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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「青天を衝け」で郵便制度創成が描かれた(本日再放送)けど「ドリトル先生の郵便局」も合わせて読んでよ

本日午後1時、地上波再放送。自分はこのドラマをやめたが、この回だけは見よう。
なお、調べてないがNHKプラスでも配信してるはず

第29回 栄一、改正する
2021年10月3日放送

明治政府に出仕した栄一(吉沢 亮)は、各省の垣根を超えた特命チーム“改正掛(かいせいがかり)”を立ち上げ、杉浦 譲(志尊 淳)や前島 密(三浦誠己)を静岡から呼び寄せる。改正掛は、租税の改正、貨幣や郵便制度の確立など、新たな国づくりのためまい進するが、旧幕臣の活躍を快く思わない一派との対立が生まれてしまう。そんな中、栄一は、久しぶりに惇忠(田辺誠一)と再会する。惇忠は、新政府に平九郎を殺された傷を抱えていた。栄一は、ひそかに温めていた提案を惇忠に切り出す。
www.nhk.or.jp

政府が飛脚問屋に支払う通信用の金額より、はるかに安く開設できる飛脚便制度を前島密から提案され、政府に建議書を提出する

月一千五百両を費やせば、東京から京都さらに大阪までの区間に毎日一定の時刻、各一便の政府の飛脚便を仕立てることができる。また同時に、一般の通信も取り扱うことにすれば、送達料を取ることができるゆえ、その一千五百両はそのままほかの線路を拡張する基金に回すことができる。(前島)

うまくいけばじきに、日本中に配達の道を広げられる
政府は出す金を抑えようとするが、元来、飛脚に払わねばならねぇ費用をそのまま使うんだから文句はねぇはずだ。すばらしい!(栄一)

今週の栄一
新しい飛脚制度の名称を「郵便」とする。また、配達料金を先に納めるための飛脚印を提案する。その矢先、前島密が鉄道借款(しゃっかん)の処理を命じられ、イギリスに渡ることになり、杉浦譲が後を引き継ぐ

行きたいと思っておるのであろう?
政府で飛脚印と名付けた印刷を作り、これを貼ることで運ぶ料金を先に納めるんだ。(栄一)
www.nhk.or.jp

ごそっとコピペするのは、これが1年後には確実に消えているデータだからだ(過去の大河ドラマ公式サイトはすべて抹消!!)
それはともかく。


郵便制度は、英国がはじめて世界に広まった、確かに「近代」の優れた制度であり、目に見える文明の恩恵だった(ただ、仕組み自体はどうしても近代的な発明が必須とかではない。巧くやれば前近代的な場所でも活用できる)。

実際、明治になって庶民が「これは便利じゃ、御一新はありがたい、文明開化さまさまじゃ」と思ったやつのトップランクじゃないかな。



で、そういう興奮や面白さを童話の形で教えてくれる、すぐれた「異世界小説」「内政チート小説」「俺TUEEなろう小説」がある。

それが、「ドリトル先生の郵便局」。


岩波ジュニア新書の、井伏鱒二訳も永遠の古典だが、現代向けのイラストと新訳を行ったものもある。

寒い冬のイギリスを脱出,ドリトル先生は動物たちと再びアフリカに出かけてファンティポ王国の郵政大臣になります.ツバメたちを使った小鳥郵便局は,世界でいちばん早い郵便として大成功.そして動物の通信教育も始まりますが,ある日,太古のカメから手紙が届くと,先生はさっそくカメに会いに秘密の湖に出かけてゆきます.

こんどのドリトル先生は、動物たちと海の上の郵便局(ゆうびんきょく)を始めちゃいます! それも、世界最速(さいそく)のツバメ郵便!! ツバメたちが人間と動物の手紙をはこんでくれる、とんでもない郵便局です。おかげで、先生あてに世界中の動物からへんてこな手紙がどっさりとどきます。パタゴニアのブタからは「婚約指輪は鼻にはめるのでよいのでしょうか?」なんておなやみ相談も! その上、いくさをしかけられたかわいそうな王国を助けたりと、先生は大いそがしで大かつやく! やがて、この世で一番古いナゾの生き物から、ひみつの湖への招待状(しょうたいじょう)が送られてきます。動物たちが力をあわせて、おどろきのパワーを見せる大感動の第3巻! 動物と話せるお医者さんの物語を、絵63点と新訳(完訳)で!


もともと異世界もの、内政チートものの直接の御先祖は、大航海時代から帝国主義時代に、多くの西洋人が書いた・語った「進んだ文明を未開地に持ち込んで無双しちゃいました俺SUGEE実録体験記」だと思います(日本に来たお雇い外国人など含む)。
まあ、実際に無双した事実もあるわけだし、あまり目くじらを立てる気はない。
ドリトル先生は「郵便局」と並ぶ代表作「ドリトル先生航海記」も、まさに異世界内政チートの先駆けでした。


ただ、ここで「動物と話せる特殊能力」というSF設定を加えたおかげで、リアルな英国の植民地啓蒙主義をうまく昇華し、生臭みを消していることで、今に生きるファンタジーにもなっている。

特に「鳥を操って(というか正式にスカウト、雇用してなんだが)、空を飛んで郵便が届いたら?」という、書いた当時は正真正銘の「夢想」をベースとして郵便制度を語っているので、それだけでいろいろ面白くなっている。
NHK大河ドラマと合わせて読んで欲しいというゆえんです(こんなお勧めする人いないだろうな)。

もよりの図書館に行けば、間違いなくどこにも存在していると思います。