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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

韓国大統領選・最終盤雑感

・韓国の大統領選は李在明、尹錫悅ほか2名による討論会を終え、報じられているように尹氏と第三の候補・安哲秀氏との一本化がなされた。


・株は、一番値段が高い時ではなく、「これからは下がるな」と持ち主が思う時に売られる。最終盤の尹氏は、李氏に5%程度の差をつけており、全然楽観はできない誤差範囲とはいえ、トレンド的には優勢だった。さまざまな駆け引きもありつつ、ここで妥協しないより、するほうがいいと思ったのだろう。

両氏の一本化を反映していない数字だが、リアルメーター社が3日に公表した世論調査は尹氏の支持率が45.1%と、与党の李氏(40.6%)を4.5ポイント上回った。安氏は7.1%だった。

安氏の支持率を単純に合算すればリードは大きく広がるようにも見えるが、効果は限定的との見方もある。

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韓国大統領選2022、最終盤の支持率


・韓国の選挙は最終盤の1週間だっけかな?数値などの発表が禁じられる。この制度はイタリアだったか、どこかの国でも採用されている。日本は、人気投票禁止規定とかあるが、その制度はない(といいつつ「横一線」とか「優位」みたいな、数字を入れない報道しかされないが)。
これは、どちらがいいかというと、禁止するのにも禁止をしないのも一定の理があると考えている。これは右側通行・左側通行や制限速度のようなもので、「どっちかに決めれば、それでいい」ものだと思う。



・ただ、そもそも自分が90年代からゼロ年代に読んだ韓国政治史の本では、「韓国では世論調査、事前調査の数字が非常にあてにならず、どんどん数字が変化する。これを『パラム(風)』という」とそろって描かれていた。


・なぜそうなのか、という説明で、読んだ本では「韓国は軍事独裁政権が長かったので、本心を隠して調査にこたえる層が多いからだ」となっていた。同様のことは台湾でも言われることがある……だが、もはや2020年代である。それで説明がつくとも思えない。


・じっさい、今回もまあ逆転逆転また逆転と、ドラマチックなことはこの上なかった。……おそらく地縁血縁もあるのだろうけど、それは国会議員レベルの選挙で発揮されがちで、やはり全国レベルで、実質2人から1人を選ぶとすると「空中戦」であり、アメリカやイギリス的な2党の伝統があるところと比べると党組織の伝統も浅く、国全体が「スイングステート」、浮動票が多いんじゃないだろうか。そしてそれは、民主主義にとっては有益だろうし、むしろ「あるべき姿」なのかもしれない。


・若者層が年配層より投票率が低いとか、だから最後にこの層が動けば、掘り起こせばわからない、とい話は聞く。どうなるか。また若者は、今回一本化で辞退した安哲秀氏支持が多かったという。それが動くかどうか。一本化を彼が言った、じゃあ支持だ!とはならず、裏切りだ!!となるかもしれない。そうなった時に、今度は棄権なのか、李氏支持に回るのか。それが何%か…


・「コロナ流行と収束は、実はあまり政策と関係ないのだが、明確に政権の支持率に影響する。つまり、政治日程との重なりという偶然に影響される」…という仮説を、2020年以降の日本政治に関する仮説として持っている(過去記事いくつかあり)。そしてこれが韓国にも当てはまるのではないか、と見ている。その結果として2021年だったか、韓国では政権与党が議会選で圧勝した(収束時期と重なった)が、今回は、どうもコロナのピークが、大統領選挙と重なるらしい。そもそも「人流」の問題でもあるなら、選挙そのものがリスク高めるわけで…(そういえば、ほとんどの民主国家で、結局「コロナ防疫の観点で選挙のほうをずらす」みたいなことは結局行われなかったな)



・第4党の「正義党」は棄権や一本化をしない様子。また大統領選はこれ以下の、インディーズ系候補はたくさんいる。こういう人の主張も読めればよかったのだが…それでもSNSのおかげでかなり読めるようにはなっている(以前なら、日本語情報はほぼ「ゼロ」だったろうし)


・日本の参議院選挙2022でも、女性問題に特化した「女性党」が、得票に関係なく出てきて主張をすればいいのに、と思うが、それで細分化されるよしあしもあるんだろうな。


・失言では例の、ウクライナのゼレンスキーを「初心者」呼ばわりした李氏のことばが国際的な話題になったが、有事の時は日本の自衛隊が来ることも場合によっては認めるか?に関する尹氏の答えもあちらでは失言扱いする向きもあった。それは、いわゆる自衛隊の飛行機の邦人救出で出向くような事態を想定してのものなのに、戦力・援軍としてのものと扱われた、とかなんとか……それが敏感な問題である背景はわかるが、逆に李陣営は「有事において、邦人救出時の自衛隊機飛行も認めない」立場なのだろうか。それはそれで大きな問題のような。



以下、興味深いツイート収録




※元は中央日報だったとの訂正ツイートあり






朝鮮日報の記事一つ

韓国野党「与党のウクライナ関連発言、正気なのか」、与党「日本との同盟を語った尹錫悦は狂った人間」

大統領選挙を9日後に控え、韓国の政界でも「ウクライナ攻防戦」が激しくなっている。

 韓国与党・共に民主党選挙対策委員会の禹相虎(ウ・サンホ)総括本部長は28日にあるラジオ番組に出演し、李在明(イ・ジェミョン)候補による「ウクライナ大統領侮辱問題」について「ロシアの侵略が主な原因」としながらも「ウクライナのゼレンスキー大統領はさまざまな面で未熟な点があるという事実は事実だ」と述べた。同党の宋永吉(ソン・ヨンギル)代表も「運転する場合にも防御運転が必要なように、リーダーシップの重要性に言及したということだ」と説明した。李候補は今月25日のテレビ討論で「(ウクライナで)6カ月の初歩政治家が大統領となり、NATO北大西洋条約機構)は加入を認めないのに加入を公言し、ロシアを刺激したため衝突した」と主張し問題となった。李候補は問題を意識したかのようにこの日行った慶尚北道浦項での遊説で「ロシアの行為は決して容認してはならない」と訴えた。

 これに対して保守系野党・国民の力の李俊錫(イ・ジュンソク)代表は禹本部長の発言をフェイスブックで共有し「李在明候補を守ることが問題ではなく、わが国が国際社会にどのように見られるかという問題だ」「民主党は理性を取り戻してほしい」と訴えた。李俊錫代表は駐韓ウクライナ大使が李在明候補の発言をツイッターで公開したことに言及し「(李在明候補は注目をあつめるため)グローバル・ジョーカーになりたいようだ」とも指摘した。国民の力の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補もこの日、江原道東海での遊説で「(ウクライナの)大統領が決死の抗戦をしている。支援できないにしても(侮辱発言をするとは)一体その精神がまともな政権なのか」「これがすなわち運動圏(左派の市民学生運動勢力)政権だからそうだ」と批判した。

 これに対して共に民主党は尹候補の「韓米日同盟」に関する発言で反撃した。尹候補は前回のテレビ討論で「韓米日同盟」について「それをやらないと中国に約束する必要はないだろう」「それがあるというので(日本軍が)有事にやってくるかもしれないが、必ずしもそれを前提とする同盟ではない」と発言した。共に民主党の宋代表はこの発言について「わが国の国土を侵奪する人間と同盟するというこんな狂った人間がいてもよいのか」と批判した。共に民主党は三・一節記念行事を国会で開催し、大々的な反日攻勢に…(後略)

www.chosunonline.com

ハンギョレ新聞の記事一つ

「有事の際、日本が朝鮮半島に」…野党のユン候補の発言で波紋広がる

登録:2022-02-28 05:05 修正:2022-03-01 12:07

国家報勲処傘下団体「耳を疑わせる言動」 
共に民主党「日本の極右勢力のような妄言…国民に謝罪を」 
国民の力「有事の際の介入前提ではない、虚偽事実の公表」

国民の力のユン・ソクヨル大統領選候補が今月27日午後、ソウル汝矣島の党本部で国民の党のアン・チョルス候補との一本化交渉に関する記者会見を行っている//ハンギョレ新聞社
 国民の力のユン・ソクヨル大統領候補が今月25日、中央選挙管理委員会主催の第2回テレビ討論会で言及した「有事の際の日本による朝鮮半島への介入」発言に対する波紋が広がっている。共に民主党のイ・ジェミョン候補は「妄言」だとして謝罪を要求しており、国民の力は「自衛隊朝鮮半島への進入を認めるというのは事実ではない」と収拾に乗り出した。

 ユン候補は25日の討論会で、正義党のシム・サンジョン候補が「三不政策」(3つのノー:THAAD追加配備、米国のミサイル防衛網への編入、韓米日軍事同盟を進めない)をめぐり攻防を繰り広げる過程で、「(韓米日軍事同盟を進めれば)有事の際、朝鮮半島への日本の介入を認めることになるが、それをするというのか」と尋ねると、「有事の際、(自衛隊が)入ってくることはあり得るかもしれないが、必ずしもそれを前提にしているわけではない」と答えた。「韓米日軍事同盟を検討しているのか」というシム候補の質問に対し、ユン候補は「(シム候補は)絶対にしないのか」と問い返す場面もあった。ユン候補のこうした発言は、日帝強占(日本の植民地支配)など韓日関係の歴史的特殊性を考慮し、有事の際に自衛隊朝鮮半島への介入まで想定する「韓米日同盟」という用語ではなく、「韓米日安全保障協力」という用語を使う韓国政府の外交安保政策基調と衝突する発言だった。

 共に民主党と同党のイ・ジェミョン候補はこうした発言を「妄言」とし、謝罪を求めた。イ候補は討論の翌日の26日、特別声明を発表し、「ユン・ソクヨル候補が昨日の討論で、有事の際には日本の自衛隊が韓国に入ることもあり得るという妄言を吐いた」とし、「大韓民国の大統領候補の発言とは到底思えないユン候補の国家観と対日認識を表している。日本の極右勢力の発言と区別がつかないほど」だと批判した。さらに、「ユン候補は、三一節(独立運動記念日)を控えた時期に、自衛隊朝鮮半島に進入することも可能だと発した妄言を撤回し、殉国先烈と国民に謝罪せよ」と要求した。

 国民の力は、イ候補がユン候補の発言を歪曲したとして、法的措置の可能性まで言及している。同党のクォン・ヨンセ選挙対策委員長は26日、記者会見を開き、「前日の討論会で、ユン候補が自衛隊朝鮮半島への進入を認めたというイ候補の主張は事実ではない。シム候補の『韓日(軍事)同盟を進めれば、有事の際、日本への進入を認めることになるのでは』という質問に対し、必ずしもそれを前提にしたものではないという旨を明らかにした。たとえ韓日同盟を進めても、有事の際に日本が朝鮮半島に入ってはいけないという意味だった」と説明した。さらに、「虚偽事実の公表について直ちに謝罪しなければ、法的処罰を免れないだろう」と警告した。

 共に民主党のペク・ヘリョン選挙対策委員会首席報道担当は27日、これについて「ユン候補の自衛隊関連妄言に国民の力も驚いたようだ。波紋の広がりを食い止めたいのか、『法的措置』まで取り上げて脅している」とし、「国民を驚愕させる妄言を吐いたのに、このように姑息な手で責任逃れをしようとしても、逃れられるわけがない。ユン候補は発言をただちに撤回して、国民の前に謝罪せよ」と再び反論した。

 国家報勲処傘下の25の独立運動家宣揚団体で構成された抗日独立先烈宣揚団体連合も同日、声明を出して「三一節を目前に控えた2月25日に開催された大統領候補の第2回討論会で、耳を疑わせる発言が行われ、非常に遺憾であり、懸念と憤りを禁じ得ず、誤りを指摘せざるを得ない」としたうえで、「ユン・ソクヨル候補のこのような発言は、非常に衝撃的である」と明らかにした。同連合は「自衛隊が海外派遣の機会を狙っている現在の状況で、いかなる状況でも日本の軍隊が我が領土に一歩でも足を踏み入れることがあってはならない」とし、「東学農民革命の鎮圧を有事の名分に掲げ、日本がはじめて韓国に軍隊を送った歴史を振り返ると、たとえ但し書き条項でも、決して日本が自動的に介入する余地を残してはならない」と強調した。

 専門家たちもユン候補の認識に懸念を示した。平和ネットワークのチョン・ウクシク代表は…(後略)
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