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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「あらゆる人種、党派、宗教をおちょくる」なら許されるのか、問題(なんのテーマでしょう)

このはなし?ーーいやいやいや。

イスラム・ヘイトか、風刺か

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  • 発売日: 2015/02/10
  • メディア: 単行本
BUBKA(ブブカ) 2020年11月号 [雑誌]

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そうではなく。

ブルーノ (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

このボラット2が、アマゾンプライムで無料配信されはじめたんだそうだ。
最近はテレビが放送された、みたいにこの「(有力プラットフォームで)配信が始まった」によって、話題が作られることがあるから困る。



話題になっている記事の、日本語でのニュース記事がある。
www.afpbb.com





これは町山智浩さんの「2009年の」記事だ。かなり肯定的である、という言い方をしてよかろう。

www.newsweekjapan.jp



『ブルーノ』は、『ボラット/栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(2006年)に続くサッシャ・バロン・コーエン主演のコメディ映画。コーエンはロンドン出身だが、『ボラット』ではカザフスタン国営テレビのレポーター、ボラットと称してアメリカ各地を取材した。片言の英語で話すコーエンを本当にカザフ人だと信じたアメリカ人たちを、いわゆるCandid Camera(どっきりカメラ)方式で撮影しておちょくった。これが全世界で260億円以上を売り上げるメガヒットになったのだ。

 これは『ボラット』のロデオ大会の再現だ。カウボーイ・ハットをかぶった白人ばかりの観客に向かってボラットはマイクでアピールする。「ワタシは、ブッシュ大統領のテロ戦争を支援します!」観客大喝采。「願わくば、ブッシュがイラクの女子どもの生き血を吸い尽くさんことを!」観客大喝采ボラットブッシュ政権とその戦争を支持してきたアメリカの保守層を笑いものにした。ブルーノもアメリカの保守層のホモフォビア(同性愛恐怖症)を笑いものにする。

 それだけならリベラルな批評家から「反体制の武器としての笑い」と評価されただろう。ところがブルーノはそんなイイ子ちゃんではなかった。ほとんどすべての宗教、人種、民族、政治的立場を無差別に笑いの標的にしたのだ。

 同性愛者への偏見と戦う団体GLAADは「ブルーノはゲイのイメージを著しく損なう」と、この映画への怒りを表明した。なにしろブルーノは所かまわずクネクネ腰を振り、男と見ると片っ端から触りまくる完全なヘンタイだからだ。

(略)
スタントマンより命がけ、虎の尾を踏む男サッシャ・バロン・コーエン。ここまでやると笑いを通り越した無差別テロだ。

『ブルーノ』を観て、かつてビートたけしが言った「お笑いとは逃げることだ」という言葉を思い出した。

「みんなが怖がってる奴をからかって逃げる」それがお笑いの基本精神だと。コメディアンの敵は権力だけじゃない。評論家が、文化人が、「反体制」だの「反権力」だのと評価して正義のワクにハメようとする。世間や普通の人々が、「彼は本当はイイ人」だの「本当は家族を愛するパパ」だのと言って自分と同じ普通人に引きずり下ろして安心しようとする。そんなワクにつかまりそうになったら、そのワクを壊して逃げなければ。『ブルーノ』にはそんな自爆テロにも似た意地を感じる。

『ブルーノ』でたったひとつ自粛されたのはマイケル・ジャクソンの姉、ラトーヤ・ジャクソンの出演シーンだ。ブルーノはラトーヤの携帯電話を奪ってマイケルに直接電話しようとするのだが、マイケル急死のため、シーンは削除された。まあ、DVDで蘇るだろうけどね。


というか「ボラット2」も肯定的なんだよね
www.youtube.com



ボラット」ってそもそもが、上の有芝まはる殿下氏のいうように、全体としてのキャラクター『ボラット』氏の設定自体が中央アジアに関してポリコレ的にokなんですか、な話なんだけど、

例えば「人を挑発して本音を引き出すために『あえて』やっている」とか、「全方位を笑っているんです」とか、そんなことでこういう表現でもOKが出るなら、それはそれで。

この言葉はお蔵入りしてもらおう

「狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。」
徒然草第85段


主演俳優の”属性”も関係しているのかね。

 コーエン自身は厳格なユダヤ教徒の息子で、イスラエルに留学してユダヤ教を学んだこともある。ところがブルーノはユダヤ人にも容赦しない。イスラエルのハシディム(正統派ユダヤ教徒)の町を股間モッコリのホットパンツで訪問し、群集から殴り殺されそうになる!

 さらにブルーノは「イスラエルパレスチナ問題を解決すれば有名になれるはずよ」と、イスラエルの特殊部隊モサドのエージェントとパレスチナの過激派ハマスのリーダー(どちらも本物)を同じテーブルに座らせて和解させようとする。しかし言うことがトンチンカン。

「......どうしてユダヤとヒンズーは争うのかしら?」

「ヒンズーじゃなくてイスラムだよ!」


とにかく「ボラット」は、今後「ボラットシリーズのような表現もアリという人がいるんだから」という使われ方ができて重宝かもしれませぬ。