているのがおかしい。いや知ってるぐらいはまぁいいかもだけど、結局ボケもツッコミもバックステージにある(べき)ものでしょ?


なんちゅうかね……
本来的には「バラエティ番組」であるなら、舞台で演じて、フィクションであるという大前提のあるコントは別にしよう。

そうではない…たとえばフリートークでは、ボケが「○○」とボケて、ツッコミが「なにが○○じゃー、このアホ!」とやるのは、いちおう本当にボケさんが非常識なことをいい、ツッコミさんがその発言に呆れて怒って、そういう反応を示す……という建前じゃないですかね?
円楽と歌丸は本当に仲が悪いという建前じゃないでしょうか?ちがうか。
いやどうなんだろうな。


プロレスでも、実際のところ公に語っていいのは、「やつの必殺技ウルトラミラクルドロップは効いたよ!」であって「ウルトラミラクルドロップを受けるのは結構難しいんだ。相手の投げに合わせてこっちもうまくジャンプして空中で回転して、背中から派手に落っこちないといけない。俺はかなりうまいと自負してるけど、武道館の時はタイミングがちょっとだけ遅れて、あまり客に受けないような地味な落ち方になっちゃったよね」とかは、媒体を選ばなきゃ緊張感が走るだろ(笑)
そういうテーマで番組やってる……「プロレス向上委員会!どのタイミングでレフェリーは衝突に巻き込まれて自分もダメージを負うべきか?」とかをひな壇レスラーとレフェリーが語り合うようなもんだ、と。



さらにいうとまだプロ中のプロのお笑い番組なら、そのへんは目立たないんだけど・・・・・・今回、このことを再度語りたくなったのは、むしろ「ゴゴスマ」だな。特に古館伊知郎がゲストの回。


いや、たしかにおもしろいんだけどね、古館氏はかなりこの「トークそのものの構造をネタにする」というかバックステージの視点で語ることが多い。「いま、滑りましたね」とか「まずこちらに常識的な内容を語ってもらって、最後に私で落とそうという魂胆なんでしょうが……」と、この番組内での会話が、完全なフリートークでなく、ある種の意図や方向性をもって語られてますよね、というようなことを言うんだよ。



大御所・明石家さんまが若手芸人と語る時もしょっちゅう、「我々はこの話で客を笑わせようと、意図的にテクニックを使ってますよ」というそれ自体を語ること多いじゃないですか。「君、ワンテンポ遅れたで」とかさ……




タイトルに盛り込んだ問いでいうと、自分はそれを評価してるんだ、ゴゴスマはともかく(笑)。
実際、自分がすごく笑うのはこの種の、自分が「お笑い」をしていること、それ自体に言及するような楽屋話的なレトリックなのだもの。



だから、繰り返すが文句をいってるわけではない。
お笑いをさらに面白くしている(と俺は思う)、お笑いの構造、楽屋落ち的なことに言及し、それをテーマにするような話で、日本のお笑い界の中ではどんな風に生まれて定着したんだろう?
こういう笑いは…笑い、喜劇自体は世界中にあるが、こういうお笑いをメタ的に言及するような、そんなトークアメリカの、韓国の、イギリスの、中国の、ドイツの……コメディアン、喜劇役者はしているんだろうか?


世界中のお笑い(トークショーだって世界中にある)に詳しい人に、再度聞いてみたいものである。


M-1放送日に関して、再度問わせていただきました。だれに問うべきなのかわからないけれども。

www.m-1gp.com