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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

アーチュレッタが、旭日旗とスペイン帝国旗をまといRIZINで入場した理由(ゴン格より)

海自の護衛艦旭日旗」掲げ韓国 プサンに入港

2023年5月29日 13時11分

韓国で行われる多国間訓練に参加する海上自衛隊護衛艦が、自衛艦旗の「旭日旗」を掲げて南東部のプサン(釜山)に入港しました。韓国の前の政権が「旭日旗」を問題視した経緯がある中で、日韓関係改善の流れを受けた動きとみられます。

防衛省自衛隊は、韓国政府が主催して31日、南部のチェジュ(済州)島周辺海域で行われる多国間訓練に、海上自衛隊護衛艦1隻を派遣することにしていて、29日午前、護衛艦プサンに入港しました。

船尾付近には、自衛艦旗の「旭日旗」が掲げられていて、31日の訓練も旗を掲げて参加する見通しです。

自衛隊法などでは、「旭日旗」を艦船に掲揚することが定められています。

一方、韓国では「旗は過去の日本の軍国主義の象徴」と報じられ、2018年には前の政権が国際観艦式の開催にあたって、旗の掲揚は認められないとして日本政府が艦船の派遣を見送った経緯があります。

ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権は、自衛艦旗の掲揚について「国際的な慣例」だとして問題視しない立場を示していて、護衛艦の入港は、日韓関係改善の流れを受けた動きとみられます。

www3.nhk.or.jp

釜山入港の海自護衛艦旭日旗」に韓国メディアはなぜ静観? 澤田克己

澤田克己氏・毎日新聞論説委員

2023年6月5日

 海上自衛隊護衛艦が「旭日旗」を掲揚したまま、5月に韓国・釜山港に入った。近年の韓国では旭日旗への反発が強いのだが、なぜか韓国メディアの扱いは拍子抜けするほど落ち着いていた。旧知の国際政治学者にそれを話すと、「そうなの? てっきり大騒ぎしてるんだと思った」という反応が返ってきた。どうしてなのか、色々な人に聞いてみた。

主要紙は1面掲載や社説批判なし
 護衛艦「はまぎり」が自衛艦旗である旭日旗をはためかせて釜山港に入ったのは5月29日だ。韓国の野党「共に民主党」は「国民の自尊心を踏みにじった」などと反発し、国際的な慣例だと問題視しない尹錫悦政権を攻撃した。ただ主要紙を見ると、1面に掲載したり、社説で入港を批判したりした新聞は皆無だった。

 むしろ中道系とされるソウル新聞の野党批判が目に付いたほどだ。ソウル新聞は社説で「多国籍連合訓練や観艦式で各国の艦艇が軍や機関を象徴する旗を掲げるのが国際慣例だと知らないはずのない民主党による習慣的な『旭日旗攻勢』には、もう飽き飽きした」とまで書いた。尹政権支持を打ち出す保守系の新聞ならともかく、それ以外の新聞がここまで書く

weekly-economist.mainichi.jp


おっと、マクラの話題なのに長々引用しすぎた……そこで本題。
RIZINの公式写真として、こういう1枚がある。

アーチュレッターが旭日旗スペイン帝国旗で入場


事前に具体的なことはぼやかしながら予告していた。

みそかでは、ジャガー戦士のど派手コスチュームで入場したアーチュレッタだが、今回は戦いのテーマを「古代の決闘」だと話し、「そのイメージで入場していきたい」と期待させる。
www.oricon.co.jp


で、「旭日旗」を持って入場したので、「ああ、GSP、コリアンゾンビことジョン・チャンソンなどが格闘技界でもいろいろ議論を呼んでいたんだけどなー。まあ、そういう議論なんて知らないで使用してるんだろう。『敢えて』ということはないだろうなー」とか思っていたんだが、甘かった。アーチュレッタはとても知性派で、この議論、背景はちゃんと知っていたようなのだ。知ったうえで、2つの旗を持ってきた理由とは……

そこでゴン格インタビュー。聞き手はひねリンこと堀内勇氏。

アーチュレッタ、旭日旗スペイン帝国旗を持って入場した理由を語る

ーー井上戦の話をお聞きします。前回はアステカ戦士の衣装で登場したあなたですが、今回は二つの旗とそれをあしらったヘルメットを纏っていました。旗の一つはブルゴーニュスペイン帝国の十字架ですよね。
 
「イエス
 
ーーそしてもう一つは旧日本軍の軍旗、旭日旗です。歴史を踏まえた上で、あえて現在の両国の国旗ではなく、あれらの旗を選んだのですよね。
 
「あそこには僕自身が込めた意味合いと主張があるんだ。僕は歴史が大好きだ。ある国が別の国々を征服して、真の強さを示した時代のこともね。そのような歴史に気分を害したり、恐れたりする人々もいるけど、僕は魅せられているよ。違う時代に違う文化が支配的となったこと、いかに力を得て国として栄えたかを教えてくれるから。スペイン人たちがあの赤い十字架を抱いていた時、彼らはコンキスタドール(征服者)だった。時には別の文化と交わって子孫を作り、時には他の国を蹂躙して暴力的に乗っ取ったりもした。日本の軍国時代もそうだろう。栄華を誇った時代があった」
 
ーーはい。
 
「それを酷いと言って気分を害する人もいるけど、僕はすごいことだと思う。だから今回の試合はそれを表していると伝えたかったんだ。二人の戦士が、力のある全盛期にぶつかり合う。この試合は、もし(スペイン帝国と日本帝国の2つの時代が重なり合ったらどうなるかを垣間見させるものでもあるんだってね。分かるかい、もしサムライとコンキスタドールが時空を超えて対峙したらどうなるのかってことだよ!」


いや…そういう意味か、うーん。

たしかにアーチュレッタの旗は現行のスペイン国旗ではない、過去の帝国の旗だ。


特に前近代を中心に、勇武は得てして、というかかなりの割合で、侵略や暴力と隣り合わせ、いや一体である。勇武や尚武の象徴であるなら、そういう影の部分をも内包して、なおかつ武の象徴とすべきだし、足りえるだろう、というのは、ひとつの理である。そうでなければバイキングも三国志も、新羅国王もジンギスカンもナポレオンも、キャンセルカルチャーされるだけであるしな。

シンプルかつ、強度な理屈だ。
ただまあ、植民地支配を受けた側としての、たとえばジョン・チャンソンがそういう議論に納得するかは微妙……。


ちなみにフアン・アーチュレッタの属性、そしてエスニック・アイデンティティ(そういえばこういう場合は民族の「同一性」なのか「自認なのか」)はというと、まず国籍的にはUSAの国民だ。
カリフォルニア州でスペイン系とメキシコ系の両親のもとに生まれた。だから南米において先住民の血を引くことも強く意識していて、RIZIN初参戦の際はこういうコスチュームだったのだから。

アーチュレッタ入場 先住民スタイル


自身でも言うように「自分はコンキスタドール(つまりスペインの征服者=侵略者)と、被支配の先住民の両方の家系を持っている」のである。
えー、だから「被差別の側からは言う資格があるが、差別した側が主張してはだめだ」的な、属性によって「言う資格」が生まれるって言う論からはアーチュレッタは…どうなんすかねぇ?(吉田秀彦調)


そのたぐいの権力勾配論のナンセンスさが、逆にわかるのではないか。