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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

週刊文春の連載「いまだ成らず 羽生善治の譜」が面白い(特に第1~3話のvs米長邦雄が)~藤井七冠誕生…だからこそ。

時間ないのでひとこと記事をいくつか。(※追記 ひとことじゃなくなった)

藤井聡太の七冠王者が誕生しましたが、その前のレジェンド、羽生善治のノンフィクション評伝が週刊文春で始まってる。
これが、将棋を知らない自分でも面白い。

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〈新連載〉「いまだ成らず 羽生善治の譜」鈴木忠平|第1回
 
鈴木 忠平
2023/05/09
エンタメ スポーツ

2022年2月4日 順位戦A級 8回戦 東京・千駄ケ谷
 2頭の巨大な犬が坂を上ってきた。静寂の中に荒い呼吸が響いた。体高はともに乗用車のボンネットほどもある。だが、何より人目を引いたのは白と黒の対照的な毛色であった。鮮明なコントラストを描いた大型犬はこれから始まる勝負の行方を占うように抜きつ抜かれつしながら、渋谷区千駄ヶ谷に建つ将棋会館の前を通り過ぎていった。2022年2月4日の朝のことだった。

 次第に、将棋会館と向かいの鳩森八幡神社とに挟まれたゆるやかな坂道には人の往来が頻繁になっていく。そのうち幾人かが装飾を排した厳かな会館へと吸い込まれていく。将棋連盟職員や機材を抱えた報道関係者、そして棋士たち。一様に無言で表情は張り詰めていた。この日、会館では第80期順位戦A級8回戦が予定されていた。棋界最上位者たちの戦いである。

 午前9時半を過ぎると、空を覆っていた雲がはれて朝陽が路地の半分を照らし出した。くっきりとした明暗の中、坂を上ってくる者があった。羽生善治であった。

※この連載は週刊文春2023年5月18号からスタートしています。

ただ、自分が「いやー、面白いねぇ。これは読まなければ」と思ったのは、たぶん著者も手ごたえを感じたからこそ冒頭に持ってきた、名人戦米長邦雄名人に羽生が挑戦する話だ。
第三話。


「羽生さん、いかがでしょうか」

 対局室に問い掛けが響いた。互いの鼓動が聞こえそうなほどの静けさの中、返答を待つ沈黙が流れた。

 第52期名人戦第5局は2日目の夕刻になって異例の事態が起きていた。夕食休憩なしで指し継ぎたい――名人の米長邦雄がタイトル戦ではほとんど前例のない要望を出したのだ。あとは挑戦者の羽生善治がどう応じるか。名人戦を主催する毎日新聞社学芸部の山村英樹の頭には疑問と推測が駆け巡っていた。

 なぜ優位に立っている米長がそこまで切羽詰まった行動に出なければならないのか。また、いくら盤外のことにはほとんど執着を見せない羽生であっても、果たして、この要求を受け入れるだろうか……。

 ところが羽生は一拍置くと、すんなりとこう言った。

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この回が面白いのは、米長が「世間が期待する変人としてのプロ将棋士」を、実際の性格に加えて、かなり意識的に演じてふるまう人だったからかもしれん(笑)。盤外戦を、本当に勝利への執念なのか、ただの愉快犯なのか、って感じで仕掛けるし、それに対しての挑戦者・羽生のリアクションがまたいいんだ。

羽生善治評伝「いまだ成らず」vs米長邦雄

4話目以降は羽生の少年時代とか描いてるから、このテンションが持続するかはやや保留……

まあ逆にいうと、ずっと読み続けるかどうかはともかく


米長邦雄vs羽生善治を描く週刊文春「いまだ成らず 羽生善治の譜」第1~3回は必読!!!
と、これは断言できるわな。
楽天ブックスやDマガジン利用者、図書館に行ける人などは、遡って読んでみて!)

自分の中では例によって「原田久仁信・画」で再生されている(AI使って作れないものか…)し、文章も梶原一騎風に翻案されている。
あとで、本当にその文章にしてみようかな…