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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

【創作系譜論】SF「ドリル兵器」史〜その浸透と拡散

このような対話が、先日SNSで行われているのを見かけた。


https://twitter.com/5l2M8JneP4w83wc/status/1647596677669453824

https://twitter.com/st01_madox/status/1647649580111253505


過去にこんなまとめがあった、と今発見した。
togetter.com

この試合



さて自分は、ドリルについて過去の考察記事を書いている。ただ、自分はSFでも実物でも「乗り物」には興味がない。
ドリルの興味は一点、「ロボットの『武器』となったのはいつ?」であるが…

天才永井豪が、ドーンと一般化したであろう「ゲッターロボ」が1974年の作品であるが、モグラ型ロボット「モゲラ」が登場する映画『地球防衛軍』は1957とずっと先んじていて、単純にロボット装備(武器)としてのドリルならこれが元祖…というのが暫定的仮説。そう2006年時点の調査では相成ったが、そこから何の進展もない。


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つまりいわゆる、ゲッターロボからメカ沢新一、そしてメカマミーに続くあのドリルはテーパ・シャンクだというわけだ。

しかしロボットとドリル、つながるようでつながらん。
本来、ロボットというのは「人の似姿」であるから、人に機能は近くなければいけない。そして人間の最大の機能というのは、手でものをつかむことである。そこにドリルをつけるというのは。
武器、つまり戦闘機械としてのロボットという面から見てもだ、ドリルが戦争に使われたことはあんまり無いだろう(笑)。
もちろん工兵とかは使うこともあるだろうが、どちらかといえば開発、生産のための道具である。つうか「自衛隊ドリル兵師団」とかあったらすごく嫌だ(笑)。


ここに於いてこれを見るに、「ゲッター2」にドリル(テーパ・シャンク)を標準装備させた永井豪の奇想と発想は、恐ろしいものがあると言わざるを得ない。

それ以上にすごいのが、ほりのぶゆき
ありえないものを合体させることで数々の名作を作った彼は、どの作品だったか忘れたが「ドリル奉行」というネタを書いている。遠山の金さんが、なぜか顔をモロに見られても、悪徳商人や役人が刺青をお白州で見せられるまでは遊び人の金さん=南町奉行遠山金四郎であることに気付かないというネタのパロディで、「この右手のドリルがお見通しでぃ!!」とドリルを装着して、初めてみんな恐れ入るという(笑)。
最後は、「これにて一件落着!」と言って、穴を掘り地下にもぐる(笑)。

ほりのぶゆき ドリル奉行 江戸むらさき特急



また、もっと評価を受けていい大傑作「怪獣人生」がある。
怪獣人生というとおり、うまく人間模様というか世の中のちょっとした?出来事や、逆にドラマや小説でべたべたな「おなじみのエピソード」を、すべて怪獣・特撮ネタに、それも実に無理なく収めた、奇妙な味のお話ばかりだ。

たとえば新喜劇でおなじみの、「東京に出てきた若者が、田舎の母ちゃんに見栄を張って『俺は東京で大出世だ』と手紙を書いていたら、そのお母さんが上京することに・・・というのを、宇宙人とウルトラ兄弟に置き換えたり、「モノマネ芸人とネタにされた大物芸能人」をゴジラメカゴジラに置き換えてる。これだけで抱腹絶倒だよ。

その中の一エピソードが
「ロボット一家のお父さんがドリルを楽しんで(?)いたら、『うちの外でやって!』とお母さんに怒られ、仕方なく川の土手に。そこには、腕にハンマーを着けている先客が・・・『あなたも家を追い出されたようですね』『私らの子供のころは、ドリルやハンマーは憧れで大喜びしたもんですけどねえ』としんみり語り合う」というネタ。


※追記 作者が2023年、この作品をSNS再公開!!

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