Netfrixでルーマニアのドキュメンタリー『チャック・ノリスVS共産主義』を見てしまう。
— Banjoe ヘール・ヤッターレ! (@Banjoe1971) January 8, 2020
チャウシェスク政権下で人々は違法コピーで勝手にナレーション追加した西側の映画VHSを闇で入手し、夜中に上映会を催して視聴していた。
それがやがて社会を変えるうねりとなっていく……泣かせる話だった。
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冒頭でかつての少年少女たちが
— Banjoe ヘール・ヤッターレ! (@Banjoe1971) January 8, 2020
「『ロッキー』見たときはもう真似したな!翌朝から5時に起きて走って、不味かったけど生卵飲んで!」
とか、
「あたし、最初に見たのが『ラストタンゴ・イン・パリ』だったのよw」
とか、そういう掴みからスタートするんだけどね。
その証言の中で、その西側映画VHSの上映会に参加していた人々全員が知っていた女性の話題になり、その人がクローズアップされていく。
— Banjoe ヘール・ヤッターレ! (@Banjoe1971) January 8, 2020
西側映画の多くの翻訳とナレーションを担当していた女性で、
「チャウシェスクくらい人気と知名度があったなぁ」
と回顧する。
んで、その女性の現在のインタビューに移り、再現映像を交えて当時のルーマニアの西側VHSの違法流通と翻訳の実際が描かれていく。
— Banjoe ヘール・ヤッターレ! (@Banjoe1971) January 8, 2020
関係者のたくましくかつしたたかな、それでいて涙ぐましい努力が見えてくる。
そして、この違法流通の首魁が登場……。
陳腐なこと言いたくないので、もう実際に見てほしいわ。
— Banjoe ヘール・ヤッターレ! (@Banjoe1971) January 8, 2020
どんな抑圧下でも、人は娯楽と物語を求める。
そして時に社会を動かす大きな力を持つ。それを感じさせてくれるドキュメンタリーでありましたよ。
あ。
— Banjoe ヘール・ヤッターレ! (@Banjoe1971) January 8, 2020
タイトル通りにチャック・ノリスの映画ももちろん、いっぱい出てきます。
北ベトナム軍の拷問で袋被せられてネズミ放り込まれるけどネズミ噛み殺すやつとか、デ・マージがサントラ書いたやつとか。
関わってた人たち、みんな「社会を良くしよう」とか「変えてやろう」とか思ってたわけじゃないんですよね。面白いもん見たい、売れるもので儲けたい。そこでスタートしてるんですが、結果娯楽が何かを変える力になった。「変えればこの映画のうじゃうじゃある世界に繋がれる!」と。
— Banjoe ヘール・ヤッターレ! (@Banjoe1971) January 9, 2020
胸打たれますよ。
チャック・ノリスは、指一本動かさずにチャウシェスクを倒したのです。
— Banjoe ヘール・ヤッターレ! (@Banjoe1971) January 9, 2020
間違いではないですね。
最近、見たかったんだけど見られなかった映画に、東ドイツとブレイクダンスを扱った、実話をもとにした作品があって…
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面白いのは当局が睨み始めて
「なんだ”壊れた”ダンスとは!」
「いえ、反資本主義の団結を踊りで表現しているんです」
「ふむ…このダンスを社会主義化するぞ!」
という当局の勘違いを上手く利用した頓智のシーンだ(予告編を参照のこと)
フランクとアレックスは、元オリンピック代表の女性体操選手マティナや同じくブレイクダンスの魅力に取り憑かれたミヒェルと出会い、一緒に路上でダンスを踊るようになる。
ああ、公式サイトがまだあるよ。そこのあらすじね
そんなとき、マインハルト委員長率いる「娯楽芸術委員会」は彼らが路上でダンスをしていることを知り、アメリカ生まれの非社会主義的なブレイクダンスを禁止しようと動き出す。ある日他のダンスグループとダンス・バトルをしていたフランクたち4人は、国家警察に逮捕されてしまう。警察とシュタージ(国家保安省)の取り調べに対し、「ブレイクダンスはもともとアメリカの貧しい人々や虐げられた人々の反抗の運動から生まれ、反資本主義の思想を持っているのだ」と説得したフランクの機転が功を奏し、ダンサーたちはほどなく釈放される。しかし、フランクの父は息子の反社会的なブレイクダンスに猛反対。親子の間には言い争いが耐えないようになってしまう。さらに勢いを増すブレイクダンスに対して、 「娯楽芸術委員会」が打ち出したのは、"ブレイクダンスを社会主義化する"ということだった。
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昨年4月に10年ぶりに開催された南北首脳会談。その関連イベントとして北朝鮮の首都・平壌では韓国の芸能人らによる公演が行われ、金正恩党委員長と李雪主(リ・ソルチュ)夫人も鑑賞した。それから7ヶ月経って、その様子を収めたDVDが北朝鮮各地の市場で出回るようになったが、当局はこれに対する取り締まりを行った。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によれば、道保衛部(秘密警察)は、このDVDを特別取り締まり品に指定し、摘発に乗り出した。昨年初頭から行っている「非社会主義現象」、つまり風紀や思想の乱れの取り締まりの延長線上でのことと思われる。
北朝鮮当局は、死刑や拷問など極端な手段を動員して取り締まるほど韓流コンテンツを嫌悪してきた。
…北見は日本のジャズバンドをソ連におくる、という計画を引受け、モスクワに発った。彼の交渉相手は、ソ連の対外文化交流委員とか、日本大使館員白瀬などで、彼はこの仕事の裏に政治的なにおいを感じた。北見はジャズを必要とするソ連の民衆とじかに接したく、モスクワの街を歩いた。たまたま知り合ったトランペットを吹く少年ミーシャに連れられ、北見は「赤い鳥」に…
戦前日本や戦争直後の日本も当事者であるわけで、映画や音楽を通して堕落した軽佻浮薄な西洋文明、を必死に追い求め、受容した日本のモダニストもいたわけだ。
筒井康隆や山田風太郎や手塚治虫や矢野徹や…
だいたい、どこもサブカルチャーに関しては「健全で正しい文化をどこかが決めて統制するところ」は「猥雑で自由で無統制」なところに押しまくられている。
そこだけは解禁して体制の根本を守る路線にした鄧小平以降の中国体制は賢明だったが、金王朝はそこからは学べそうもない。
ここで言っておくけど、ポリコレもそうなると思うよ。ポリコレ”先進国”の若者たちが、腐敗堕落したポリコレ”後進国”の、それゆえに生み出されたエンタメに憧れる、というね。
そしていつか”宇崎ちゃんは遊びたいvsポリティカルコレクト”というドキュメンタリー映画が作られたり、とか(笑)
てか、暴力描写のすごいマカロニウエスタン映画の人気なんかはそういう面もあったし、昨今の韓国映画も暴力表現のすさまじさがよく話題に上る。
日本の漫画アニメの人気にも「永井豪らが力業で切り開いた、過激ともいえる表現が斬新だった」とは夏目房之介氏も語るところだ。
m-dojo.hatenadiary.com
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永井豪はイタリア、フランス、スペインの3カ国では神様のような存在だ… (略)
永井豪は当時の欧米では「スーパーロボット」の神様として崇められていたが実は「デビルマン」をはじめとするダークな作品…を、ほとんどの人が知らなかった……一点だけにはあえて触れないようにした。それは先生のエロ作品の存在である。
ロボットアニメであれだけカトリック団体から叩かれていた原作者が「けっこう仮面」のような作品も描いているという情報がヨーロッパ各国で拡散したら、彼の全作品が放送禁止になる危険性さえあった。
はなしを戻すと、この種の「規制や社会の目をかいくぐりながら”不健全”とされた文化を愛し、育てようとする人間の群像劇」って個人的にも好きなジャンルなんですけどね。
これもいつか、一覧化していきたいもの。
www.dailyshincho.jp
……その当時、少女マンガにセックス描写を載せる(しかも男同士の)なんて大変なことだった。それを諦めなかった竹宮。だから読者も作家の熱意と覚悟をしっかり受けとめて読み、大ブレイクに至ったのだろう。竹宮の元には中高生の読者からの手紙が連日のように届く。「この作品に救われました」という言葉が深く印象に残っているという。寺山修司が「これからのコミックは『風と木の詩』以前、以後という呼び方で変わっていく」(「万才! ジルベール」)と絶賛したとおり、この作品にショックを受けのめり込んだ世代が、その後のBLというジャンルを作っていった。