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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

不思議で怖い話。「暗示にかかりやすい一家」で、娘が”悪魔の儀式”を証言したら…?

マインド・コントロール関係の書を改めて読んだりしてたら、なんとも不思議で怖い事例があったので紹介してみる。

……極端な事例が、1988年にアメリカのワシントン州の小さな町で起きた。ことの発端は、聖書キャンプという催しの最中に、伝道者の女性が「神がいるのを感じる」と言い出したことからだった。その女性伝道者は、「小さな女の子が、お父さんから隠れているのが見える」と言った。
すると、その場にいた他の聴衆にも、本当に足音が聞こえ、ドアの鍵が開く音がした。そのとき聴衆の中にいた一人の少女が立ち上がって、「その女の子は私だ」と叫んだのだ。
それから、彼女は、親戚から性的虐待を受けていることを告白した。するとまた別の少女が立ち上がって、自分も両親から虐待を受けていると言った。すると、また・・・
告白をした一人が、二十二歳になる美しい女性エリカ・イングラムだった。エリカもまた、父親から長年にわたって、性的虐待を受けていることを打ち明けた。
その奇怪な出来事が、小さな町に波紋を広げている頃、別の異変が起きる。エリカの妹で、十八歳になるジュリーの様子がおかしくなったのだ。彼女は涙をこぼすばかりで何もしゃべろうとしなかった。ハイスクールの担任の教師は、ジュリーが何か秘密を抱えていると思い、話すことができないのなら、紙に書いてもいいとジュリーを励ました。担任は、ジュリーから渡された紙片を見て驚愕した。そこには、ジュリーが受けてきた性的虐待の様子が生々しく綴られていたからだ。ジュリーは、父親だけでなく、その友人や伯父や隣人からも虐待を受けていたのだ。

担任は、虐待を専門に扱う施設に連絡し、ジュリーの保護を依頼した。施設は警察に通報し一報を受けた警察は戸惑いを隠せなかった。というのも、エリカとジュリーの父親は、保安官事務所に勤務する幹部職員だったからだ。
一方、姉のエリカから事情を打ち明けられた母親のサンディもショックを受けた。どう行動すべきか決心がつかないうちに、すでに警察はジュリーとエリカへの事情聴取を済ませていた。そして、ある朝、父親のポール・イングラムが出勤すると、別室に呼ばれて、逮捕されたのだ。それから長い取り調べが始まった。父親の反応もいささか奇妙だった。父親は、自分の容疑に戸惑った様子だったが、それを否認するわけでもなく、「娘がそう言っているのなら、そうかもしれない。娘にはウソを吐かないように教えてきたから」と言うのだった。だが、娘に何をしたのかと問い詰められても、ポールは、何も思い出せないと言って、具体的なことを何一つ答えることができなかった。
同僚ということで、初めは遠慮をしていた取調官も、次第に苛立ってきて、あの手この手で自白を迫った。もし二人の娘が、父親以外からも虐待を受けていたとしたら、その男たちを早く捕まえないと、二人に危険が及ぶ恐れがあると言われ、父親のポールも必死に何が起きたかを思い出そうとしているようだった。
やがてポールは、性的虐待の場面を、断片的に思い出し始め、その場の様子や、そこに居合わせた人物の特徴を語りだした。そして浮上したのが、ポールの親しい友人だったジム・レイビーとレイリッシュだった。エリカとジュリーに、写真で面通しをすると、二人とも、同じ二枚の写真を指差した。レイビーは、性犯罪課に長く勤めた元刑事で、リッシュは、同州パトロール隊の機械工として勤めていた。
この二人の逮捕に、警察も町も、ハチの巣をつついたような騒ぎになった。だが、誰よりも衝撃を受けたのは、逮捕された当人たちだった。
ポールの記憶は次第に蘇ってきて、今やポールは、彼らと一緒に悪魔の儀式を行っていたと証言していた。娘たちは、そのための人身御供とされたのだ。それに呼応するように、ジュリーやエリカも、納屋で悪魔の儀式が行われていたと、語り始めた。動物や赤ん坊が殺されることもあったと語った。そして、母親もその儀式にかかわっていたことを暴いた。
(略)
ポールの話はさらにエスカレート…(略)話は異様なものとなっていく。悪魔の儀式や娘たちの性的虐待には、もっと多くの警官が関与していることがわかってきたのだ。次々と警官が引っ張られ、取り調べを受けた。ジュリーは、父親に身ごもらせられた子どもを堕胎させられたと言い、それも、膣から無理やり胎児を掻きだされたのだと主張した。さらには、エリカは腹にナイフを突き立てられたこともあると言った。
彼女たちの話を同情しながら聞いていた人たちも、少し疑問を感じ始めた。彼女たちは産婦人科医の診察を受けた。その結果、彼女たちの体には、堕胎した痕跡も、腹を刺された傷痕もはく、それどころか、性的な関係をもった経験すらないことを自ら認めたのだ。
すべては、娘たちの作り話だったのだ。だが、なぜ、父親や母親までそれに合わせて作り話を「思い出す」ことになったのだろうか。しかも、父親は、娘が作り話をしていたということが明らかになった後も、自分が思い出した「記憶」が事実であると思い込んでいた。
恐らく、この一家は被暗示性の高い体質を共有していたのだろう。そうした場合には、現実と空想の見分けがつかなくなってしまうだけでなく、それが事実だと言われると、事実のように思ってしまうことも起こりやすいのだ。冤罪が生み出されるプロセスには、こうした心理特性も関与していると考えられる。

警察は、「自白」に基づいてポールを起訴し、ポールは二十年の実刑判決を受け、十四年半を刑務所で過ごした。

マインドコントロールで、巨大な冤罪事件が発生

おそらくは、超例外的な話、特異な体質とかそういうものにも由来するのだろう。
何かの事件の容疑が浮上する。
実際にその犯罪を行った人間は否認するかも、おとなしく認めて自白するかもしれない。
しかし、やってない人間が、さまざまな拘禁や脅迫誘導の結果ならともかく、暗示のようなものですなおにすっと認める、なんてのは想定しようもない、とも確かに言えそうではあり……


いや、容疑者が被暗示体質なのでなぜか認めました、は警察の失態隠しであり、いかにもな誘導尋問や脅迫甘言などがあったのかもしれないが……ともかく、こんな事件が80年代のアメリカで発生したという話。


あと、そもそも「聖書キャンプ」という催しが普通にあり、そこで普通に「いま神がここにいるのを感じる」とかの会話がなされている、というのも結構すごい話なんで。
神人一体とか、霊的体験を重んじる、みたいな話は統一教会と韓国系キリスト教の由来を紹介する本にも出てたけど、そもそもそれは米国プロテスタントの伝統が入ってきたものだ、ということをこの前紹介したっけね。
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ほかにもちょっと気になるエピソードがあったので、いつか紹介可能ならば。