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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

うなぎ完結編−−その脅威の生態!!

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051013#p2
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051014#p2
から続く。


ウナギの神秘を語るには、箇条書きが一番よかろう。

うまれ故郷

例えばヨーロッパ、アメリカのウナギの出身地は・・・サルガッソー海!!
もう、初っ端から完璧でしょ。
「グレート・カブキはシンガポール出身」
「グレート・アントニオはカナダの密林(←なんだよそれ)出身」
「フリッツ・フォン・エリックは元ナチス親衛隊で、復讐のためにアメリカに来た」
ハルク・ホーガンは・・・ロック・ミュージシャン出身である!(ギャーン)」

などなど、一流はその出身地から神秘に満ち満ちているもの!!
かつて世界中の荒くれ船乗りですら、その名を聞けば震えあがった死の海・サルガッソー海。海面を埋め尽くすばかりの藻に覆われた謎の海。大西洋のどまん中。(マグマは無い)

そこで「のみ」、大西洋のウナギは生まれるのだ。
少なくとも、他の場所での産卵は2005年現在、確認されていないという・・・・。


卵と幼生

↑を発見するために、名だたる世界のウナギ学者が、七つの海を駆け巡った。

1903年日露戦争の前年)、北欧各国の協同海洋調査が実施され、デンマークの調査船「トール号」に若き海洋学ヨハネス・シュミットが乗りこんだ。彼はその後、日本海海戦セルビアでのオーストリア皇太子暗殺、第一次世界大戦ベルサイユ条約・・・・などを経て、18年後の1924年、ついに幼生を発見する。
彼が万感の思いを込めて執筆したウナギの産卵、発生、成長に関する論文の知見は、現在の研究をもってしてもいまだ超えられていないという。
現在、サルガッソーに高感度ソナーや発信機などを利用しても、まだわからないのだ。


うなぎの必殺技

うなぎは、他の魚と比べても口は小さく、アゴも小さい。これでどうやって、獲物を食べられるかご存知か?なんと、一度獲物に噛み付くと、体をきりもみ上に旋回させ、その力を利用して肉を食いちぎる!!
ナチュラル・ヒストリー1995号に掲載された報告によると、確認された記録では1秒に14回転!ノゲイラが、これをヒントにスピニング・チョークを編み出したことは有名だ(嘘)
    

自然発生するウナギ?

アリストテレスは、ウナギがいかに生まれるかを考察した結果、「泥の中のミミズが発達して生まれる」との結論に達したそうである。イギリスでは、馬の尻尾が水におちるとウナギになると言われ、イタリアでは虫から生まれるとされてきた。
なぜ、こんなデタラメが・・・といいたくなるところだが、これはこれで「科学する精神」の産物である。というのは、後で述べる理由と、もうひとつは、ウナギは雄も雌も生殖器が非常に見つけにくく、産卵や幼生に関しても上に書いたような理由でほとんど目にする人がいなかった。
そこから、ひとつの合理的推論として「ウナギは自然発生する」という説が唱えられたわけで、以前書いた「インテリジェント・デザイン説」なんぞよりよっぽど気が利いている。

ちなみに、顕微鏡を作ったレーウィンフックは浮き袋を子宮、寄生虫を稚魚と誤認。
ウナギの精巣の発見は実に1877年、西郷隆盛が自刃したその年にオーストリアウィーン大学で。発見したのは後にインチキ精神分析で名を残す、ジクムント・フロイトだった・・・・・。
関係ないけど、手塚治虫の博士号もタニシの精虫研究だった。
こういう研究をする学者は、どうも本業以外で名を残せるらしい(笑)。


性別

「川の一定期間より上流に暮らすウナギは、ほぼ全てが雌である。だがウナギの性別がきまるのは、川をのぼりはじめてからだと考えられる。つまり若いウナギには雄雌どちらにもなりうる時期があるようなのだ。
(略)たくさんのウナギを出口のない池で買っていると圧倒的多数が雄になる。だから、養殖ウナギはほとんどが雄だ。(150P)

ウナギ、敵前上陸す!!

さて、うなぎに関して一番おそるべき記述をしよう。
なんとウナギは、闇夜や雨の夜、人々の油断に乗じて、人間のテリトリーである陸上を侵略していたのだった!!


行く手をさえぎる陸地があれば、そこを越えていくのもいとわない。事実、2キロ3キロは平気で陸地を移動する。出口のない湖や池でもウナギが見つかるのはこのためだ。


あの粘膜と皮膚呼吸、小さいエラなどがそれを可能にするという。

ウナギが陸地を移動したという話はいくつも報告されているが、移動の最中に何かを食べるのか、あるいは食べることを目的に水を出るのか・・・700年以上前から議論されていた。13世紀のアルベルトゥス・マグヌス・・・は「ウナギは夜になると水から出て畑に入り、えんどう豆やいんげん豆、レンズ豆などを探す」・・・・・。

だからプロイセン地方などでは、畑近くに罠を仕掛けて、陸上でウナギを捕まえる漁が盛んだったという(1884年の本にそう記録されている)


ここで、私はある人に謝らなければいけない。
その人は西原理恵子さんである。


彼女の出世作のひとつが「恨ミシュラン」であることは有名だが、彼女は魚については好き嫌いが明確で「鮎はお魚のホームラン王だあ」とがしがし食いまくり、骨を抜くような小ざかしい真似をみると「アユはまるごと食え」と脅しつける。


その半面、どじょうは「私は食い物とは認めん」と宣言、どじょう鍋やで他の客に、「水田に浮かぶイタチの死骸から無数のドジョウがにょろり・・・」という話をしようとして、朝日の編集者に「おまえは総会屋かっ」と怒られていた。



その彼女がうなぎについて書いたとき、ドジョウやアユのように前面的な礼賛でも罵倒でもなかったが、「雨の日に、畑でうなぎがキャベツをばりばり食べていた」と小学校時代の想い出を描いた。なぜかうなぎは「これえらいとこ見つかってしもたわ」と関西弁。

そして、外界とつながっていないはずの井戸から、くみ上げるとうなぎがいたと。


・・・・すいません、私正直、
サイバラさん、苦し紛れにホラかいたんだろうけど、
幾らなんでもウソっぽすぎます」
と勝手に決め付けていました。
まさか本当にありうる話だとは。


実はかくのごとく、陸上を、うなぎは旅するようなのです。
キャベツもばーりばり。
http://www.geocities.jp/timeway/kougi-70.html

コンスタンティノープルの海に面している部分は守りが弱いので、オスマン海軍は海から攻めたいところですが、ボスポラス海峡は潮流が速くてこれは無理だった。金角湾という入り江があって、ここに入り込めば海上からの攻撃もできる。しかし、ビザンツ側は金角湾の入り口に、大人の腕くらいの太さの鎖を張り巡らして、オスマン海軍が湾に入れないようにしていました。

 これを打ち破るためにメフメト2世がとった作戦が「山越え」というもの。海から金角湾に入れないのなら、船に山を越えさせろと命令した。湾を一山こえた向こうの海岸から艦隊を陸揚げして、70隻の戦艦を山を越えて金角湾に入れたのです。ビザンツ側はびっくりですね。金角湾の向こうの山からどんどん船が降りてくるんですから。

長生き

スウェーデンで飼われていたうなぎ「プッテ」は88歳まで生きていたという。



とにかく、かくの如きうなぎを、日本人は好んでいる。
消費量も断トツ1位、これからもうなぎを日本人は食べ続けるだろう。
そんな、うなぎについてのあれこれでした。 (完)


今日、50万ヒットになるかな?
なりました。日ごろのご愛顧に感謝します。