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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

米国では人種やセクハラジョークの後「1960年代という設定です」と言うとセーフらしい(…のか?)〜町山智浩コラムより

週刊文春2023年3月23日号の連載「言霊USA」で、町山智浩氏がラスベガスのショーを見に行った話を書いておられる。
そのショーとはそっくりさんショーで、フランク・シナトラサミー・デイビス・ジュニアディーン・マーチンという往年の人気スター3人…彼らは1950年代末から60年代にかけて、実際にラスベガスのホテルで、3人によるディナーショーを開いて人気を博しており、それを再現した舞台だそうだ。


で。

週刊文春「言霊USA」2023年3月23日号 60年前が舞台なので差別ギャグOK


「よく日焼けしているね」はイタリアのベルルスコーニ首相が、オバマ米大統領について言ったともいわれてて、ものすごい物議をかもした一種”定番”の人種ジョークである。
で、このギャグを舞台で言い放ったあと「いま(舞台上の設定)は1960年代だから言っても大丈夫です!」と言い放つ、というの、これ人権先進国のアメリカでのお話。

それならアガサ・クリスティロアルド・ダールも大丈夫なんじゃないかなあ……

アガサ・クリスティーの探偵小説を改訂、不快な可能性のある表現削除
アガサ・クリスティーの探偵小説を改訂、不快な可能性のある表現削除 - CNN.co.jp

ただ、もともとこれは、「舞台上の設定が1960年代だからって、喋ってる今は2023年だろ」「演じてるお前もわかっててしゃべってるじゃん」というツッコミどころを意識したギャグであることは明白。
こういうブラックユーモア、なかなか面白いね、と僕は思う。



ゆうきまさみが「21世紀版」の究極超人あ~るを描いた時、鳥坂先輩の中指ポーズに”消し”を入れ、それ自体をギャグにした、というのと同種の構図なわけよ。
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ゆうきまさみ氏「今の状況に合わせた描写の変化とは」KAWADEムック

ちょっと関連。
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ただし、パペポTVとかでも同様だが、これは「実際にはバレバレ、言ってる・見せてるも同様なんだが、一応”隠して”ますから、建前上は言ってないし示してないですよー」という言い訳が無理やりにでも利くけど、アメリカのほうは言っちゃってるからな(苦笑)
アメリカでも日本でも、寄席とかディナーショーとか、一種の「密室での秘密の共有」的な雰囲気のあるところだと演者は踏み込むんだろうな。

……だが!
町山智浩さんは、そのギャグに上記のように「(ちょっと)ツッコむ」だけでいいんだろうか?
少なくとも令和の町山氏は、ポリティカリーにコレクトな主張を(SNSで)展開しており、今やこういう差別的な描写、発言にはたとえ舞台上のジョーク、ギャグであっても批判する…はずではないか?

(これは断言しておくけど…全文引用できないからしてないけど、コラム全文を最初から最後まで読んでも、このショー、そして人種をネタにした上の台詞に対して好意的、というか容認してるのは間違いないよ)

・・・・・・結論としては、やってない。

これは、本当に「舞台設定を1960年代とかにしておけば、そこでのトークだとして、いまの基準で言えないようなネタを言える」という主張にお墨付きを与えてるのかもしれないし、そもそもこういうブラックユーモアには、町山氏は寛容なのが通常営業で、むしろSNSでの発言のほうが整合性が取れてない、のかもしれない。


【参考】(…というか決定的証拠だな!)
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