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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「たこは今も養殖不可能」「葛飾北斎のたこが、ウエルズ火星人の源流?」―題名からして野心的な「タコの教科書」(kousyouブログ)

「タコの教科書 その驚くべき生態と人間との関わり」リチャード・シュヴァイド 著 http://kousyou.cc/archives/14179

タコの教科書

タコの教科書

昨年出ていた本らしい。
同書評記事に曰く。

…ここ百年でタコの生態は非常に熱心に研究されてきた。二十世紀の海洋生物学をリードしたナポリ臨海研究所(1873年設立)の周辺がマダコの産地…
(略)
その結果、タコが抜群の知能を持っていることがあきらかになった。しかも、地球上の全生物の95%を占める無脊椎動物の中でも最も頭がよく、脊椎動物である多くの魚や爬虫類よりも複雑な脳の構造をしている

自分はこの種の動物の解説書は、純粋な科学書よりも、それにくわえて歴史、文化、民俗学的な記述のある本が圧倒的に好きなのだが、この本もそうらしい。

いまだにたこは養殖不可能!!だが、例外が……

圧倒的に衝撃なのは「養殖不可能」のくだり。

乱獲が問題になり、マダコが大きく減少してきていて問題になっているようだ。日本をはじめ各国で養殖の試みがなされているが、成功していない。唯一メキシコがマダコによく似た味も大差ないオクトパス・マヤの養殖に成功したが、消費者のニーズはマダコが主なため、代替になっていない

オクトパス・マヤ!!
なんたる響きだ。というか、マヤ文明を滅ぼしたのはこいつらか…
しかし、なんでも飲み込む回転ずしとかでは、このへん使われて無いのかね?まあうなぎがそうであったように、「似た味」なら徐々に市場を占めてくるだろう。メキシコの養殖だこの輸入、今後も注視していきたい。


なんと豪華な創作系譜論!!人類の敵たこ、のイメージ(真実)は、葛飾北斎からH・G・ウェルズへ?

…タコが凶暴なものとして西欧で描かれるようになったのは実は最近、十九世紀後半で、どうやら有名な葛飾北斎「蛸と海女」を始めとする大量に欧州に渡った春画の影響が少なくない。多くの芸術家に影響を与えたが、これらにエロスではなく暴力性を見る者も多く、そこからインスピレーションを受けてタコを凶暴なものとして描くようになるという経緯があるようだ。
契機はヴィクトル・ユゴーの「海に働く人びと」(1866)で、以後冒険小説からタコ型宇宙人、さらにはクトゥルフ神話まで恐怖の怪物化した。また、ちょっと調べてみた限り、巨大なくじらだったりタコ足だったり姿が定まらなかった北欧伝承の怪物クラーケンが頭足類として描かれるようになったのもこのころのようで、十九世紀後半の西欧世界におけるタコのイメージの変化……

以前読んだ戦時中のプロパガンダの研究書では、日本の「旭日旗」を「たこの旗」と見立て、その触手を世界各国に伸ばしてからめとらんとする日本…という感じで戯画化するものがありました。

日本人でなく外国人が「タコの教科書」を書くとは…でもそれが客観的でいいのかもしれない。

日本人の場合は、たこに思い入れがありすぎる、という展開になるかもしれない。
思えば、自分が一番楽しく読んだウナギの解説書も、日本人ではなく外国人が、世界のウナギとその文化を鳥瞰的に解説したものだった。

うなぎを論ず。(「ウナギのふしぎ―驚き!世界の鰻食文化」) - 見えない道場本舗 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051014/p2

ウナギのふしぎ―驚き!世界の鰻食文化

ウナギのふしぎ―驚き!世界の鰻食文化