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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「遺伝的アルゴリズムで最高に…」にイグ・ノーベル賞を!/「民主主義(投票)」の実験でもあったのでは?

まず「遺伝的アルゴリズム」のはてなブックマーク検索結果を

b.hatena.ne.jp


試みの経緯を、挑戦したご本人がまとめていらっしゃるのでそれがまずはよかろう

note.com

反響やまとめなど

togetter.com

www.itmedia.co.jp

togetter.com

あるいはtogetterのタグ
togetter.com
タグ、この話ばっかじぇねえか。




さて、感想を語る前に…表題の通り、この研究はイグ・ノーベル賞に十分に値すると思う。
「科学は人を笑わせ、考えさせ! さらに目を見張るほどバカげているか、刺激的でなければならない!!」



のだけど、どれをどのようにすると、イグ・ノーベル賞の候補として推薦できるのでしょうか?
そして、この研究、経緯の顛末は、英文でどこかに伝わっているのでしょうか?
英語で情報が広まっていれば、絶対に面白ニュースとして海外でも反応があったのだろうけどなあ。どこかにあるのかな?
あとたとえば、この実験、あるいは騒動(笑)をウィキペディアの項目……にするには、どういうふうな座組をしなきゃいけないんのだろう。やはり紙の活字に、これが記録されないと無理なのだろうか。

まあ、どうすればイグ・ノーベル賞の、すくなくとも候補にたどり着くかは、自分でも調べてみます(わかる人は教えてください)



以下は、個人的な感想を。

「猿がタイプライターを叩いたらシェイクスピアの戯曲が描けるのか?」の問いの答えなんじゃないか

この言葉をなんで知ったのだろう…たぶん自分の科学知識の供給源である、アシモフだと思うが・・・・・・・なにか、阪神化論、じゃなかった、反進化論の言説を紹介し、それに再反論するという構成の文章か、本だったと思うのだが。

要は、進化…自然淘汰で、こんな複雑微妙で多種多様な生物が生まれるかよ、という喩えとして
「猿がタイプライターを叩いたらシェイクスピアの戯曲が描けるのか?」
という問いがあったと。
それに対する反論が・・・・・・・記憶が凄い曖昧で、信頼性は低いかもしれないが、こういう内容

いや、可能だ。ランダムに猿がタイプライターを打つ。それも無限と言っていいほどに。
その中で長い年月には偶然 「Romeo」や「Juliet」が出てくる。それが有用だというふるいにかけられて生き残り、それがさらに順番に並んで…をずっとやり続ければ、いつかは戯曲が生まれる。


みたいな。
少年のころの僕は「えー、それって詭弁っぽいな。ほんとにうまくいくのかなあ?」と思ったんですよ。

その答えが!!!今回の実験結果、なんじゃないかな??と思ったのですよ!!!!
この解釈、だいたい合ってるかな???……正直、合ってるかどうかもわからないんだけど、自分の雰囲気的には、そういう証明になったんじゃないかと思っている。

80年代のニュートンの小さな記事を思い出す

80年代半ば・・・・・・・ニュートンの小さな記事だった。今では、探しようもないと思うんだけど
『なんとか大学のカントカ氏はパソコンで、進化論をシミュレートするプログラムを作った。赤い三角とか黄色い丸とかが生まれて、徐々に姿を変えながら子孫を増やしていく。一定の条件の中で、あるものは滅び、あるものは繁栄し、結果として色や形が「進化」していく。


そのころ、既にパソコン(いや、当時は「マイコン」だったかな…?)というものは存在は知られていたが、実物を見たこともないし、それで何ができるか、なんてのも知られてなかった。ゲームができる、ぐらいの認識だったろう。
これを読んで「すげー!見てみたい!!でも、パソコンなんて目にすることは無いだろうな…」と思ったのを覚えてるよ(笑)
いまは、パソコンはおなじみになったが、この記事を探すのは不可能ではないにしてもだいぶ骨だ。どこの大学の、誰の研究だったのかなあ…

ちなみにその後「ポピュラス」で、ゲームを自分でプレーせず、コンピューターのなすがままにしてその場面を見ていると、この、80年代にできたという進化論シミュレートプログラムを思い出すのだった。


実は進化論というより「民主主義」の実験であったのでは?

gamingchahan.com

ひとりで何回でも投票できるとか、プログラムに「突然変異」を仕込んでいるとかのいろんな要素はあるけど、とりあえず骨子は、2つの候補のうちのどちらがより優れているか、「投票」してますよね?
ならば、これは民主主義の実験ではないか。

ラインハルトが、「トリューニヒトのような男を権力の座に押し上げる民主主義とはなんなのか?」と問うたら、ヤン・ウェンリーが「いや、民主主義はこんな画像も作れるんです!!」と持ち出して、反論できるレベル。

そんなこんなで、
今回の実験が実に面白く、そして科学的素養の無い人間はこんなふうに受け止めたという記録。
(了)

続報記事

時間順的には、下の「追記」から繋がります
m-dojo.hatenadiary.com






追記 Poetさんとの対話。おなじみの展開。

Poet

グリフォンさんが科学の話を書くと、必ず間違えるので、また訂正に出てきました。

「猿がタイプライターを・・・」の思考実験の話は、古くからあるはずですが、
Wikipediaにも「無限の猿定理」という項がありました)
統計物理学の教科書なんかにも、よく出てきます。
結論としては、無限の時間があれば、真実です。
猿に頼らなくとも、例えば円周率には無限の桁があるので、円周率のどこかには
(数字から文字への変換をすれば)シェイクスピアの戯曲があるはずです。
ただし、それが起こるためには、宇宙の寿命よりもはるかに長い時間がかかるため、
通常は「そのようなことはあり得ない」と判断されます。
人間がコンクリートの壁を通り抜ける確率も量子力学的にはゼロではないのですが、
宇宙の寿命内には起こりません。
遺伝的アルゴリズム」の話は、人間の意志というか判断が関与しているので、
全く別の話ですね。どちらかと言うと、メスにもてるためにオスの形体が進化する
ような、性淘汰に近いです。意外と少ないステップでも顕著な効果が現れるのが
ポイントでしょうね。
進化論のシミュレーションというのは、「ライフゲーム」のことだと思われます。
これもWikipediaに項がありますね。

遺伝的アルゴリズムで最高に・・・」が、イグ・ノーベル賞に値するというのは
完全に同意です。ドクター中松なんかより、はるかに資格がありますよね。
推薦方法は分かりませんが、調べてみますね。

gryphon

いやいや、仰ることはよくわかる。というか、これで自分の記憶が少しだけ、明瞭になった。
その本を書いた人(アシモフ?)は、たしかそのことが分かってて「猿にタイプライターを無限に叩かせる方式では、たしかに(Poetさんのいう通り)時間がかかりすぎて、シェイクスピアは生まれない。(だから、そのまま適用すると反進化論にも理があるように見える)」

「だが、無限に、ランダムにじゃなくて『Romio』などの有用な単語が偶然生まれた時、それがピックアップされ生き残る方式なら、無限ほどの時間はいらない(たぶん、これが「性淘汰」の喩えだったのかな?)」

「それが、進化論なのである」

…みたいな説明だったと思うんですよ。これなら一応、理があるのかな?
その人は、進化は猿のタイプライター「ではない」とたぶん言ってたのに、読んだ記憶者(俺)によってこーなってしまった。その人に正直スマン

gryphon

ん?リンク先の「無限の猿定理」を読んだら、元はドーキンスだったのかな??
ja.wikipedia.org

進化論
進化生物学者リチャード・ドーキンスは一般向けの著書『盲目の時計職人』(1986年)の中で、自然淘汰にはランダムな突然変異から生物学的な複雑性を生み出す能力があるということを猿のタイピングの常套句で大衆に分かりやすく説明した。

ドーキンスが述べたシミュレーション実験では簡単なコンピュータプログラムを使う。このプログラムは、ランダムに打ち出される語句のうちすでに目的のテクストと一致した部分は固定していくことにより、ハムレットの台詞 “METHINKS IT IS LIKE A WEASEL”(「おれにはイタチのようにも見えるがな」〔小田島雄志訳〕)を生成する。この実験の要点は、ランダムな文字列の生成は生の材料を提供するだけであり、自然淘汰こそが情報を与える役割を担っている、という点である[28]。

この他にも、猿が一度にひとつの文字しか打たず、それぞれの文字が連関していない、という問題点に依拠して、進化と無限の猿の間に類推は成立しない、とする意見がある。ヒュー・ペトリー(英語版)は、着想の深化(彼の議論では、生物の進化ではないことに注意)を考える場合、ランダムな生成ではなくより複雑な設定での生成を想定する必要があると説いた。

類推を的を射たものにするには、猿にもっと複雑なタイプライターをあてがってやらねばなるまい。それは、エリザベス朝時代人の文章力と思考力すべてを備えている必要がある。人間の行動形態とその動因に関するエリザベス朝時代人の信念すべて、エリザベス朝時代人の道徳観や科学観、それに、これらを表現する言語の様式、といったものを備えていなければならない。さらには、特定のエリザベス朝時代人としてのシェイクスピアの信念体系を形づくった種々の経験についても考慮しなければならない。このようなタイプライターなら、猿に使わせて種々の異本を作り出させてもよいであろう。しかしもはや、シェイクスピア風の戯曲を獲得することが不可能であるかどうかは、明らかとはいえない。異なっているところは実は、これまでに集積した膨大な知識を要約するとそうなるというだけなのだから。