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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

カナダ知識人的には「非実在児童ポルノ規制なんて馬鹿な超保守の主張、J.S.ミルが理解できれば皆反対する筈だ」?

読んでみて、主張の骨子は分かりやすかったんだけど、日本の、ことにネット世論と比較すると、政局的な「ねじれ」がトテモ面白かった。

econ101.jp





事件の概要はけっこう単純。

1:保守派学者フラナガンが、カナダの児童ポルノ法で非実在児童ポルノ(絵の児童ポルノ)を規制していることへの反対意見を述べた。

2:フラナガンに敵意を抱く活動家達は、このフラナガンの質疑から動画トリミングして「児童ポルノ肯定論者だ」と拡散、炎上した。

3:その際、以前は関係があった保守陣営が、フラナガンととたんに距離を置いた。

4:書き手のリベラル派・ヒース氏は「皆フラナガンになんらかの同情をした」「私自身も「ミルが反対したであろう法」の例に挙げている」としている。

別に、いわゆる「非実在児童ポルノ」の規制を(超)保守派が積極的、リベラル派は批判的であっても驚くには足りない。全般的に「不道徳」や「風紀の乱れ」として、たとえば「石原慎太郎的なるもの」が推進したのはほんのひと昔前だったではないか。


しかし、今現在の、カナダのリベラル的政治家や知識人(数年間、政権もリベラルとみなされる勢力の筈だが)に、非実在児童ポルノ規制に対する反対する声なんて本当にあるんでしょうか?
たとえばトルドー首相がそれに触れたりしたことがあるんでしょうか…?カナダのリベラル陣営が、本当に「J.S.ミルの原則から見て、あってはならないもの」と見做しているなら、国会も多数派だし、簡単に改正できる気もするのだが……


カナダの法律では、絵だけでなく、単なる表現物(例えば文学)の所有まで犯罪化してしまっている。現行社会におけるこれの最適事例は、日本のヘンタイ漫画のほとんど大多数がカナダでは違法になっていることだ。この処置には、〔法が制定された〕最初期から一般市民は反対してきた。(私は、1993年にマルルーニー政権下で、オリジナルの法案が可決された当時を覚えてる年齢だ。当時、一般市民はまさしくこの〔危害原理に基づいた〕告発を表明し、多くの市民がフラナガンと同じ立場に立って話題にし、世間で幅広く議論されていた。)

当時〔政権に近い保守政治家達が〕フラナガンを晒し上げたやり方は、単にフラナガンにトラウマを与えただけでなく、国内のほとんどの保守系インテリをドン引きさせたことを理解することが重要だ。なぜなら、フラナガンが表明し、晒し上げられた見解は、異常な過激思想などではなく、政治・法哲学において極めて主流派の見解だからだ。実際、フラナガンは、ジョン・スチュアート・ミルの『自由論』の一節から直接引用して主張を行っている――その内容は、我々アカデミシャンのほとんどが、学生に教えている政治・法哲学理論だ。私自身、カナダの児童ポルノ法を「ミルが反対したであろう法」の実例として実際に授業で使用したことがある。


ということで、今現在、カナダで施行されている、”日本のヘンタイ漫画”を含む、絵などの非実在児童ポルノが規制されているのは、あくまでもジョセフ・ヒース氏の見解によれば

「制定当時から一般市民が批判、告発した」、
「「自由論」のミルが、その原理から反対したであろう法律」
「個人の自由を不当に侵害しているように思われる」
「非常に深刻な問題をいくつも孕んでいる」

と、見なされるようなのである。これには青識亜論氏もにっこり。
カナダの現状がそうであることを評価する声を、ときどき日本でも見かけたことがあるので、ちょっと「ねじれ」が垣間見えておもしろかった。


最後に、これを紹介したい
togetter.com
※カナダが話題になるたんびに、脳内でこれを思い浮かべるのやめろ

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カナディアンマンスペシャルマン おまえたちに名誉なんてものがあったのか?